登録 : 2015.11.21 02:51 修正 : 2015.11.21 09:39

デモ参加者を重傷にさせた放水銃をシミュレーション

民衆総決起大会で放水銃に撃たれた農民が重体に陥った中で、17日、放水車がどのように運用されるのかを見せるため、ソウル市中区のソウル地方警察庁機動本部で放水銃の直射を試演している=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
 今月14日、ソウル・光化門(クァンファムン)の民衆総決起大会で放水銃に撃たれ、脳出血で倒れたペク・ナムギ氏(69)が意識を失ったまま、1週間目を迎えました。家族と専門家らの話を総合すると、ペク氏は植物状態に陥っており、目が覚めても一生自力では生活できない可能性が高いそうです。一体どれぐらいの衝撃を受け、これほども重傷を負ったのでしょうか。

 警察は17日、記者らを招き、放水車のデモンストレーションを行いました。警察が地面に放水銃を撃つと水しぶきが大人の膝の高さまで上がりました。記者たちはマネキンを立てて実証してみようと提案しましたが、断られました。記者が直接受けてみるという提案も拒否されました。目で見るだけでは、全く感覚がつかめなかったです。

マネキンや記者に対するデモンストレーションの拒否などを受け、専門家が検証に乗り出す

 「番組で、消防ホースを使用して人に放水してみたり、リュ・ヒョンジン選手が投げたボールで推定してみたりもした。私はエンジニア(工学者)だ。実際の力の大きさを測定できる技術を持っているので危険度を測定して見ようと思った」

 議論が続く中、計算流体力学(CFD)の専門家が(実証に)乗り出しました。計算流体力学は、動的な動きをコンピュータに入力した数値で解釈する、難しい分野です。航空、船舶、自動車などの風による抵抗などを計算するときに使われるそうです。14年間、この分野で仕事してきたK氏が、様々な数値をコンピュータに入力し、ペク氏が受けたはずの衝撃を計算しました。

 K氏は、警察の放水車のデモンストレーションの際にマスコミに報道された情報をもとにシミュレーションを開始しました。デモ隊の身長、クレーンの高さ、放水銃を撃つブーム高さなどを考慮して放水銃の高さを7.5メートル、散水角度は45度と仮定しました。これにより、放水銃からデモ隊までの距離は約10メートルとなります。警察が明らかにした水の圧力は、15バール。放水穴の大きさは45ミリメートル。流速を計算してみると、1秒に54メートルとなります。

 デモ隊は、身長170センチメートル、肩幅60センチメートル、胸の厚さ30センチメートルの楕円形の柱に設定されました。ノズルの位置や発射角度、流速などを入力してシミュレーションを行いました。いくらの圧力値が出てきたのでしょうか?人を倒せる力である「トルク値」が363キログラムメートル(㎏f-m)となりました。

 トルク値=363キログラムメートル。何を言っているのかお分かりですか? 2000シーシー(cc)のガソリンエンジンのソナタ(現代自動車の車名)の最大トルクが20.5キログラムメートル/ 4800rpmです。国内で生産されている最大のトラックの27トンダンプトラック(12700シーシー)の最大トルクは265重量キログラム(kgf)です。自動車でのトルクとは、簡単に言って車輪を回す力です。トルクが発生した際、1分間でエンジンが回る回転数の単位がrpmです。 2000シーシーソナタの車輪を転がす最大力が20.5キログラムメートルで、この時エンジンが1分間4800回の車輪を回せるということです。

 それでは、再び放水銃のトルクを話に戻りましょう。K氏のシミュレーションの結果、ペク氏が受けたトルク値は363キログラムメートルです。これは、最大トルクが20.5キログラムメートルの2000シーシーのソナタ17台のエンジンを同時に回さなければ、得られない力です。27トンという想像するのが難しい重量を載せて移動するダンプトラックの車輪を回す力(265キログラムメートル)よりも、はるかに大きな衝撃を受けたことになります。

“脳損傷”引き起こす数値...集会の参加者たち「実験よりの強く、近かった」

ペク氏が撃たれた放水銃の威力について計算流体力学の専門家が実証に乗り出した。この分野で14年間働いてきたというK氏が、様々な数値をコンピュータに入力してペク氏が受けた衝撃を計算した=フェイスブックキャプチャー//ハンギョレ新聞社
 「わかりやすく」説明してみましょう。カンフー選手のパンチ力が220重量キログラムです。空手選手のパンチ力は370重量キログラムで、テコンドーのパンチ力は415重量キログラムです。空手選手のパンチをまともに受けたレベルです。これは、脳の損傷を引き起こす可能性がある数値です。

 もちろん、この値は、10メートルの距離から3000アールピエムに水を撃った際の測定値です。警察は、ペク氏に20メートルの距離で2800rpm程度を撃ったと主張しています。一方、警察の放水デモンストレーションと集会当日、放水銃を見たネチズンやマスコミは放水銃の圧力との距離が警察の主張よりもさらに強く、また近かったと言っています。

 警察は、ペク氏が倒れた後にも、横になっているペク氏に20秒ほど放水銃を撃ち続けました。あの位の圧力を20秒ほど体で受けたのです。K氏はハンギョレとのインタビューで、「10%前後の誤差があったとしても、あれを国民に向かって撃つのは死ぬということだ」と話しました。実際散水車を納品する事業所で働いたことがあるという職員は、ハンギョレとのインタビューで、「人に向かって照準射撃するということは、人を殺そうとするものだ」と言いました。2人の専門家の意見が一致しますね。

 政府は倒れたペク氏にまだ一言の遺憾表明もしていません。むしろ暴力デモ参加者を探し出すのに必死です。暴力集会の根絶も重要だが、市民に向かって撃つ“殺人兵器”に対するコントロールを先に行われるべきではないでしょうか?

ファン・チュンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-11-20 10:17

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/718343.html?_fr=mt2訳H.J

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