『帝国の慰安婦』の著者パク・ユハ世宗大学日語日文学科教授(58)を起訴した検察の決定を批判し、同書に対する評価を学界と市民社会に委ねるよう求める知識人たちの声明が相次いでいる。パク教授の著作に問題があっても司法の判断を求めるのは、思想と学問の自由を締め付ける可能性があるという意見だ。
イ・ナヨン(中央大学)教授やヤン・ヒョナ(ソウル大学)教授など約70人は2日、「『帝国の慰安婦』事態に対する立場」という声明を発表し、検察の起訴決定とパク教授の著書を共に批判し、賛否両陣営の討論を提案した。彼らは声明で、「私たちは、原則として、研究者の著作に対して刑事責任を問うことは適切でないと考える」が、「ただ学問と表現の自由という観点だけで『帝国の慰安婦』事態を捉える態度について、深い懸念を抱かざるを得ない」と明らかにした。
続いて彼らは「慰安婦問題の核心は、日本国家の責任なのに『帝国の慰安婦』は十分な論拠も提示せず、慰安婦被害者たちを『自発的売春婦』と規定し、被害者を大きく傷つけた」と批判しながら、「近いうちに」賛否両陣営に公開討論を行うことを呼びかけた。
これとは別にキム・チョル延世大学教授、作家のキム・ウォンウ氏などは同日午前、ソウルプレスセンターで記者会見を開き、検察の起訴を批判し、公訴の取り消しを求めた。彼らはクォン・ボドレ高麗大学教授、作家のコ・ジョンソク氏、ユ・シミン氏、イ・ジェハ氏、画家のイム・オクサン氏、出版人のキム・ギュハン氏、クム・テソプ弁護士など文化界の約190人が声明に署名したと明らかにした。
キム・チョル、キム・ウォンウ、チャン・ジョンイル氏など190人も
「多様な声の表出を認めるべき」
コ・ジョンソク、ユ・シミン、イム・オクサンなどの署名人の参加も
イ・ナヨン、ヤン・ヒョナ教授など約70人余りは
「研究著作に刑事責任問うのは適切ではないが
学問の自由という観点だけで捉えることにも懸念を抱く」
被害ハルモニたちの「ナヌムの家」は
「学問と良心の自由とは別に
弱者への人身攻撃...処罰に値する」
彼らは検察の起訴について「従軍慰安婦問題に対する世論を国の管理下に置くことは、市民の思想と表現の自由を制限しても構わないという反民主的慣例を生むだろう」と公訴の取り消しを要求しながら、「同書の主張に議論の余地がないわけではないが、難しい事案であるだけに、市民社会の様々な声が自由に表出されて競い合う事ができるように、認めるべきだ」と主張した。
先月26日には、村山富市元首相と大江健三郎氏など、日本と米国の知識人54人が、パク教授に対する韓国検察の起訴に抗議する声明を発表した。
これに先立ち検察は、パク教授を日本軍慰安婦に対する名誉毀損の疑い(虚偽事実の適示)で先月18日に在宅起訴した。この事件を捜査したソウル東部地検刑事1部(部長クォン・スンボム)は報道資料を通じて「検察は、国連の調査資料、憲法裁判所の決定、米連邦下院の決議、日本の『河野談話』など客観的資料を通じてパク教授の著書の内容が虚偽の事実であり、日本軍慰安婦被害者の名誉を毀損したことを確認した」と明らかにした。
検察は、朴教授が著書で日本軍慰安婦の「慰安」は「売春的強姦」だった▽慰安婦が「奴隷的」ではあったが、軍人とは基本的に「同志的」関係だった▽慰安婦を「強制連行」したのは、日本軍ではなかった▽「強制連行」という国家暴力が朝鮮人慰安婦においては確認されていないとした主な内容は、客観的資料と相反するもので、虚偽の事実に当たると判断した。検察は今年6月、慰安婦被害者11人の告訴で、この事件の捜査に着手した。
議論が拡散していることに対し、慰安婦被害ハルモニ(お婆さん)たちが集まって住む「ナヌムの家」のアン・シングォン所長は「ハルモニたちは『出版物による名誉毀損の疑い』でパク教授を告訴したのではなく、学問の自由を口実に、個人の人権を踏みにじった行為に対して処罰を求めたもの」とし、「日本軍による蛮行の被害者を『自発的』『売春婦』などで表現したのは、学問と良心の自由とは別に、弱者に対する人身攻撃であるため、処罰を受けて当然だ」と述べた。
韓国語原文入力: 2015-12-02 19:43