「正しい道を歩んできた大半の軍人たちに当然帰すべき栄誉が傷つけられた不幸な時代がありました。私はこの過ちを正さなければならないと思っています」
金泳三(キム・ヨンサム)元大統領は大統領に就任9日後の1993年3月5日、陸軍士官学校卒業式で維新独裁・軍事政権時代の政治軍人を強く批判し、そう述べた。軍事政権を終息させた文民政権の5年間を貫いた“歴史を正す”作業の予告編だった。
課題は一瀉千里に進められた。金元大統領は「5・16は明らかにクーデターだと思う」(1993年6月3日の就任100日記念記者会見)と断じた。また「1980年5月の光州の流血は、この国の民主主義の礎となった」(1993年5月13日の5・18光州民主化運動関連談話)として、5・18光州民主化運動記念日の制定も発表した。「新しい文民政府は臨時政府の輝く正統を受け継いでいる」(1993年8月15日祝辞)と大韓民国の正統性を臨時政府に求めた。金元大統領の“正しい歴史”に対するこのような信念は、文民政権でハナ会の解体、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領の拘束、旧朝鮮総督府庁舎の解体など、いわゆる「過去の清算」が行われる背景になった。
当時金武星(キム・ムソン)大統領府民政秘書官とソ・チョンウォン第1政務長官も最側近の参謀として「歴史を正す」作業の先頭に立った主役だった。20年が過ぎた現在、セヌリ党のナンバーワンとナンバーツーになった金武星セヌリ党代表とソ・チョンウォン最高委員は、最近の政府の歴史教科書国定化方針の“先鋒”に立っている。当時の金泳三大統領の“正しい歴史”と今の朴槿恵(パク・クネ)大統領の“正しい歴史”が、その内容において正反対の方向を向いていることから、金武星代表とソ・チョンウォン最高委員の歴史認識は極端な矛盾を露わにしている。
特に金代表は最近の国定化政局で「大韓民国国史学者の90%は左派だ。必ず勝たなければならない歴史戦争が始まった」として国定化に懸念を示す多数の世論と“全面戦争”を宣言する反民主的な行動を見せている。さらに金代表は「李承晩(イ・スンマン)国父論」を再三強調し、ニューライト系の「1948年8月15日は政府の樹立日ではなく、建国日」という主張に同調するような立場を示した。金代表のこのような態度は、「文民政府は臨時政府を継承する」とした金元大統領の意に反するものだ。ソ最高委員も先月、「教科書国定化のための秘密タスクフォース」を運営した疑惑を確認するために事務室を訪れた野党議員たちを「無頼漢」に例える暴言を吐いた。
彼らが「政治的父」「政治的なゴッドファーザー」と呼ぶ金元大統領が生涯を通じて消し去ろうとした親日・独裁の残滓をむしろ美化し、金元大統領が命をかけて成し遂げた民主主義を退行させる作業に前面に出たのだ。金元大統領の次男、ヒョンチョル氏は、朴大統領が国定化強行の意志を明らかにした先月8日、ツイッターに「親日と独裁を一方的に美化する国定化の試みだけではなく、韓国国民の半分を一瞬にして共産主義者にしてしまう守旧勢力が幅を利かせる現政権こそが、いかに反民主的で守旧独裁的なのかを如実に表している」と批判した。
韓国語原文入力: 2015-11-23 19:33