国会前「市民フィリバスター」で発言台に
「テロ防止法は不当だ」声を上げ
「サイバー査察に翼を付けることになる」
「私が本当にテロ犯のような過ちを犯したのでしょうか? なぜ私の私生活や交友関係まで全てが捜査機関の手に渡り、そのために私が侮辱感や申し訳なさを感じなければならないのでしょうか?」
セウォル号被害者を追慕する「じっとしていろ」沈黙デモを主導した大学生ヨン・ヘインさん(25)が25日、ソウル汝矣島の国会議事堂前で「テロ防止法職権上程反対市民フィリバスター」(市民フィリバスター)に発言者として立った。 検察と警察が当事者に通知もせずにカカオトークの対話内容を押収したのは刑事訴訟法違反だとして訴え、前日裁判所がヨンさんの手をあげた。不当な私生活侵害を増やしかねないテロ防止法に反対する声を上げるために市民フィリバスターの現場を訪ねた。
検察、警察はセウォル号追慕集会に参加したヨンさんを捜査する過程で、ヨンさんのカカオトークでの対話内容(2014年5月20~21日)と対話相手の情報、携帯電話の写真・動画全てを押収したが、法廷に証拠資料として提出はしなかった。 ヨンさんは「私なりに令状執行の不当性を指摘できたし、裁判所がそれを違法と認めたが、テロ防止法が通過すれば自分が知らないうちに令状もなしに国家情報院の査察が可能になる」とし「そう思ったら鳥肌が立つ」と話した。
自身のカカオトークでの対話内容を検察と警察が覗き見したという事実を知り、ヨンさんは自分がする話を自己“検閲”するようになった自分を発見した。 「(押収されたメッセージには)実際には特別な内容はありませんでした。 弟や妹やボーイフレンドに送った日常的なメッセージや授業で朝会を一緒にした友人たちと交わした話がほとんどでしたからね。『大きな犯罪を犯さなくとも、日常がこのように簡単に侵害されるんだ』と思ったらとても惨めな気がしました。 私のために情報が渡った弟や妹や友人にとても申し訳ない気がしました」
この日の市民フィリバスターには、2014年10月に検察と警察の捜索によるカカオトークアカウントの押収を暴露したチョン・ジンウ労働党企画室長も参加した。 それも2014年6月セウォル号集会に参加しカカオトークのメッセージ内容と対話相手のID、および電話番号、対話日時、受発信内訳一切、画像ファイルのすべてを押収された。 この過程でチョン氏はもちろん一緒にチャットルームにいた2368人の個人情報が捜査機関に渡された。 チョン氏が市民団体と共に同年10月このような事実を記者会見を通じて暴露し、市民の間ではカカオトークの代わりにテレグラムを使う「サイバー亡命」旋風が吹きもした。
チョン室長は発言台で「サイバー査察に翼をつけるテロ防止法が通過すれば、それでも法によって個人の権利と民主主義を主張した私たちの努力さえ無意味になる、と思えて無力感を感じた」として「周囲の人々は私に対してはカカオトークでなくテレグラムだけで話しかける」と苦笑いした。 韓国の大手ポータルのダウムの場合、昨年4409件の押収の要請があり、そのうち70.6%に該当する3112件に執行された。 カカオトークは3145件のアカウントに対して押収要請があり、2301件(73.2%)が処理された。 一方、進歩ネットワークセンター、参与連帯などで構成された「テロ防止法制定に反対する市民社会団体」は、今月22日からこの日午前10時までに集まった「テロ防止法廃棄要求市民署名」28万3000件余を一次分としてチョン・ウイファ国会議長に伝達した。 署名は28日まで続けられる。