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双龍自動車解雇労働者、6年ぶり復職へ

登録:2015-12-30 22:33 修正:2015-12-31 06:30
労労使で損害賠償請求訴訟撤回など合意 
社内下請解雇6人は新年1月に復帰 
整理解雇者など179人が復職“努力”へ 
赤字からまだ抜け出せず時期は不確実
チェ・ジョンシク双龍自動車社長(中)、キム・ドクチュン民主労総金属労組双龍車支部長(左)、ホン・ポンソク双龍車労働組合委員長が30日午後、平沢市の双龍自動車で整理解雇者の段階的復職など3者合意文調印式を終え手を取り合っている=平沢/イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 2009年の大規模整理解雇により職場を失った双龍(サンヨン)自動車労働者が、復職のための極限闘争を続けてきたが、6年ぶりに工場に戻る道が開かれた。

 双龍自動車は30日に理事会を開き、整理解雇者の段階的復職、解雇された非正規労働者から優先復職、損害賠償請求訴訟および仮差押さえの撤回などが盛り込まれた民主労総金属労組双龍車支部、双龍車労働組合、双龍車間の3者合意案を議決したと明らかにした。 この日理事会の直後に労労使の代表であるキム・トクチュン双龍車支部長、ホン・ポンソク労働組合委員長、チェ・ジョンシク双龍車社長は合意文に署名した。

 労労使の3者は合意文の具体的な内容までは公開しなかったが、役職員の話を総合すると社内下請け解雇労働者6人を2016年1月末に先ず復職させることにした。 会社は2017年上半期までに整理解雇者および懲戒解雇労働者179人を復職させるよう“努力”するとしながら、新規採用を行う場合「解雇者3、希望退職者3、新規採用4」の割合で補充することにした。 同時に双龍車支部に対して提起した47億ウォン余(約5億円)の損害賠償請求訴訟と仮差押さえを取り下げ、復職待機者と構造調整以後に亡くなった遺族の生活支援に使われる15億ウォン(約1億5千万円)台の基金を用意することで合意した。チェ・ジョンシク社長は「会社の成長にとって障害物となった整理解雇問題を6年ぶりに終え、経営正常化に注力できるようになったことは極めて意味が大きい」と話した。

 今回の合意文で最も注目されるのは、労労使が額を突き合わせ2年以上検討し2009年のリストラ過程で解雇された社内下請労働者を正社員として先に復帰させることにした点だ。 完成車メーカーで社内下請け労働者が元請け業者の指揮・監督を受けながら2年以上勤めれば“不法派遣”として元請けに直接雇用されたと見なずという司法での判決を積極的に受け入れたわけだ。 労働3権の障害物になっているという批判が強い労組を相手取った霜害賠償請求・仮差押さえを会社が撤回することにした点も肯定的に評価される。

 しかし、整理解雇労働者が正確にいつ工場に戻れるかは明確でない。 クァク・サンシン・ワークイン研究所研究室長は「解雇者の復職が円滑に行われるには、2017年に発売が予定された新車に対する投資が必要だ」と話した。 双龍車は小型スポーツ実用車(SUV)チボリの販売が好調で、今年1月から11月までに内需8万8313台と輸出4万1335台、合計12万9648台を販売した。昨年同期比で1.2%増加した数値だが、依然赤字から抜け出せずにいる。 イ・ハング産業研究院先任研究委員は「平沢(ピョンテク)工場で利益が出るには15~16万台の生産が必要だが、まだその水準には達していない」として「2000年代初期に確保した技術力で耐えている状況なので、マヒンドラグループが大規模投資をしてこそスポーツ実用車専門メーカーとしてブランド価値を強化できるだろう」と話した。

 双龍車労働者の復職闘争はこの日で終えられたが、彼らが街頭で耐えてきた過去6年余の時間が韓国社会に投じた課題は未だ解決されていない。 2009年双龍車は筆頭株主であった中国上海自動車グループの“食い逃げ論議”以後、大規模人材リストラを断行した。 会社は経営悪化を理由にその年の4月、全従業員の37%にあたる2646人の整理解雇案を通知し、労組はこれに反発して平沢工場を77日間にわたり占拠しストライキに入った。 これに先立ち1666人が希望退職などで退社し、980人は整理解雇された。 ストライキを解除し労使は整理解雇対象者の多数を無給休職・希望退職に切り替えたが、165人は結局整理解雇された。 双龍車リストラ以後に自ら命を絶ったり病気で亡くなったこの会社の労働者と家族は28人に達する。 生き残った人々の身と心も疲弊しているという研究結果も相次いだ。 ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所長は「双龍車事態は大企業の労働者が一瞬にして職場から追われれば、どんな境遇に置かれることになるかを見せてくれた。 職場を失った労働者を保護できるセーフティネットを企業と社会が多層的に準備する必要がある」と話した。

パク・ヒョンジョン、ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/724146.html 韓国語原文入力:2015-12-30 19:22
訳J.S(2126字)

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