「現地慰安婦と異なり朝鮮人慰安婦は、前線の変更で日本軍部隊が移動するたびについて行く場合が多かった」
2013年の教学社『高校韓国史教科書』検定合格本にあるこの文章は、あたかも慰安婦が自発的に日本軍について行ったように叙述したと批判され問題になった部分だ。批判の世論が高まると教学社は、最終本でこの文章を「韓国人慰安婦は軍駐屯地で搾取されただけでなく前線に動員され強制的に連れまわされた」と修正した。
有力なEBS(教育放送)社長候補とされるイ・ミョンヒ公州大歴史教育課教授は教学社教科書の代表執筆者であり、この慰安婦叙述が載る5章目の「日帝強制支配と民族運動の展開」の執筆者だった。この章では、慰安婦問題以外にも植民地近代化論(日帝支配で韓国が近代化できたとする理論)に基づく叙述と親日行為を合理化するような表現で論争を巻き起こした。EBS労組と言論団体は23日、イ教授のこうした理念偏向性を根拠に社長選任に反対する視聴者署名運動を始めた。
教学社検定合格本と修正命令を経た最終本の288ページには「日帝はすべての韓国人に屈従と戦争に対する協力を要求し、強要に耐えられなかった人はそれに従った」と叙述し“親日合理化”との批判を受けた。検定合格本297ページには、学習評価課題として「崔南善(<チェ・ナムソン>独立運動から親日に転向した人物)には功績と過ちがあるが、功績と過ちを論じる場合、どちらの方が大きいだろうか?」、「主な功績について現在の韓国の『賞勲法』に照らし叙勲するとしたらどんな賞を授ければ適切だろうか?また、親日活動に対してどのような罰を下すことが適切なのか『反民族行為処罰法』に基づき判断してみよう」と提示した。批判後の最終本では「崔南善の親日合理化を批判的に考えてみよう」と修正された。
検定合格本の5章目にある「日帝強制占領期間の社会・経済的変化」では植民地近代化論にもとにした叙述が中心となる。「日帝の支配は以前と異なる生活規則と意識の変化を要求し、植民地的近代観念を注入した」(282ページ)、「韓国人は時間使用の合理化と生活習慣の改善を日帝に強要された」(282ページ)、「1920年代後半から日本の大企業の工業分野投資が急増」(278)、「植民都市は日帝支配が持続し交通と流通の中心地に成長」(280ページ)、「朝鮮王朝時代に差別を受けた中人(朝鮮王朝時代の中間層)、郷吏(下級官吏)、西北人などの社会的進出が活発」(281ページ)等の表現が「日帝強制占領期間を民族の受難史より近代化という枠組みで説明した」と批判の対象になった。
EBS労組と言論労組は「理念偏向したEBS社長の選任反対」を掲げ署名運動に突入した。彼らは「イ・ミョンヒ教授は学校現場で1%も採択されなかった教学社の韓国史教科書の代表著者であり、『芸能人の70%が左派』と公開の場で発言する極右理念偏向の人物」だとし「EBSの主視聴者は青少年や子供たちであるのに、教育と放送に対する哲学と専門性も備わっていない不適格な人物にEBSを任せることはできない」と明らかにした。
韓国語原文入力:2015-11-23 22:10