ソウル鍾路区中学洞の駐韓日本大使館の向かい側にある平和碑、少女像の前。先月28日、韓国と日本政府が「少女像の適切な解決」を盛り込んだ合意内容を発表した後、毎日数百人がここを訪れている。今月4日午前9時から翌日の午前9時までの24時間、ハンギョレが見届けた少女像は「謝罪と感謝の気持ち」を伝える市民たちに囲まれ、寂しい様子ではなかった。
「少女像の守り役」として徹夜する若者たち
中高年 「守ってくれてありがとう」とカイロを渡す
運転代行のドライバーも「仕事の合間に立ち寄った」
外国人の友人と共に訪れた20代
「二度とこのような悲劇を繰り返してはならない」
■4日午前10時:「申し訳ありません」
「“かかとを地につけていない”少女像には、ハルモニ(お婆さん)たちが故国に帰ってきてからも後ろ指をさされ、安心して故郷の地を踏めなかった事情が込められています」。“少女像解説者”を買って出たチョン・スヨン氏(28)の説明に、市民たちが頷いた。韓日外相による「12・28合意」の無効を主張し、少女像の横で座り込みを行っている若者たちは、今月2日から少女像の意味を市民に伝える解説団を作って運営している。チョン氏は、「説明をしながらも『自分はこれまでハルモニたちの痛みにどのぐらい関心があったのだろう』と思うと、恥ずかしくなる」と話した。チョン氏の言葉に耳を傾けていたキム・ジョンファン氏(38)は、「近くの会社で働いており、少女像を毎日通り過ぎているのに、意味すら知らなかった。長い間受けてきた苦しみを無関心だったことが申し訳ない」と話した。
■4日午後2時:「記憶します」
「その崇高な精神と歴史を引き継ぐためにこの平和碑を建てる」。忠清北道清州(チョンジュ)から少女像を見に来たカン・ウンス氏(33)は、息子のパク・ジュヒョン君(7)、娘のダヨンちゃん(4 )に少女像の下に書かれた文をゆっくりと読んであげた。カン氏は「少女像を見るだけでも、子供たちに記憶しておくべき歴史が何なのかを教える良い教育になると思い、休暇を取って上京した」と話した。イ・ギウク氏(26)は、カナダの友人のエミリー氏(26)と共に座込み場を訪れた。イ氏の説明を聞いていたエミリー氏は、「再びこのような悲劇が繰り返されてはならない」と目を潤ませた。
■4日夕方7時:「守ります」
「私たちがハルモニであり、少女で、そして民衆です。平和の少女像、手をつないで守りましょう」。舞台に立った大学生のパク・ミンフェ氏(23)の先唱に従って、キャンドルを持った市民100人が歌を歌った。パク氏は「密陽(ミリャン)のハルモニたちと歌っていた歌の歌詞を変えて作ったもの」と歌詞を紹介した。毎日夕方7時に開かれる「韓日交渉廃棄のためのキャンドル文化祭」の際、少女像の前は最も賑わう。文化祭に訪れた市民のイ・ミョンオク氏(59)は、「少女像は国民がハルモニたちに謝罪し、歴史を記憶する意味が込められた銅像」とし「政府が歴史を正すどころか、それを消し去ろうとする日本の意図に合意したのを見て惨憺たる気持ちだ」と話した。
午前1時にも少女像周辺の座込み場で「静かな応援」
■5日午前1時:「応援します」
「本当につまらないものです。ただ、学生たちが苦労しているのを見ていると胸が痛んで...」。5日午前1時、匿名希望のある市民が少女像を守る座込み場を訪れて、黒ビニール袋を差し出した。袋の中にはチョコパイ5箱が入っていた。「運転代行の合間に立ち寄りました。私たちの世代が解決すべき問題なのに、学生たちに徹夜で座り込みをさせて、申し訳ないです」。急いで話を終えた彼は、再び暗いビルの間に消えた。若者たちは先月30日から少女像のそばで夜明けを迎えている。チョ・ジヨン氏(23)は、寝袋の中で 「ハルモニたちは、これよりも寒い場所でもっと悲惨なことを経験したはずだから、この程度は我慢できます。多くの市民たち応援も力になります」と寒さにも負けない表情を見せた。チョ氏の後には市民が置いていったお菓子やカイロなどが積まれていた。
■5日朝7時:「力を結集しましょう」
「起きましょう」。朝7時、まだ薄暗いソウルの朝を冷たい地面で迎えた若者たちが一人、二人と寝袋の外に出てきた。半分だけ開いた目で寝袋を整理していたイ・グァンホ氏(21)は、「思ったより寒くて、眠れなかった」としながらも、「このように座り込みを続けることが少しでもハルモニたちの力になったらと思う」と明るく笑った。出勤時間に合わせて、若者たちプラカードを持って都心のあちこちに散らばって1人デモに行った。カン・ジウン氏(23)は、光化門交差点で「歴史の前で恥ずかしくない大統領になってください」と書かれたプラカードを手に持った。通勤途中の市民たちは、カン氏を横目で見て通り過ぎて行った。「少しでも多くの人々に“慰安婦”問題を伝えて、正しい歴史を守りたいです」。カン氏が力強く語った。
韓国語原文入力: 2016-01-05 20:48