「権力からの独立は、数多くの学者と史官の犠牲の上に立てられた歴史学と歴史教育の理想です。国定教科書執筆に参加しないことはもちろん、研究・諮問・審議など、一切の関連業務に協力しません」
22日、ソウル冠岳区のソウル大学キャンパスのシンヤン館国際会議室。ソウル大学国史学科、東洋史学科、西洋史学科、考古美術史学科、歴史教育科教授36人を代表して記者会見場に現れたオ・スチャン教授、パク・フンシク教授、キム・テウン教授が声明を読み上げた。「様々な史料と方法論を通じた開かれた歴史解釈が不可能に」、「非専門家の不当な干渉」、「人権の問題」、「平和統一と世界史教育のための指向の不在」。3人の教授は、国定歴史教科書に反対して執筆を拒否する理由を一つひとつ説明していった。
声明が発表される間、講義室の後ろでは、「韓国史教科書国定化を反対するソウル大学人の会」所属の学生5〜6人が「1972年(朴正煕<パク・チョンヒ>大統領が10月維新を宣布した年)を思い出してください」、「正しい歴史があるなら、正しい過去もあるのですか?」、「歴史教科書は権力の下手人ではない」と書かれたプラカードを持って執筆拒否宣言に出た教授たちを応援していた。
ソウル大学の歴史関連5つの学科所属の教授たちは、「今、政府が作ろうとしている国定歴史教科書は、今日の大韓民国にふさわしくない、それ自体として『正しくない教科書』」だとし、「今からでも政府与党は賢明な判断を下し、歴史教科書の国定化政策を撤回することを期待している」と明らかにした。歴史教科書反対・執筆拒否声明には、全44人のうち36人の教授が参加した。彼らは声明の内容を盛り込んだ意見書を教育部長官に送った。
学科長であるソウル大学国史学科のオ・スチャン教授は「ソウル大学の教授たちが、単一の事案についてこれほどたくさん参加したのは異例のことだ」と述べた。オ教授は「来週は(歴史関連学科を越えて)ソウル大学教授たちが(国定化反対)の立場を発表する」と予告した。
今月12日、政府が歴史教科書国定化強行を発表して以来、歴史専攻の教授たちの執筆拒否宣言は13日、延世大学を皮切りに、慶煕大学、高麗大学、梨花女子大学、成均館大学など、ソウルの主要な私立大学はもちろん、釜山大学、全南大学、忠北大学、慶北大学、済州大学などの地方の国立大学と 晋州教育大学、全州教区大学など、教育大学にまで急速に広がっている。韓国教員大学はすでに先月22日に執筆拒否宣言をした。この日、ソウル大教授たちまで加勢したことで、わずか10日間で全国の主要大学の歴史学専攻教授の大半が執筆拒否を宣言したといっても過言ではない状況になった。
大学に身を置く教授たちはこれまで中道・保守性向の学者が多いと評価されてきたことから、今回の宣言は国定化の強行が歴史学と歴史教育の本質を侵害した問題として受け止められていることを示している。声明に名を連ねたソウル西洋史学科のチュ・ギョンチョル教授は「左右のフレームで見ること自体が不快だ。フレームから離れるべきだ」とし「朴槿恵(パク・クネ)政権に対する批判的な視点を持って声明を出した教授たちもいるかもしれないが、私のように政治が歴史教育に過度に影響を与えること自体が嫌で反対声明に参加した人もいるだろう」と話した。
ソウル民主化教授協議会が同日、教授学習センターで「歴史教科書国定化論議の共示と外示」というテーマのフォーラムを開くなど、国定化論議をめぐる真摯な議論の場も広がっている。このフォーラムで発表したソウル大学国史学科のチョン・ヨンウク教授は「国定教科書論争を見て歴史教育にもっと力をいれるべきだということを痛感させられた」とし「この問題こそが政治的な懸案や民主的基礎などと繋がっていると考えている」とした。
教授たちの執筆拒否宣言と共に、同日大学生や大学院生たちの国定教科書反対声明と記者会見が開かれた。檀国大学文科大学の学生たちは、同日、檀国大学竹田キャンパスで国定教科書に反対する記者会見を開いた。延世大学大学院の韓国史専攻大学院生128人と成均館大学一般大学院史学科学生会、東国大学一般大学院史学科・歴史教育学科、教育大学院教科教育学と歴史教育専攻の大学院生と講師など88人も声明を発表して国定教科書反対の声をあげた。
韓国語原文入力:2015-10-22 19:37