中国主導のAIIBと真っ向対決の構図
オバマ米大統領「中国が世界経済のルールを決めさせるわけにはいかない」
国有企業への支援撤廃などの規定盛り込まれる
中国の参加が困難に...中国メディア「不快感」露わに
RCEP妥結に拍車をかけることで対応する見込み
米国が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が5日(現地時間)妥結し、東アジア経済領土をめぐる米中間の覇権争いに本格的に火がつくものと予想される。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)などと真っ向から対決する構図になったからだ。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは5日、TPPの妥結について「米国の同盟国と日本が世界貿易の未来を形作る問題をめぐる戦いで勝利を収めた」と報じた。バラク・オバマ大統領も5日、TPP交渉妥結直後、歓迎声明を通じて「中国のような国に、世界経済のルールを決めさせるわけにはいかない」とし「米国がルールを直接作り、米国の商品を販売できる新たな市場を開拓しなければならない」と述べた。米国主導のTPPを通じて、中国の浮上を牽制しようとする“本音”を露わにしたのだ。
TPPは米国の「アジア重視」政策の決定版として、その背景には、世界経済の40%を占める12カ国との間の巨大な単一市場を作ることで、東アジアに対する影響力を拡大しようとする米国の意図が横たわる。交通ルールが一度決まれば、ドライバーや歩行者が従わなければならないのと同様に、後発の加盟国は米国が定めたルール守らなければならない。
問題は今回の協定に、知的財産権の強化▽国有企業に対する支援の撤廃▽労働・環境権の基準の強化などが盛り込まれており、政府主導の経済比重が依然として高い中国にとしては、これを受け入れて参加するのが難しいという点だ。中国がTPPを「中国排除の経済ブロック」として捉えているのも、そのためだ。
中国は表面的には、TPPの妥結が自由貿易の促進につながることを望んでいるとの立場を示した。中国商務省報道官は5日、「TPP協定がアジア・太平洋地域の重要な自由貿易協定(FTA)の一つ」だとし「中国は世界貿易機関(WTO)のルールに準拠して、アジア・太平洋地域の経済一体化に役立つ制度の建設に開放的な態度を堅持している」と述べた。
しかし、官営メディアは、日米などが中国を排除したとして、不快感を露わにした。民族主義性向の『環球時報』は6日、「TPPで中国経済を圧迫して倒そうとするのは行き過ぎた想像」という題名の社説で、米国と日本を狙って「一部のTPP加盟国は、TPPを中国を封鎖するテコとして活用しようとしている。しかし彼らの意図が実現されるかは疑問であり、いかなる国際通商ルールも世界第2位の経済規模の中国の参加なしには、完全とは言えない」と批判した。中国の中では、輸出品目が中国と似ているベトナムがTPPに加盟したため、中国の輸出や外国の製造業者の誘致に打撃を受けるものと見られている。
今回のTPP妥結は、今年6月に調印式を終えた中国主導のAIIBに対する米国の対応としても捉えられている。中国が2013年から進めてきたAIIBの設立は、2010年から本格的に交渉を開始したTPPに立ち遅れている。しかし、遅れたアジア地域の社会間接資本の開発を名分に創立加盟国のみ57カ国に達するなど、その勢いは(TPPに)引けを取らない。オバマ大統領がTPPの妥結を強く押し進め、成功させたのは、中国のAIIBなどをけん制するためのものと思われる。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国の次の出方と関連して、米国が枠組みを作ったTPPへの加盟を急ぐよりは、当分の間、自分たちが作った道を歩み続けると予想した。中国はAIIBと「一帯一路」(陸・海上シルクロードを結ぶ中国中心の経済ベルト)構想を連携して、アジア地域の経済主導権を握るという構想を持っている。また、中国の主導で韓国、日本、東南アジア諸国連合(アセアン)10カ国、オーストラリア、ニュージーランド、インドなど16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉妥結に拍車をかけるものと見られる。RCEPはTPPに比べ、開放の程度が低い包括的な貿易協定だ。
韓国語原文入力:2015-10-06 19:56