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[ニュース分析]金養建労働党統一戦線部長死去、南北関係に大きな損失

登録:2015-12-30 23:09 修正:2015-12-31 07:59
2代にわたり対南政策を直接アドバイス
29日、交通事故で死亡したと北朝鮮が発表した金養建・北朝鮮統一戦線部長(右)が、今年8月25日未明、板門店の平和の家で南北高位級接触共同合意文に合意した後、ホン・ヨンピョ統一部長官と握手している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞

 金養建(キム・ヤンゴン)労働党統一戦線部長(党書記)の突然の死が、南北関係と朝鮮半島情勢に否定的な影響を与える可能性が指摘されている。穏健・合理派として知られる金部長は、北朝鮮の最高指導者を補佐してきた対南政策の実務総責任者として唯一無二の存在であるのに加え、8・25南北高位級接触によって開かれた第1次次官級南北当局会談が決裂した直後だからだ。金部長は対外政策の分野でも病気療養中のカン・ソクチュ党中央委員(76)の不在を補い、国際担当書記の役割も果たして来た。

 金正日(キム・ジョンイル)・金正恩(キム・ジョンウン)時代における北朝鮮の対南政策は、金部長の存在なしでは説明できないほどだ。2007年10月、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日総書記の南北首脳会談に一人で陪席しており、2000年6月、金大中(キム・デジュン)大統領と金正日総書記との初めての南北首脳会談にも深く関与した。 2009年に金大中大統領が逝去した時には弔問団の一員としてソウルを訪れており、昨年10月の仁川(インチョン)アジア競技大会の閉幕式にも、北朝鮮高官級2人と共に出席した。今年8月の南北高位級接触には、北朝鮮の「権力序列第2位」とされる黄炳瑞(ファン・ビョンソ)人民総政治局長と共に北朝鮮代表として参加した。

金養建部長、穏健・合理派として知られる 
2回の南北首脳会談に関与 

金正恩第1書記の現地指導に随行する頻度も第3位 
病気療養中のカン・ソクチュ中央委員に代わり対外担当も 
突然の死で金正恩第1書記にも打撃 

「交通事故」の発表...陰謀説持ち上がる可能性も

 金部長と交渉の経験が多い元政府高官は30日、「南北関係を考えると、大きな損失」とし「金部長の役割があまりにも大きかったため、(金部長に代わって)今後金正恩・労働党第1書記を補佐し、対南政策を実務的に取り仕切る人物が誰になるか、すぐには思い浮かばない」と述べた。この元高官は、北朝鮮の最高指導者に直接アドバイスをしてきた金部長の突然の死が、北朝鮮の対南政策と南北関係に及ぼす影響について懸念を示した。

 政府がホン・ヨンピョ統一部長官名義でいち早く北朝鮮に弔意を表明したのも、南北関係へのマイナスの影響を減らすための措置と思われる。チョン・ジュンヒ統一部報道官は30日の定例ブリーフィングで、「(金部長が)対南事業を統括してきた人物であることから、関連の影響があるかどうかを見守る必要がある」と述べた。

 金部長は、今年152回に及ぶ金正恩・労働党第1書記の公開現地指導に30回も同行した。随行の頻度からして、黄兵書・人民軍総政治局長(79回)、最近浮上しているチョ・ヨンウォン労働党組織指導部副部長(43回)に次ぐ第3位だ。金部長の突然の死は、金第1書記にも相当な打撃になるものと予想されている。

 北朝鮮が発表した金部長の葬儀委員会の名簿に、「革命化教育」のため、地域集団農場に送られたとされる崔竜海(チェ・リョンへ)党書記と、粛清説が流れていたウォン・ドンヨン統一戦線部副部長が含まれていることも目を引く。金部長の突然の空白を埋めるための政治的な必要によるものと見られる。崔竜海書記は対中国関係、ウォン・ドンヨン副部長は、対南関係に長く関与してきた人物だ。

 金部長は1942年、平安南道安州(アンジュ)生まれで、金日成総合大学フランス語科を卒業した後、労働党中央委国際部で外交経験を積み、2007年初めから統一戦線部部長を務めてきた。

 北朝鮮が発表した金部長の死亡原因が交通事故であることから、“権力闘争中に事故を装った他殺”という主張など、陰謀論が横行する可能性もある。 2000年代に入って北朝鮮が交通事故で死亡したと発表した高官としてはキム・ヨンスン党書記(2003年)、イ・ジェガン党組織指導部第1副部長(2010年)などがいる。専門家の間では、平壌の交通信号システムが不十分であるうえに、要人が搭乗した乗用車が交通信号を無視して、常にスピードを出して走行しているのが原因と分析する人もいる。

キム・ジンチョル、イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-12-30 21:04

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/724223.html 訳H.J

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