生産施設構築支援政策を通じた
雇用問題解消など切迫した要請
「開城(ケソン)工業団地入居123企業の開城駐在員の約1千人と韓国本社の開城関連社員の約1千人を合わせた2千人余りの80%から90%が解雇された状態です。 入居企業の協力業者の従業員まで合わせれば、5千人余りが仕事を失うことになりました」
2日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)の中小企業中央会グランドホールで開かれた「開城工業団地勤労者協議会」発足式で、共同委員長に選ばれたSDコーポレーションのシン・ユンスン法人長は、開城工業団地入居企業社員の悲痛な事情を説明し、ため息をもらした。 シン委員長は開城工業団地の操業中断発表2日後の先月12日から29日までに、多くの企業が社員から辞職願いを集めたと伝えた。
シン委員長は開城駐在員の場合、年齢がほとんど50代であり、今回の操業中断で「メンタル崩壊状態」と訴えた。 「開城駐在員は主に法人長、管理者であり、北朝鮮側の勤労者たちの技術指導と教育業務を受け持っており、経験豊富な50代がほとんどです。 子供が大学生や高校生で学費など最もお金が多くかかる時期で生活苦が深刻です。 この年齢で再就職も難しく、多くの人々が困り果てています」
シン委員長は解雇された職員の中にはうつ病に罹った人もいると伝えた。 そして「政府が休業状態の企業勤労者に支給している1日4万3千ウォン(約4000円)の雇用維持支援金では家長の役割を果たせない。 工業団地の操業中断に責任がある韓国政府が、給与の2年分を支給することが私たちが被った被害に対する妥当な補償策になるだろう」と明らかにした。
この日の発足式に参加した開城工業団地内の衣類製造企業SNGのチャン・ミンチャン法人長も「解雇された勤労者が被っている生活苦が徐々に表面化しているが、政府は勤労者に対する対策は何も提示していない」と訴え、「開城工業団地で仕事をして住宅資金融資を受けているある社員は、今回解雇されてから銀行がその事実を知り、融資の更新を拒否してきたので困っています。 また、夫婦で開城工業団地で一緒に仕事をしているケースもあるが、夫婦そろって職場を失うことになりました」と話した。
同じく開城工業団地で衣類を生産してきた緑色繊維のパク・ヨングク開城法人長も、政府が直ちに勤労者対策を提示しなければならないと要求した。 「入居企業の中で最も比重が大きい衣類製造業者の大部分が零細企業なので、会社独自では勤労者のための対策を何一つ用意できないのが実情です」。彼は海外に進出し国内にUターンする製造企業に対しては、政府が韓国国内での就職の支援するため2013年に生産施設構築支援方針を明らかにしたが、開城工業団地入居企業に対してもこの政策を適用すれば、韓国側勤労者の雇用問題をある程度解消できると提案した。 「中小企業庁長にこの方案を検討してもらいたいと要請したが、まだ政府からは何の返事もありません」
匿名を希望する開城工業団地駐在員は、このような苦痛を招いた政府だけでなく、会社に対しても失望を明らかにした。 「平和統一の先鋒として仕事をしているという自負心で熱心に仕事をしてきただけなのに、私たちが何か罪を犯したかのように苦痛を受けなければならないのでしょうか? 先月11日に北朝鮮側が駐在員を突然追放した時、駐在員は会社の高価な物品を一つでも多く持って来ようと、着の身着のままで個人の物品は置いて出てきました。 会社の事情が苦しいことは分かるけど、苦楽を共にしてきた勤労者をいきなり解雇して裏切られた思いを禁じ得ません」