登録 : 2016.03.26 23:15 修正 : 2016.03.27 08:54

貿易都市丹東は凍りついていなかった、熊のぬいぐるみを抱いて眠る人々

中国遼寧省丹東のある縫製工場 =カン・ジュウォン慶南大客員研究委員提供 //ハンギョレ新聞社

朝鮮族の事業家と北朝鮮の人々との出会い

 今月9日、中国遼寧省丹東(タンドン)のある縫製工場では、前日に会食の席でビールで乾杯した北朝鮮の女性3人がミシンで服を縫っていた。 私たちは無言で目と笑顔で挨拶を交わした。この日昼12時、北朝鮮の労働者たちが昼食を食べに下の階に降りて行った。 ガランと空いた工場のミシンの前に座った。 対北朝鮮制裁の次の対象は北朝鮮の海外労働者だ。 米国は北朝鮮の海外労働者派遣などを遮断する内容の対北朝鮮制裁行政命令を16日に発表した。 縫製工場で労働者が受け取る月給は約2000中国元(約3万5000円)だ。 月給の3分の1程度が労働者に、3分の2は北朝鮮政府と人材送出会社に入る。 世界はこれを北朝鮮の外貨稼ぎ手段、人権弾圧の対象と見る。 工場外への出入りが自由でなく、一日に12時間働き、少ない月給を受け取る。 北朝鮮を離れて初めてこの縫製工場に来た時、女性労働者は大きな椀で一食に米飯を二杯食べた。 1~2カ月すると栄養状態が良くなり食事の量を減らした。 韓国に来ている東南アジア出身の労働者がそうであるように、彼女たちも中国で悪徳社長に出会ったり、良い社長に出会ったりする。 時には善が悪を、悪が善を産む現実で、北朝鮮の労働者に向けられた世界の人権の定規は彼女たちのためになるのだろうか。 国境の町丹東で生き韓国朝鮮語を共有する4種類の人々を研究したカン・ジュウォン博士と同行した。 鴨緑江(アムノッカン)を挟んで北朝鮮の新義州(シンウィジュ)と向き合う丹東で8泊9日を過ごした。

▲鴨緑江を挟んで北朝鮮の新義州と向き合う中国遼寧省の丹東。ここでは北朝鮮の人々、韓国の人々、朝鮮族、そして北朝鮮の華僑が糸のように絡み合って経済交流と人生を営んでいます。 10年以上にわたり彼らの人生を研究し体験した人類学者カン・ジュウォン慶南大客員研究委員(43)と共に丹東の人々に会いました。 丹東は国連の対北制裁決議案以後「凍りついた都市」と報道されました。 テレビの向こう側の現実に歩いて入りました。 異邦人記者と現地人と変わりのない研究者との同行でした。

 「全ては誰が金を多く儲けるかによって決まるだけだ。 お金が力なんです。 いくら男女平等と言っても、誰の金が多いかによって決まるんです。 金が力なのです」

「世の中は金で回っているわけではないでしょう」
「それでは実例をおっしゃってください。 現実をおっしゃってください」
「現実はそうですが…」
「(あなたが言う)それは未来であって現実は?」
彼は再び私に返答を要求した。
「現実は金が中心でしょう…」
「朝露」と「愛の迷路」

 私は繰り出される問いかけに言葉を濁した。 中国遼寧省丹東市のある日本料理店で向き合って座った彼は、テーブルに置かれたアサヒビールを飲みほした。 資本主義社会で生まれ33年を過ごした私は、世の中はお金で回っていると言う相手に反論できなかった。 「金が力」と力説する彼は、共産主義社会で40年以上生きてきた北朝鮮の人だ。10年以上も出張で中国に行き来し、今は北朝鮮の会社の海外駐在員だ。 米国のグローバルブランド「トミーヒルフィガー」のシャツを着た彼は、サムスンのスマートフォンを使っていた。 中国人の職員を連れていたが、職員の賃金は月に2万中国元(約35万円)以上だと言った。 最近会社が輸入した商品が50万ドル以上だとし、中国のバイヤーが「よろしくお願いします」と書いて送って来た携帯メールを見せた。 彼は言葉を濁した私の答に話を戻した。

 「そうでしょう? 現実は苛酷ですね。 ハハハ。 私は韓国の人に会うたびに、お金がどれくらい財布に入っているか、パク・ユリ記者に会う時だって、地位はどの程度か、私と会うレベルか、お金はどの程度あるかを見るんです」

 彼の話には時々矛盾があるようだった。 金が力とは言ったが、その一方では腹いっぱい食べることが人生の基準ではないと言った。

 「なぜ北朝鮮を乞食だと思うのですか? 貧しいくせに核を作ったりしているが、腹を膨らませるのが先だと言って。 人が生きるということは、自分が腹いっぱい食べられるか食べられないかで問い詰めるならば、南側の“ウォンヨン事件”はどうなんですか。 その子は腹が満たされているかどうかを基準に評価するならば、貧しくて食べられなくてそうなったのでしょうか? 冷遇されて保護も受けられなかったという話です。 ウォンヨンはどれほど哀れですか? 韓国の人々は自分たちの社会や境遇は脇に置いて、腹いっぱい食べられないってことだねと(北朝鮮を判断するのです)。2000年までは国中に食べものがありませんでした。 これは乞食ではなく、集団の一つの現象なのです。 このことをもって北朝鮮ではパンツも履かず、胸も隠さずに暮らしていると理解しているのです」

 あなた方の資本主義社会の方がもっと腹いっぱい食べているかは分からないが、健康ではないという主張だった。 妻と同席した彼は日本料理店での1次会が終わった後、カラオケでヤン・ヒウンの「朝露」とチェ・ジンヒの「愛の迷路」を歌った。 彼は尋ねた。 「『朝露』はまだ禁止曲ですか?」毎日、韓国のニュースを検索し、1980年代の浮浪者と呼ばれる人の人権を蹂躪した韓国の「兄弟福祉院」事件まで知っている彼が「朝露」の禁止曲解除がいつだったかを知らないわけはなかった。 「あなた方の社会」に対する棘のある冗談だった。

 このような質問もあった。「(韓国)ドラマでは、なぜ女性が男性の頬をはたくんですか? 現実は違うのですか?」 今月14日の夜、カラオケで駐在員夫妻と別れた。 彼の妻がタクシーに乗る前に握手を求めてきた。 「いつまた会えるかわかりませんが…」

丹東から新義州に入る中朝友誼橋を渡るには、税関で荷物検査などの手続きが必要だ。11日、近隣のあるホテルの高層廊下から税関の駐車場を撮った。北朝鮮に入るトラックが列んで駐車している。日に2回、決まった時間に人と物資が移動する =カン・ジュウォン研究委員提供//ハンギョレ新聞社

 夫妻と別れて中朝友誼橋が見える川辺をしばらく歩いた。そして川辺のホテルのドアを開けた。ホテルの窓の外から闇の中に丹東市内と鴨緑江が見える。この川の向こう側は北朝鮮の新義州だ。 丹東に来て7日目。 朝鮮半島の外で、韓国側と北朝鮮側の人が会い毎朝運動している、国境が失われた都市があるということを人々は知っているだろうか。 虚構より、映画より、さらに想像を越える都市、丹東の夜だ。((2)に続く)

丹東/パク・ユリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-25 21:31
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/736944.html 訳J.S(3005字)

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