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[ニュース分析]朴大統領、保育予算交付せず教育庁に責任転嫁

登録:2016-01-26 01:47 修正:2016-01-26 05:35
秘書官会議での発言巡り波紋広がる
朴槿恵大統領が25日午前、大統領府で開かれた首席秘書官会議で発言している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パククネ)大統領が25日、教育庁の保育課程(3~5歳の無償保育)の予算未編成と関連した交付金関連法の改正、予備費をめぐる不利益など、強硬策をちらつかせながら、教育監(教育委員長に相当)を圧迫した。保育課程予算を国庫から追加支援するなど、教育庁と“妥協”する意思がないことを、事実上、宣言したのだ。保育課程支援用の3000億ウォン(約29億6000万円)の予備費を差等支給するとしたのは教育庁に対する懐柔策、地方教育財政交付金法(以下、教育交付金法)改正に関する言及は教育自治への介入として問題になるものと見られる。

朴大統領「交付金、保育予算に使うように」 ...目的交付金の新設を推進 
教育監「教育自治への介入...義務教育を放棄しろというのか」 
朴大統領「予算編成した教育庁に予備費29億6000万円優先支援」 
与野党合意した予算を政府が勝手に...地域差別が問題に

■目的の交付金の新設を推進

 朴大統領は同日、大統領府首席秘書官会議で、「法を改めても、中央政府が保育課程のような特定用途に交付金を投入できるように」法改正の検討を指示した。セヌリ党のキム・ジョンフン政策委議長は、ハンギョレとの電話インタビューで「教育交付金を教育委員会に交付しても、項目が特定されておらず、保育課程ではなく、他のところに使ってから『お金ない』と訴える問題が繰り返し起きている」とし「企画財政部や教育部と党政協議を経て、教育自治侵害の問題を最小化する範囲内で、法改正を推進する」と述べた。

 教育部は、これと関連し「通常交付金96%に特別交付金4%」と規定されている交付金法第3条を改正し、保育課程の「目的交付金」を新設する案だと説明した。教育部関係者は、「保育課程予算4兆ウォン(約3951億2000万円)を目的交付金として支援するためには、通常交付金85%に目的交付金11%、特別交付金4%程度で調整する必要があるが、(その割合は)まだ具体的に検討されていない」と説明した。

 セヌリ党は、これとは別に教育庁が保育課程の予算編成期限を守らなければ、中央政府が代わりに執行した後、該当教育庁と精算するようにする教育交付金法改正案を、早ければ26日に発議する予定だ。

 教育庁側はこれに対して、教育自治への介入として強く反発している。全国市道教育監協議会の関係者は、「交付金法改正の推進は教育監の予算編成権を無視し、教育自治を傷つけようとするもの」だと述べた。京畿道教育庁のイ・ジェジョン教育監は緊急記者懇談会を開き、「補助金法を改め、保育課程に使おうというのは、憲法上の(義務)教育に(予算を)使うようになっている法を改め(大統領の公約事業である保育課程に)使おうとするもの」とし「大統領の発言は、義務教育までも放棄するということなのか」と批判した。

■予備費も差等支援

 朴大統領は目的予備費3000億ウォンも差等支援する可能性を示唆した。朴大統領は、「当初、国民と交わした約束、原則を守るために努力している市道教育庁には3000億ウォンの予備費を優先配分する案を積極的に検討してほしい」と述べた。イ・ジュンシク社会副首相兼教育部長官は同日、教育部の記者懇談会で、「12カ月分の保育園・幼稚園の保育課程予算を全額編成した教育庁(大邱<テグ>、蔚山<ウルサン>など5カ所)に予備費を支援できるということであり、執行時期は企画財政部と協議する」と説明した。

 しかし、昨年12月2日に、国会で17の市道教育庁に割り当てることを前提に通過させた目的予備費を、政府が任意で一部の教育委員会にのみ支給してもいいのか、議論の焦点になるものと見られる。教育監協議会の関係者は、「優先割り当てから除外された教育庁がある幼稚園や保育園に通う乳幼児や保護者、教師が被害を被ることが予想されるのに、大統領が地域差別を助長していることに他ならない」と批判した。

■すでに支援した?

 朴大統領が「すでに昨年10月、保育課程の支援金を含む2016年度の教育交付金41兆ウォン(約4兆500億円)を市道教育庁に全額支援した。市道教育庁はもらえるお金はすべてもらって、いざ使うべきお金は使っていない状況だ」と発言したことめぐり、波紋が広がっている。朴大統領の発言をそのまま解釈すると、政府が教育庁に保育課程の予算4兆ウォン(約3951億2000万円)をすべて交付したのに、教育庁が保育課程の予算を編成しなかったという意味になるからだ。

 政府は現行の教育交付金法に基づいて内国税の20.27%(今年は41兆ウォン)を教育交付金として、市道教育庁に交付しなければならない。これは、保育課程事業が施行される以前の2010年から既に決まっていた割合だ。政府は保育課程という莫大な予算規模の新しい事業を教育庁に任せながら、教育交付金率を引き上げなかった。

 政府が保育課程のために追加で支援した金額は、今年3000億ウォン(昨年5064億ウォン=約500億2000万円)に、4兆ウォンにはるかに及ばない。政府が国庫から追加支援を行わない限り、教育庁は小中高教育費など、他の項目の予算を削って保育課程に投入しなければならず、教育監たちは現在そのような予算がないと抵抗している。

 朴大統領が同日、「昨年より教育補助金が1兆8000億ウォン(約1778億600万円)増加した」と言った内容は事実だ。しかし、イ・ジェジョン教育監は、「今年の補助金41兆は、2013年の交付金規模と同じだが、その時に比べて物価や人件費などがすべて上がった。また、当時は保育課程を教育委員会30%、自治体70%に分けて負担した」と反論した。

チョン・ジョンユン、ホン・ヨンドク、ファン・ジュンボム、オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-25 21:19

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/727850.html 訳H.J

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