韓日外相による日本軍「慰安婦」被害者問題での「12・28合意」のうち、被害者の支援・治癒のための財団設立の問題点を指摘する動きが次第に高まっている。日本政府が出す10億円の性格は言うまでもなく、金額の適切性、韓国政府が財団設立の主体になる点など、原則・実務の側面で様々な批判が提起され始めた。
財団の設立・運営方案は、大きく3要素と但し書きで構成される。第一に、韓国政府が財団を設立。第二に、日本政府が予算10億円を「一括拠出」。第三に、慰安婦被害者の「名誉と尊厳回復、心の傷の治癒のための事業を韓日政府が協力して施行」。その合意の“着実な実施”を前提に、両国政府が慰安婦被害者問題の「最終的・不可逆的解決」を確認するというものだ。
■ 資金の性格に問題
韓日ではすでに、資金の性格に対する解釈をめぐり異見が出ている。日本政府の予算投入は、法的賠償ではないが「政府責任」を認めた事実上の賠償の性格を持つと韓国政府は解釈している。だが岸田文雄外相は「賠償ではない。道義的責任という立場に変わることがない」と強調した。賠償や補償でなく「慰労金」の性格だという主張だ。中央(チュンアン)大のイ・ナヨン教授(社会学)は30日、「慰労金という点で、1995年の日本でのアジア女性基金と本質的に同じ性格だが、当時とは違い『終わり』という但し書きがされた点で、さらに悪い問題となる資金」と批判した。
政府は否定するが日本は関係を示唆
財団設立の主体を韓国と明示
逆戻りできない足枷にもなる
日本は賠償否定、資金の性格も問題
アジア女性基金とは異なり
「今回で終わり」であり一層悪い
■ 10億円と少女像の撤去・移転を関連づけ
さらに深刻な問題は、日本政府が出す10億円を、駐韓日本大使館前の「平和の少女像」(少女像)の撤去・移転と関連づける姿勢を示した点だ。12・28合意では「韓国政府としても関連団体との協議などを通して適切に解決されるよう努力」とされ、政府も「少女像移転との関連づけは話にもならない無理強い」という態度だ。しかし岸田外相は「適切に移転されるものと認識している」とし、“裏合意”の可能性を示唆している。日本政府が現実に10億円の拠出を少女像の撤去・移転と関連づける場合、悪魔は細部に宿ると言われるように、12・28合意そのものを揺るがすことになりかねない。
■ なぜ韓国政府が財団設立
韓国政府は日本政府を巻き込み合意履行を圧迫できる点を前面に打ち出し、財団設立方案を「独創的履行メカニズム」と高く評価している。だが日本政府は、アジア女性基金の時のように、韓国政府が途中で手を引けないようにする足枷として、財団設立の主体が韓国政府であることを明示したという姿勢をとる。「韓国側が財団を作るのが第一歩だ。そうでない事業は進められない」とした金井正彰・日本外務省北東アジア課長の発言(28日の記者会見)は示唆するものが大きい。10億円拠出は財団設立を前提とするとの指摘なのだが、被害者ハルモニ(お婆さん)と関連団体の反発の強さを考えると、財団設立は長期間漂流する可能性がかなり高まる。政府はまず日本政府との協議を経て、来年上半期に財団を発足させる予定であることが分かった。
■ 97億ウォンで何をしようというのか
10億円は97億4300万ウォンになる。政府に登録した被害者238人(死亡192人含む)に分配すれば、1人当り4093万ウォン(約430万円)になる。韓国政府が関連法令により登録被害者に支援する生活安定支援金(月額126万ウォン)と看病費(同105万5千ウォン、以上2016年基準)など各種支援方案を別にしても、1人当り4300万ウォンの「一時特別支援金」より少ない。
しかも財団運営費は、韓国政府が出資したところで基金の相当部分を関連事業に使わなければならず、全額の一括分配などできない。さらに財団の性格から考え、韓国政府の追加出資も期待し難い。イム・ソンナム外交部1次官は記念館建設などに言及したが、財団の基金全額をつぎ込んでも実現が可能でない事業だ。政府が性格も不明で金額も微々たる、この資金を、なぜ受け入れることで合意したのか理解できないとする反応が多いのもこのためだ。
韓国語原文入力:2015-12-30 22:31