政府と与党が歴史教科書国定化を推進させるため行ってきた発表が偽りであることが相次いで確認されている。今月12日の行政予告以前から密かに国定教科書関連業務を遂行してきた非公開のタスクフォース(TF)チームの存在まで確認され、「政府与党が無理な嘘で国民を欺いている」との批判の声が高まっている。
国定教科書への方針を確定した時期からして不透明だ。国定教科書導入の責任者であるファン・ウヨ教育部長官は9日、国会教育文化体育観光委員会の国政監査に出席して「(国定化と関連して)確定されたものはない。国政監査での委員たちの発言を検討した後で決定する」と述べていた。ところが、国定化TFチームは今月5日から活動を始めたと教育部は説明した。国定化方針が早くから決まっていたことが推察できる。教育部は、「国定監査に備えるため、急いで組織を立ち上げた」と釈明したが、この組織の運営計画には、執筆陣の構成など、国定教科書に関連した具体的な業務が明示されている。
その後も教育部は、国定化関連予算についても野党議員たちに虚偽の報告をした。政府は13日の閣議で国定教科書関連の予算44億ウォン(約4億7千万円)を予備費から支出することを密かに議決した。にもかかわらず翌14日の国会の予算説明会で、文部科学省担当の局長と課長は「(国定化予算は)「予備費にするか、それとも本予算にするか、まだ何も決まっていない」と報告した。国会教育文化体育観光員会所属のアン・ミンソク新政治民主連合議員は、「公務員が国会に来て嘘をつくということはあってはならないことだ」と批判した。
イ・ビョンギ大統領秘書室長が23日、国会運営委員会の国政監査で行った主張も偽りであったことが続々と明らかになった。イ秘書室長は当時、「歴史国定教科書は、教育部が自主的に推進する事業」だと線を引いた。ところが、国定化TFチームの実体が明らかになり、これまで大統領府教育文化首席室が国定教科書問題の報告を受け、管理してきた事実が確認された。
また国政監査でイ秘書室長は「ソウル大学、高麗大学、西江大学、梨花女子大学の4大学で執筆拒否を宣言した教授のうち、これまで中高校の歴史教科書を執筆した人はいない」と主張した。しかし、4大学で執筆拒否を宣言した教授たち数人が金星出版社、教学社など様々な出版社の教科書執筆に参加していた。根拠もなく、事実と全く異なる主張を展開したのだ。現行検定教科書の内容と関連して、政府与党が仕掛けた攻撃はことごとく反論されている。今月19日、KBS(韓国放送)など地上波放送を通じて教育部が流した「柳寛順(リュウ・グァンスン)広告」が代表的な事例だ。40秒の映像で、教育部は、「私はあなた(柳寛順)を知りません。 2014年まで一部の教科書には柳寛順はいませんでした」と、まるで検定教科書が柳寛順烈士を排除したかのように広告した。しかし、2015年に改正された韓国史教科書のすべてには柳寛順烈士が収録されている。むしろ過去の国定教科書に柳寛順烈士関連の記述がなく、検定制になってから関連記述が増えた。
「金日成(キム・イルソン)主体思想を子供たちが学んでいる」という、セヌリ党の垂れ幕に書かれた主張も事実を正反対に歪曲したことが判明した。与党が代表的な左寄りの教科書だと批判してきた金星出版社の『韓国史』教科書をはじめ、8種類の検定教科書すべてが「主体思想は、結局金日成の個人崇拝につながった」と批判的に記述している。検定教科書の執筆に参加したある教授は、「教育部とセヌリ党が国定化を強引に押し通すために事実を覆い隠し、国民を欺いている」と批判した。
韓国語原文入力:2015-10-27 19:47