市民団体が慰安婦合意問題で討論会
「国際人権基準は、捜査・裁判手続に
被害者を参加させることになっているが
被害当事者であるハルモニたちを排除」
「政府、憲法裁判所の決定とは異なり
不可逆的な解決に合意して自ら違憲を招いた」
日本軍「慰安婦」問題と関連した韓日外相の「12・28合意」は、「被害者が捜査と裁判に参加し、十分に陳述することを被害の回復と見なす国際人権基準に反したもの」という批判が提起された。
韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)や民主社会のための弁護士会(民弁)、日本軍「慰安婦」研究会設立推進会などの市民社会団体は5日、ソウル汝矣島(ヨイド)国会議員会館で討論会を開き、「12・28合意」が「寸進尺退の韓国外交の失策」とし「一日でも早く、今回の合意を破棄すべきだ」と主張した。
この日の討論会では、被害当事者である「慰安婦」ハルモニ(お婆さん)たちが合意の過程で排除され、形式と内容、すべての面に問題があったという指摘もあった。ソウル大学法科大学院のヤン・ヒョナ教授は「国内法が主に金銭的賠償に焦点を当てているのとは異なり、国際人権基準は、被害者が捜査と裁判手続に参加して十分に陳述できる機会を与えること自体が、被害の回復だと規定している」と慰安婦被害者ハルモニたちが参加していない今回の合意が「修復的正義にも反する」と批判した。ヤン教授によると、「修復的司法(restorative justice)」とは、被害者の要求と権利を中心に考え、過ちを正すことで正義を取り戻すもので、加害者の処罰を持って正義が具現されたものと見なす「応報的正義(retributive justice)」と対比を成す概念だ。特に、同日の討論会に参加した日本軍慰安婦被害者ハルモニのキム・ボクトンさん(90)は、「被害当事者である私たちハルモニのことを無視していなかったら、私たちに一言も相談もなく、両国政府同士で話し合って妥結したと言えないはずだ」とし、「安倍首相が直接謝罪し、私たち名誉が回復できるように、死ぬまで戦う」と話した。イ・ヨンスさん(88)も「安倍首相が敵のように憎らしくても、一度でもいいから少女像の前に行って、申し訳ないと言えば、良心はあるなと思えるだろうし、いくらか心が和らぐかもしれない」とし「(そうなるように)すでに天国に行ったハルモニたちの分まで、さらに力を込めて戦う」と述べた。
今回の合意の“法的な”欠陥を指摘する声もあがった。2011年、憲法裁判所は、「日本政府は、1965年の韓日請求権協定によって、慰安婦被害者の賠償請求権が消滅したという立場であり、韓国政府は消滅していないとの立場で、解釈をめぐる紛争が存在する」とし、「韓国政府がこの問題の解決に乗り出さず、被害者の基本権を侵害しているのは違憲だ」と判決した。これと関連し、慶北大学法学部のキム・チャンロク教授は「韓日の間の『解釈をめぐる紛争』が依然として続いているにも関わらず、韓国政府が『最終的かつ不可逆的な解決』に合意に同意したことで、これまで行ってきた解釈をめぐる紛争の解決に向けた努力をこれ以上しないということになり、“違憲状態”に再び陥った問題がある」と指摘した。チョ・シヒョン元建国大学法学科教授も「法的な問題は全く解決されていない」とし、「日本側は『責任を痛感』し『お詫びと反省の気持ちを表明する』としたが、法的に意味を持つ各当事者の権利と義務については、明確に確立されたものがない」と指摘した。
「慰安婦」問題解決のための運動の観点から、今回の合意を批判する声もあがった。中央大学社会学科のイ・ナヨン教授は、「(今回の合意は、)犯罪事実の認定と責任、それに基づく法的賠償という生存者と支援団体の長年の要求を排除した加害者と同調者同士の野合」と批判した。
日本側が粘り強く移転と撤去を求めている少女像と関連し、ヤン・ヒョナ教授は「日本政府の『責任の痛感』が生存者だけでなく、死者に対するものでもあるなら、少女像は撤去の対象ではなく、その前で跪いて懺悔しなければ、尊重と尊厳の表象として受け止められないだろう」と主張した。チョ元教授は、「日本は『公館の安寧』や『威厳』などを規定した外交関係に関するウィーン条約を挙げて、少女像を撤去していない韓国政府が国際義務を果たしていないと主張したが、韓国はこれに対して認知したという表現を使った」とし「日本がこの問題を国際司法裁判所に付託すれば、逆説的な結果をもたらすだろう」と指摘した。
韓国語原文入力: 2016-01-05 19:33