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米NSA監視プログラムで韓国外交部もハッキングされた(下)

登録:2015-11-09 12:47 修正:2015-11-13 21:46

 スノーデン文書には「X国のすべてのVPN(仮想私設網)ベンチャー企業リスト」をXキースコアで簡単に検索することができるという、見過ごせない課題が登場する。職員教育用プレゼンテーションファイルと推定される。また、他のファイルには「私の監視対象はドイツ語を駆使するがパキスタンに住む。彼を捜し出せるか」という予告課題例が提示される。「Xキースコアはすべての言語のインターネット通信情報を抽出して保存するので可能だ。Xキースコアでだけ可能」という返事が続く。

NSAハッキングプログラムのXキースコア//ハンギョレ新聞社

 ニュージーランドヘラルドが公開した文書に「2013_wto_project」(2013年のWTO計画)という名の一連のXキースコア検索内容が載っている。同文書によると、ニュージーランド政府通信安保局はXキースコアを利用して全世界の電子メール内容を対象に「WTO」「candidate」(候補)などの単語をキーワード検索した。また、この単語をニュージーランドを除く8カ国の候補の名前と組み合わせて検索した過程が文書に表われる。たとえばパク教授の英文性「BARK」をはじめ「KYEREMATEN」(キエレマテン)、「MOHAMED」(モハメド)、「GONZALEZ」(ゴンザレス)、「BLANCO」(ブランコ)、「AZEVEDO」(アズベンド)、「PANGESTU」(パングエストゥ)、「HINDAWI」(ヒンダウィ)等の名前がすべて検索語になっていた。ただし文書には、ニュージーランド情報機関が候補らのどの電子メールを確保したのか結果は出されていない。第2に、パク元候補をはじめとする監視盗聴被害者がテロや犯罪と関係がなかったことだ。5アイズが一種の“情報帝国主義”を形成したという点を示す事例だ。5アイズの情報共有は既存のスノーデン文書で知らされていたが、生々しい事例として明らかになった。

Xキースコアで提示された予告課題例//ハンギョレ新聞社

 暴露後の韓国とニュージーランドの対応が対比される。事件は今年初め、現地マスコミの報道後にニュージーランドで政治的争点になった。韓・ニュージーランド自由貿易協定(FTA)が締結された3月23日に不法監視盗聴暴露の記事が出された点も、ニュージーランド政府の立場を悪くした。環太平洋国家との関係悪化、監視盗聴の不法性などをめぐり国会で与野党が論争になった。

 今年4月1日に開かれたニュージーランド下院会議速記録によると、緑色党のケネディ・グレアム議員が「環太平洋の隣人に対するスパイ行為に加え、政府通信安保局はティム・グローサーの競争候補を監視盗聴することにより、一介の個別閣僚にまでサービスを拡大させた。監視盗聴された候補たちには大韓民国、インドネシア、ブラジルの候補がいる。このような行為はその国の政府に侮辱的であるだでなく、不法行為に近い」と批判した。

国家安保局のデータベースで携帯電話番号、Eメールアドレス、(ターゲットの)ログイン情報、(ターゲットの)インターネット活動などをすべて検索できることを示す//ハンギョレ新聞社

 これに対し韓国は、今までいかなる公式的対応もしていないことが確認された。グレアム議員の発言録によると、ニュージーランド首相は韓・ニュージーランドFTAのために今年初め朴槿恵(パク・クネ)大統領と2度会っているが、「その問題は言及されなかった(the matter has not been raised)」と議員に答えた。今年4月2日のニュージーランド議会会議録では、この事件で野党議員が政府を追及している。出席したティム・グローサー通商部長官が「(電子メール監視盗聴と関連して)ブラジル政府と大使館次元で話し合った。ニュージーランド政府は私たちの活動に対しすべての友好国政府に明らかに説明する用意ができており、こうした提案は今も有効だ。(しかし)韓国政府から(説明の)提案を受けてはいない(It was not taken up by the Korean government)」と明らかにした。パク教授はハンギョレとの電話インタビューで事件について「政府から連絡を受けたことはない」と答えている。

二つとも(フライングピークとハッシュパピー)大量の無差別的なデータをもとにした分析道具だ//ハンギョレ新聞社

 不法監視盗聴に無対応で一貫したため、ニュージーランドのジョン・キー首相が「韓国は自国のWTO事務総長候補を私たちが監視盗聴した件に対してそれほど意に介していない(wouldn’t give a monkey’s)」と発言した事実もニュージーランド議会会議録で確認された。

 元NSA職員のトーマス・ドレーク(58)は先月12日の電話インタビューで「Xキースコアに電子メールを自在に監視盗聴する能力はあるのか」とのハンギョレの問いに、「韓国の候補を相手にそれがされたかは知らないが、電子メールをハッキングするのはもちろん可能だ」と答えた。ドレークは「技術の登場で対話、情報、データベースなどに(NSAが)接続できるようなった」と語り「こうしたチャネルに接近して情報を容易に窃取することができる」と説明した。ドレークは1989年から2008年にかけNSAに勤務した。ロシアに滞在しているのが分かったエドワード・スノーデンは先月29日、彼を素材にしたドキュメンタリーの韓国試写会で「NSA監視盗聴対象に韓国も含まれるのか」という進行者の質問に、画像通話を通じて「もちろん」と答えた。

韓国企業のサーバー情報//ハンギョレ新聞社

 ニュージーランド政府の情報セキュリティー調査官(インスペクター・ジェネラル)シェリル・グウィンは、「ニュージーランド政府の通信安保局が確保したパク教授のEメールは何か」というハンギョレの問いに、「事件に対する調査がまだ進行中でありコメントするのは適切でない」として「今年末に調査結果が出ることを希望しており、結果が出れば公開する」と電子メールで回答した。外交部に事件に対する政府の対応を尋ねたが、外交部は「承知していない」と短く答えた。ソウル大に電子メール・インターネット網の状況、ハッキングの可能性、ニュージーランドからの通知など、この事件に関しハンギョレが尋ねると、ソウル大は「答えられない」と短く答えた。

クォン・オソン、コ・ナム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-09 01:26

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/716538.html?_fr=mt1 訳Y.B

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