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[ニュース分析]バランス外交で進退窮まる朴大統領

登録:2015-11-05 04:04 修正:2015-11-05 17:25
米日が作った枠組みの中で動きがとれず 
「外交立地強化」と自己評価しながら 
米中歴訪で大きく異なる行動 
米国の圧迫で行われた韓日首脳会談 
慰安婦解決の前提条件の撤回も
朴槿恵大統領とフランソワ・オランド仏大統領が4日午後、ソウルハイアットホテルで開かれた「韓仏経済協力フォーラムと高等教育フォーラム開幕式」で挨拶を交わしている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領の米国、中国、日本など朝鮮半島周辺国に対する秋の外交が一段落した。中国戦勝節への出席と韓中首脳会談(9月2〜4日)、韓米首脳会談(10月13〜17日)、3年半ぶりの韓日首脳会談(11月2日)と韓中日3カ国首脳会談(11月1日)につながる息つく間もない日程だ。政府は朴大統領が米国、中国、日本との相次いだ首脳会談で「バランス外交」と「統一外交」の基盤を強化し、拡大したと自ら評価している。専門家たちの評価は分かれる。保守性向の専門家が概ね肯定的に評価した一方、革新性向の専門家は、朴槿恵政府の外交がますます困難な状況に追い込まれたと懸念を示している。

 朴大統領は、9月初めに中国の戦勝節行事に出席することで、秋の外交のスタートをきった。米国側の事実上の反対を押し切った“主導的選択”だった。西欧諸国の最高指導者ではただ一人で戦勝節行事に出席し、天安門楼に中ロ首脳と肩を並べた朴大統領の姿は、それ自体で強烈な外交的メッセージだった。しかし、米国には日本が熱心に説いてきた韓国の「中国傾斜論」に油を注いだ行為として受け止められたようだ。

 朴大統領の10月中旬に訪米日程は、いわゆる「中国傾斜論」の解消に焦点が当てられた。実際、大統領府は中国傾斜論の解消を最も重要な訪米の成果の一つとして挙げた。朴大統領が訪米期間中、唯一の政策演説の場所に戦略国際問題研究所(CSIS)を選んだのも、中国傾斜論を最も強く提起してきた研究所であることを意識した措置だった。朴大統領はそこでいくつかの問題発言をした。「韓国は、米国のアジア・太平洋再均衡政策の重要なパートナー」とし、「韓米同盟の奇跡の歴史を朝鮮半島全域に拡大していかなければならない時」という発言が代表的だ。中国側に「親しいふりしておいて、結局米国側に並ぶのだ」と思わせるような発言であり、北朝鮮に過剰反応を引き起こさせ、中国も反対する“吸収統一の試み”として捉えられかねないメッセージだった。専門家の間で「朴大統領が米中間で“相補”の道ではなく、相反する道を歩いている」という懸念の声が高まったのも、そのためだ。さらにオバマ大統領は朴大統領との記者会見で、「中国が国際規範を遵守するのに失敗した場合、韓国が声を出さなければならない」と釘を刺そうとした。

 韓中日3カ国首脳会談をきっかけに苦労してこぎ付けた韓日首脳会談は、朴大統領にとっては両刃の剣だった。「過去の敵を非難する挑発は進展ではなく、麻痺をもたらす」(2月27日ウェンディ・シャーマン米国務省政務次官)という、米国側の強力な圧迫に押されて会談に向かったためだ。さらに日本の安倍晋三首相が米国の露骨な支援を受け「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改正(4月27日)と集団的自衛権行使を骨子とした安保法制制・改定案の議会通過(9月18日)で「戦争できる日本」という夢を実現させ、事実上あまり必要に迫られていなかったのに対し、朴大統領は政権発足直後から掲げていた日本軍慰安婦被害者問題の解決という前提条件を撤回して協議に臨まなければならなかった。日米「新蜜月時代」の到来は、北東アジア域内秩序の緊張を高め、韓国の地位を不安定にせざるを得ない。

 南シナ海をめぐる“日米対中国”の構図も韓国にとってはジレンマだ。キム・ジュニョン韓東大学教授は4日、「日米が今年望んでいたことをすべて実現させたためか、ますます何も憚ることのないかのような動きを見せている」とし「韓国は日米が作った枠組みに入ることも入らないこともできない、困難な状況に追い込まれた」と指摘した。ムン・ジョンイン延世大学教授は、「朴槿恵政権が南北関係は後回しにしたまま、周辺国との外交だけに重点を置いている」とし「南北関係を軌道に乗せて置かなければ、周辺国との外交と南北関係の好循環を通じて韓国の地位と平和統一の可能性を高めることができない」と助言した。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-11-04 19:50

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/715989.html 訳H.J

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