「私たちを二度殺しに来たのか? 会談する前にまず被害者に会うべきじゃないのか」「政府が私たちを売り飛ばした。 物乞いなどせずに、交渉をやり直しなさい。認めることはできない」
29日、外交部のイム・ソンナム第1次官とチョ・テヨル第2次官が、慰安婦問題解決のための韓日外相会談の結果を説明するため、ソウル・麻浦区の韓国従軍慰安婦問題対策協議会(挺身隊対策協)の憩いの場と京畿道広州市退村面の 「ナヌムの家」を訪問した時、彼らを迎えたのは慰安婦被害者のハルモニ(お婆さん)たちの“激しい怒り”だった。
挺身隊対策協の憩いの場では
「少女の像にどうして政府が言及するか
物乞いじゃなくて、交渉やり直しなさい」
第1次官「第2幕の始まりとなり得る」
「ナヌム」の家では
「法的賠償が必要なのに、それがない
政府がハルモニたちを売り払った」
第2次官「象の体全体を見て下さい」
同日午後、イム次官が3人の慰安婦被害者ハルモニに会うために挺身隊対策協の憩いの場に立ち入ると、ソファーに座っていたハルモニのイ・ヨンスさん(87)が咄嗟に立ち上がった。「あんたはどこの国の所属なんだ。外交部はどこの国の外交部なのか、こういう交渉をすると事前に知らせてくれるべきじゃないか」。ハルモニの怒鳴り声には泣き声が混じっていた。 横にいたハルモニのキム・ボクトンさん(89)も 「日本が謝罪して法的に賠償するまでは妥結ではないのに、何が妥結されたというのか」と問い質した。 キムさんは特に「国民がお金を出し合って歴史の証拠物として日本大使館の前に建てた少女の像は、そのままにして置かなくてはいけない。政府がなぜ (移すなどと) 言及するのか」と詰め寄った。 イム次官はイ・ヨンスさんの腕をとらえてソファーに座るよう勧めた後、ソファーの下のハルモニたちの足元に座って政府の立場を説明した。
同じ頃、ナヌムの家でも似た風景があった。 チョ次官はナヌムの家で暮らしている10人のハルモニのうち6人に会い、「みなさんが満足できないと言われることは分かりますが、朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任直後からこの問題を解決するために努力した結果なのです」と重ねて説明した。 しかし車寄子と杖に頼っていたハルモニたちの反応は冷ややかなばかりだった。チョ次官が言葉を終えるとユ・フィナムさん(88)は「日本政府が謝罪するつもりなら法的な賠償が必要なのに、それがないじゃないか。大統領が私たちをあまりにも無視しているようだ」と反駁し、キム・グンジャさん(90)は「政府と政府だけの合意は認められない。死ぬ前に、胸に積もったハン(恨)を解いてくれ」と訴えた。ナヌムの家のアン・シングォン所長は「被害者抜きの合意と法的賠償が抜け落ちた今回の合意を、ハルモニたちは決して受け入れることができない立場だ」と言った。
二人の次官は「(会談内容などを) あらかじめお話できなかったことは申し訳なく、今日はお叱りを受けるために来た」(イム次官)と精一杯身を低くしながらも、「みなさんにも象の足ばかり見ないで全体を見ていただきたい」(チョ次官)と強調した。「日本政府が責任を痛感すると言った上に、安倍晋三首相がお詫びと反省の気持ちを示した。みなさんの名誉と尊厳を守って差し上げるための財団を作るという中身を作り出した」と会談の成果を強調した。 イム次官は 「これは 第1幕の終りで、第2幕の始まりとなる」とハルモニたちを説得した。 続いて行なわれた非公開の席では、今後の財団設立・運営など後続措置においてハルモニたちの意見を最大限反映させるという意思を説明した。 しかしキム・ボクトンさんは 「さあ始まりだと、まるで何かがまだ残っているかのように言ったけれども、どのように始めるというのか私たちには分からない」と言った。チョ次官はこの日の面談後、慰安婦被害者ハルモニの追悼公園で献花と焼香をしようとしたが、「ハルモニたちの怒りが大きいから、そのままお帰り下さい」とアン所長に言われ、ナヌムの家を急いで立ち去らねばならなかった。
一方、挺身隊対策協、参与連帯、平和と統一を開く人々など市民団体はこの日午前、ソウル世宗路の外交部庁舍前で記者会見を開き、「被害者が数十年間要求してきた国家的・法的謝罪と賠償を完全に度外視したのはもちろん、国際的問題提起を源泉的に封鎖したものだ」として会談結果の根源的な無効を主張した。 彼らは記者会見文で「日本外相が代わりに発表した安倍首相の立場は、かつての河野談話を繰り返す水準にとどまっただけであり、法的責任に対しては全く言及していない」と明らかにした。
韓国語原文入力:2015-12-29 19:53