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初期出動の海洋警察 「セウォル号の救助者、船員だと分かった」

登録:2016-02-26 07:04 修正:2016-02-26 07:17
特調委、特検要請理由書で明らかにする
船長、乗務員と見えるセウォル号搭乗者が海洋警察の救助船で脱出する様子=ソウル地方海洋警察庁提供//ハンギョレ新聞社

「船員とは知らなかった」との既存陳述と異なる
事実ならば「船員の責任回避」の幇助となる
「海洋警察指揮部の業務上過失」も捜査要求
第2次聴聞会は来月29、30日の予定

 セウォル号の惨事が起きた当時、初期救助に出た海洋警察123艇の乗組員が、セウォル号の船員たちを救助する段階から彼らが船員であることを知っていたという事実が新しく現われた。「船員だとは思わなかった」という既存の陳述を覆すもので、船の構造をよく知っている上に乗客の救護義務のある船員が船を去るのを放置した海洋警察に対して、特別検事(特検)の捜査で徹底的な責任を問わねばならないという主張が出ている。

 ハンギョレが23日入手した「4・16セウォル号惨事初期救助救難作業の適正性に関する真相糾明事件の特検捜査のための国会議決要請理由書」によれば、「4・16セウォル号惨事特別調査委員会(特調委)は調査過程で、セウォル号の船室のガラス窓を割る時には船員であることを認知していたという乗組員の陳述を確保した」という部分が出てくる。 事故当日の午前10時6分頃、123艇が船員を船に乗せたままセウォル号に接岸してガラス窓を割って救助活動を行なったが、このうち一人の乗組員が特調委の調査で「救助された乗客のうちスズキ服を着た人が船員か船舶関係者であることを認知していた」と述べたというのだ。

 特調委はこれに対し「海洋警察が船員であることを知りながらも救助したか、海洋警察指揮部が救助した乗客が船員であることが分かってからも何ら措置を取らなかったとすれば、セウォル号のイ・ジュンソク船長と同じく殺人罪を適用することも検討し得る」と明らかにした。 海洋警察が乗客を救護する義務がある上に船の構造を一番よく知っている船員たちに乗客救助を指示するか救助に加わるよう指示しなかったとしたら、海洋警察に船員たちの犯罪に対する幇助犯としての責任を問うことができるというわけだ。 大法院(最高裁判所)は去年11月、イ・ジュンソク船長が「乗客を救助しないで放っておけば死亡するということが分かっていながら何らの措置も取らずに脱出したこと」を未必の故意による不作為殺人と認めた。

 また理由書は、事故初期の海洋警察指揮部が小型警備艇である123艇を現場指揮官に指定したが、乗組員はその事実さえ知らなかっただけでなくまともな任務付与も受けられなかったという点も指摘している。特調委は海洋警察指揮部が規定とマニュアルによって救助活動をしなかったことが業務上過失であり、既に有罪判決を受けたキム・ギョンイル当時123艇長と同様、業務上過失致死傷の疑いで特検捜査が必要であると強調した。 特調委が捜査対象としたのは、キム・ソッキュン前海洋警察庁長官、キム・スヒョン前西海(ソヘ)地方海洋警察庁長、キム・ムンホン前木浦(モッポ)海洋警察署長と惨事当時の本庁・地方庁の状況室責任者などである。裁判所はキム艇長に対する裁判で「海洋警察指揮部も共同責任がある」と判示した経緯がある。

 海洋警察指揮部が惨事直後に検察の捜査対象でなかったわけではない。理由書によれば、特別捜査チームを立ち上げた検察は2014年5月29日、「海洋警察など事故救助関連機関に対する捜査計画」で「捜査事項(対象)」として「海洋警察指揮部の事故初期ゴールデンタイム期間の指揮空白及び救助状況に関する虚偽報告・公布の疑い」を捜査すると摘示した。 しかし検察はキム・ソッキュン前海洋警察庁長官とキム・スヒョン前西海庁長は1回ずつ参考人調査をしただけで、キム・ムンホン前木浦海洋警察署長も3回調査するのに留まった。 検察は海洋警察関係者のうちキム・ギョンイル123艇長だけを起訴したが、これについて特調委は「検察自ら提起した疑惑に対してその責任所在を明らかにすることができていないにも拘らず、はっきりした理由や説明は提示しないまま海洋警察の各級状況担当官及び指揮部を捜査及び起訴の対象から除いてしまった」と指摘した。

 特調委が捜査権がないために調査に困難を来たしている事実も明らかになった。 特調委は強制捜査の必要性を強調しながら、調査対象のひんぱんな欠席で陳述聞き取りが不可能な点▽指揮部・救助勢力との疎通手段であった共用通信網TRSの録音記録は少なくとも7種存在するのに強制捜査ができないため真偽如何を確認することが不可能な点▽特調委が国民安全処に送った公文書に対して安全処が「情報活動関連報告書は閲覧後破棄しており別途に管理してはいないことを通知します」と回答するなど、証拠隠滅の恐れがある点等を理由に挙げた。 特に、特調委は去年11月、最高検察庁にセウォル号船社である清海鎮海運と船員4人に対するモバイルポレンシック資料を提出することを要請したが、最高検察庁は「未保管(事由不明)」という理由で提供しない事実も明らかになった。 特調委は「過料など行政制裁だけでは調査に対する実効性確保が難しい」と主張した。

 特調委のクォン・ヨンビン真相糾明小委員長は「検察捜査は政治的中立性と公正性を堅持したのかどうかについて疑問を持たせる」として「独立的な地位をもって犯罪捜査と公訴提起を推進することができる特別検事が捜査してくれるよう要請する」と述べた。 この19日国会に提出された特検任命要請案は22日法制司法委員会に受理された。 特検任命案は法司委の論議・議決を経て本会議に上程される。

 一方、特調委はセウォル号事故の原因と関連法令・制度の問題点を糾明する第2次聴聞会を来月29、30日開催と確定し、聴聞会の国会開催及び生中継を要請する公文書を国会と放送社に送ったと明らかにした。

パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-24 01:11

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/731822.html A.K

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