登録 : 2015.10.29 00:32 修正 : 2015.10.29 06:08

チョン・オクチャ・ソウル大名誉教授が沈黙破り批判 
「国定化撤回以外に方法はない」

チョン・オクチャ・ソウル大名誉教授=資料写真//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク)政権で国史編纂委員長を務めたチョン・オクチャ・ソウル大名誉教授(73)は22日、「国定教科書を作っても寿命は(朴槿惠<パク・クネ>政権の残余期間の)2年しかない。子供達に大きな被害を与えるだけだ」として「国定化を撤回する以外に方法はない」と述べた。 1981年にソウル大国史学科初の女性教授に任用されたチョン名誉教授は、朝鮮後期知性史研究の権威者であり、代表的な中道歴史学者と評価されている。 チョン名誉教授はこの日、ハンギョレとの電話インタビューで「歴史には多様な解釈があり得る。そういうことを生徒たちに教えるのが教育の道なのに、今の子供たちに注入式で一つの解釈だけを強要しようとするのは時代に逆行するもの」と述べた。

 チョン名誉教授は国史編纂委員長(2008年3月~2010年9月)を最後に公職から退き、故郷の江原道春川に移り住み、これまでマスコミインタビューや文筆活動など公的な活動を自ら慎んできた。 この日も「人生は晩節が重要だという考えから、引退後はむやみに人前に出ることはしなかった。しかしこの問題はあまりにも深刻で重要な事なので、一言せざるを得ない」と明らかにした。

 チョン名誉教授は現在の歴史教科書を不良品と決めつけることからして問題だとして「教育部がその都度検定委員会を作って行なっていた検定作業を国史編纂委で担当することになって(2011年)、準備不足等から誤字脱字や事実関係の誤謬、歴史観問題などを初期に充分ふるいにかけられなかったのは事実だ。しかし修正過程を経て、現在は大きな問題となる部分はない。にもかかわらず、極右勢力は修正前の歴史教科書をとりあげて問題にしている」と指摘した。

 チョン名誉教授はこのような誤った主張に便乗して政府がいわゆる「正しい歴史教科書」を作ると言うのは全く話にならないと批判した。 「国定にすれば何か至純至高の教科書が出てくるのか。大半の筆者がみな執筆しないと宣言し、歴史学界が反対しているのに、うまくいくわけがない。だからこれはあくまで(現政権期間の)“2年間教科書”にしかならない。結局子供たちに大変な被害を与えることになるだろう。子供たちを相手に政界や大人たちがいったい何をやろうとしているのか、本当に理解できない」と叱咤した。

■「歴史学界を左派と決め付けるのは自ら悪質右派を名乗るも同然」

 また「朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領は功過が半々だ。食べるための経済問題を解決しようと努力し、その求心点になったことは功だ。 過は独裁だけでなく現在韓国社会が抱えている多くの問題を作り出したという点だ」として「娘として父親を高く評価したがるのは人間的にはあり得ることだが、大統領としては公的な立場を維持しなければならない。それを混同しているようだ」と付け加えた。

 受話器を通して伝わってくる老学者の声は断固としていた。 政府の国定化の措置は一言で言って「時代に逆行する」というものだ。 チョン名誉教授は「歴史というものは基本的に事実を語らなければならず、その事実に立脚して多様な解釈が可能である。そういうことを話してやって、子供たちも理解し判断するようになるのが教育の道だ」として「今はもうそんな時代ではないのに、子供達に注入式で一つの解釈だけを強要し縛ろうとするのか。 時代を逆に回転させようとしているようで、実に嘆かわしい」と述べた。

 史観問題については、これからは平和史観で進まなければならないと強調した。「今になって民族主義史観だけに固執するわけにもいかず、かといって唯物史観に同調することができようか。民族主義は帝国主義と全く同じ力の論理だ。 私たちがいつまで強大国の論理に従って富国強兵が最高だという風にやっていくつもりか。もう両方から脱するべきだ。 民族利己主義ではなく世界が平和に共存できる平和史観、文化史観に進むべきだ。そういうことを多様に生徒たちに教えればいい」と話した。

 チョン名誉教授は、国定化推進の中断を強く促した。 「国定にすれば正しい教科書になるという保障がどこにあるか。そんなことは絶対に保障されない。むしろ国民は国定に向かう政府の意図を不純なものと見ているではないか」として「解決方法は国定化の撤回以外にない」と言い切った。次いで「国定でなく検定でやるけれども、明確かつ多くの人が同意できる検定基準を作って国史編纂委員会に検定を任せれば、良い教科書を作ることが可能だ」と明らかにした。 さらに「歴史学者の90%が左派」という与党の主張に対しても、チョン名誉教授は「国民の考えや常識、教養が政治家より進んでいるというのに、政治家たちが理念攻勢に余念がないのは、極めて幼稚なこと」として「歴史学界を左派と決め付けることこそ、ニセ右派であり質の悪い右派であることを自ら認めるようなものだ。右派にも良質の右派が、保守にも良心的保守が存在して初めて、国家がうまくいく。 誰を指して左派と言うのか、あまりにばかばかしく情けない」と批判した。

キム・ジョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-23 10:14
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/714174.html 訳A.K(2333字)

関連記事
  • 오피니언

multimedia

  • most viewed articles
    • hotissue