本文に移動

日本防衛相の「北朝鮮進出示唆」発言を韓国国防部が隠蔽

登録:2015-10-22 00:15 修正:2015-10-22 07:07
20日の韓日国防長官会談で「韓国の支配範囲は休戦ラインの南側」 
自衛隊の北朝鮮進出可能性を示唆 
日本政府の公開後に発言を認める 
「自衛隊の役割拡大」に巻き込まれる憂慮
中谷元・日本防衛相(右)が20日午後、ソウル龍山区国防部で開かれた韓日国防長官会談に先立ち、ゲストブックを書いている。左はハンミング国防長官=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 中谷元・日本防衛相が20日、韓日国防長官会談で「韓国の主権範囲は休戦ラインの南側」という趣旨で発言していた事実が遅れて明らかになった。

 韓国国防部はこの日の会談結果をブリーフィングしたが、このような重要な発言を公開しなかっただけでなく、日本側のブリーフィングの後に関連事実を問い合わせたマスコミに対しても「そのような発言をした事実はない」としたが、21日になってから認めた。 韓国政府の“故意隠蔽”問題はもちろん、日本の集団的自衛権行使の問題に対する韓国政府の対策に対する疑念をも増幅させている。

 国防部当局者は21日、国防部庁舎で記者懇談会を開き「中谷防衛相が前日の韓日長官会談で『大韓民国の有効な支配が及ぶ範囲は、いわゆる休戦ラインの南側という一部の指摘もある。そのため韓米日間の緊密な協力が必要だ。今後もよく協議していきたい』と話した」と明らかにした。 中谷防衛相のこの発言は、ハン・ミング国防部長官が「自衛隊が北朝鮮の領域に進入する際は韓国の同意を得なければならない」と話したことに対する反論の性格が強かった。 朝鮮半島有事時に日本が韓国政府との相談をせずに北側地域に進出することもありうるという意味に解釈されうる敏感な発言だった。

 しかし韓国国防部は前日の記者ブリーフィングで、前半の「休戦ラインの南側」に関する発言は拭ってしまい、後半の「韓米日間の緊密な協力」の部分だけを公開した。 中谷防衛相の該当発言は、日本の防衛省関係者が会談後にソウル駐在日本人記者団に対する会談関連の背景説明で知られた。 韓国国防部当局者は21日、この部分を隠した事実と関連して「正確な発言内容を会議録で確認していて(公開が)遅れた」として「中谷防衛相の発言は、韓米日協力の重要性を強調している」と核心論点については避けた。

 韓国国防部のこうした“隠蔽”姿勢は、自衛隊の役割を朝鮮半島などに拡大しようとしている日本の意図に巻き込まれる素地が大きいことを示唆する。 日本は今回、韓日間非公開の合意に反して北朝鮮の領域に対する自衛隊の軍事的自律性発言を公開した。 一種の“既定事実化”戦略だ。 “非公開合意”とばかり信じた韓国政府は梯子を取られた格好だ。

 問題は、韓国国防部のこのような態度が政府の政策に対する不信と疑惑を増幅させかねない点にある。 元外交・安保分野の当局者は「韓日関係は国民感情で敏感なので難しくても透明に進め、国民的合意を形成しなければならない」と話した。

 さらに大きな問題は、日本が朝鮮半島有事の際の自衛隊の北朝鮮進入の可能性を残す意志を明確にした点だ。朝鮮王朝末期のように日本が韓国国民の意思と無関係に再び朝鮮半島に出兵する状況を見ることになるかも知れないという憂慮までされる。

 韓国政府はこの問題を「韓米日3カ国安保討議(DTT)の枠組み」で議論していく計画だ。 国防部当局者は「(北朝鮮の領土に対する)我々の主権問題は妥協できないが、現実的に種々の問題が存在するので(韓日間の)協力と協議が必要だ。 協議過程を通じて異見を狭め、我が政府の立場を反映していく」と話した。

 しかし、北朝鮮は国連の加盟国であり国際法的に独立した主権国家という点で「憲法上、北朝鮮も我々の領土」という主張だけでは国際的説得力を持ちにくいとする指摘も多い。 チョ・セヨン東西大特任教授は「(南北基本合意書に明示された通り)南北関係が民族内部の特殊関係である点、北朝鮮問題は韓国の安保環境に直接影響を与えるという点を挙げて日本を説得していかなければならない」と話した。

パク・ビョンス先任記者、東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/713870.html 韓国語原文入力:2015-10-21 19:32
訳J.S(1754字)

関連記事