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市民の常識の力、歴史わい曲教科書の登校を阻んだ

登録:2014-01-07 21:17 修正:2014-01-08 08:40
生徒・父母・教師・市民らが拒否
教育部、特別調査圧迫にもかかわらず学校14校、教学社版採択 撤回させる
‘日本軍慰安婦’被害者であるキム・ボクトン ハルモニ(おばあさん・マイクを持った人)が7日午後、ソウル孔徳洞(コンドクトン)のソウル西部地方裁判所前で記者会見を行い、教学社版教科書の廃棄とソ・ナムス教育部長官の退陣を要求している。 この日の会見には教学社版教科書の歪曲叙述で被害をこうむったとし該当教科書の配布を禁止してほしいと西部地方裁判所に仮処分申請を出した独立活動家の遺族と強制動員被害者の遺族、済州(チェジュ)4・3事件の遺族たちも参加した。 この日、西部地方裁判所では仮処分申請と関連した初公判が開かれた。 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

"金星教科書 左偏向レッテルから始まった保守勢力の歴史戦争 座礁" 評価

 いわゆる保守学者らが作った教学社版韓国史教科書の採択率が0%台に留まることに結論が出た中で、右派勢力が10年余りにかけて行った‘歴史教科書闘争’が市民の常識によって拒否されたという評価が出ている。 2003年、金星出版社の韓国近現代史教科書に対して‘左偏向’レッテルを付けたことから始まった保守勢力の‘歴史戦争’が完敗で一段落する状況だ。

 国会教育文化体育観光委員会所属の野党議員たちが7日、市・道教育庁等を通して韓国史教科書採択現況を集計した結果、全国の高校2370校中でまだ最終確認が終わっていないソウル地域を除き、教学社版教科書を選択したことが把握された学校は慶北(キョンブク)青松女子高ただ1校であることが分かった。 親日と軍事独裁を美化して多くの誤り論難に苦しめられた教学社版教科書が学校現場で選択されずに没落したわけだ。

 教学社版教科書の出現に対して歴史学界では一部保守学者らが、10年前からじわじわと準備してきた歴史戦争の結実だと説明してきた。 保守勢力は2003年金星出版社教科書を巡って‘左偏向’としながら論難を起こしたのに続き、去る2008年ニューライト系列の教科書フォーラムの人々は親日・独裁美化などで議論になった<代案教科書-韓国近現代史>を発刊しもした。

 続いて去る2011年11月イ・ジュホ当時教育科学技術部長官は、教科書に登場する‘民主主義’という字句を‘自由民主主義’に換えろとの長官命令を発動して論難の中心に立った。 当時政府は教科書執筆基準として‘大韓民国が解放後に親日派清算について努力した’という部分を除きもした。 そのために当時にも<代案教科書>のような親日・独裁美化性格の‘保守教科書’が登場するのではないかという憂慮が出された。

 チ・スゴル公州(コンジュ)大歴史教育科教授は、昨年季刊<歴史批評>冬号(通巻105号)で "教科書フォーラムは2008年<代案教科書>出版時‘本を出すにあたって’で、自分たちの歴史観を入れた教科書を作って次世代に譲りたいという野心を示したことがあるが、教学社版韓国史教科書はその結実に該当する作品" と規定した。

 このようにして登場した教学社版教科書は、セヌリ党の支持を受けた。 キム・ムソン セヌリ党議員は昨年9月‘近現代史歴史教室’の集いを開き、教学社版教科書の著者であるイ・ミョンヒ公州大教授が講演させるなど教学社版教科書の後援者の役割をした。 合わせて一部の保守団体は、公文書や広告文形態で地域学校長などに教学社版教科書を選択しなければならないというなどと主張した。

 だが、保守勢力の努力にもかかわらず、市民たちは教学社版教科書を冷遇した。 特に一部の学校がこれを選択すると生徒・父母など教育主体の抗議に押されて他の教科書に変更した。 このような学校は7日現在把握された学校だけで計14校に達する。

 変化が市民の手により始まったという点は注目に値する。 京畿道(キョンギド)水原(スウォン)の東佑女子高の事例が代表的だ。 ある在学生が‘歴史を忘れた民族に未来はない’という内容を込めて書いた大字報は、学校により10分後に剥がされたが周辺に大きな響きをあげて連鎖反応を起こした。 教師が校長などに外圧を受けたとして良心宣言をするかと思えば、同窓の大字報デモなどにつながった。

 教学社版教科書撤回是非を巡って終盤まで陣痛を味わった全北(チョンブク)全州(チョンジュ)の象山(サンサン)高校も7日に採択撤回を明らかにし、同日京畿(キョンギ)坡州(パジュ)のハンミン高は全面再検討決定を下した。 特にこれらの学校に対しては教育部が直接特別調査を行い、事実上現状維持を圧迫したにもかかわらずこういう決定がなされたという点で意味がより大きい。

 ハ・イルシク延世(ヨンセ)大教授(韓国古代史)は「日本で歴史わい曲教科書である‘扶桑社教科書’波動が起こった時、採択率が0.039%であった。 自分たちが行った植民統治を美化し他国を侵略した行為を称賛する教科書が、日本においてすら1%未満であったのに、我が国はその侵略に遭って植民支配を受けた国なのに親日美化教科書の採択率が1%に達しかねないという話を聞いてむしろ驚いた」と話した。 ハ教授は「生徒・父母・教師・市民社会が理性的な判断をしているという点では肯定的に見るが、反対に学界で誤り・不良の塊りだと指摘したのに15校もの学校の管理者がこれを採択したという点は心配なことだ」と話した。

ウム・ソンウォン記者 esw@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/618783.html 韓国語原文入力:2014/01/07 19:59
訳J.S(2385字)

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