来年の福祉関連予算の増加率が歴代2番目に低く、国家債務も初めて国内総生産(GDP)の40%を超えた。経済成長が鈍化して、増税などを通じた税収の拡大が行われず、財政が脆弱になるにつれ、福祉の拡大が不十分であるにもかかわらず、財政赤字の規模が大きく増えるためだ。朴槿恵(パク・クネ)大統領の大統領選挙公約である高校無償教育と小学校での保育教室の拡大は、来年にも予算が取れず、事実上廃棄段階に入った。
政府は8日、閣議で、今年の本予算より3.0%(11兆3000憶ウォン、約1兆1300億円)増えた386兆7000億ウォン(約38兆7600憶円)規模の来年度予算案を確定し、11日に国会に提出することにした。政府予算案の中で最も大きな割合を占める保健、福祉、労働分野の予算は122兆9000億ウォン(約11兆3200憶円)で、今年より6.2%多い。政府が国家財政法を作りながら、新しい分野別予算を推計し始めた2005年以降と比べてみると、来年の福祉関連予算の増加率は2013年(5.2%)の次に低い。 2013年の予算は、李明博(イ・ミョンバク)政権の最後の年である2012年に立てたもので、収入(8.5%)よりも支出(5.1%)が少ない緊縮財政を実施した年だ。今年下半期に編成された補正予算に比べてみると、来年の総支出は0.5%(2兆ウォン、約2004憶5000万円)、福祉支出は2.1%(2兆5000億ウォン、約2505憶8000万円)の増加にとどまっている。
文化、体育、観光分野の予算は、文化を成長の新しい動力として事業化するという政府の政策意志が反映されて、増加率が7.5%で最も高い。一般、地方行政(4.9%)、国防(4.0%)の分野の伸び率も高いほうだ。ファン・ギョアン首相は同日の閣議で、「今回の予算案は、経済活性化のための財政の役割を通じて内外景気減速の流れを克服し、財政の健全性を安定した水準で管理しようとする政府の意志が反映されている」と述べた。
国家債務は来年末645兆2000億ウォン(約64億6700憶円)で、年間50兆1000億ウォン(約5兆220憶円)に増加する見通しだ。これにより、来年の国内総生産に対する国家債務が40.1%で、初めて40%を超えることになった。福祉支出の増加率が低くなって、国家負債が増えている主な原因は、貧弱な税収だ。政府は、来年の総収入が今年より2.4%多い391兆5000億ウォン(約39兆2400憶円)になると予想した。これは、経常(名目)成長率4.2%を前提に予測したものだ。税収の中心軸である国税収入は来年には0.9%(2兆ウォン、約2004憶6700万円)の増加にとどまると、政府は予想した。使うお金が不足しているため、教育福祉分野における大統領の主要公約である高校無償教育と小学校での保育教室の拡大は、政権発足から4年目の来年度にも予算を確保しないことにした。
「私が作る福祉国家」のオ・ゴンホ共同運営委員長は、「韓国の財政問題は、支出より貧弱な税収にある」とし「速いスピードで進む高齢化、社会の二極化などで、これから福祉の需要は増え続けるのに、朴槿恵政権は“症状なき”国政運営にこだわり、国の財政を破綻させている。税収拡大策を講じるべきだ」と述べた。今年の韓国の租税負担率は17.5%(本予算基準見通し)でOECD平均25.8%(2013年基準)に比べて8.3%ポイント低い。この違いを税金額で換算すると、約100兆ウォン(約10兆230憶円)だ。
韓国語原文入力:2015-09-08 20:15