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開城工団の発展が統一を早める道

登録:2015-10-15 23:02 修正:2015-10-16 06:23
第3回開城工団発展のための市民フェスティバル
ハンギョレ統一文化財団と開城工団企業協会及びソウル市が共催する「2015開城工団発展のための市民フェスティバル」が11日午後ソウルの清渓広場で開かれた。左端はイム・ドンウォン統一文化財団理事長(鍋に触っている人) =タク・キヒョン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「開城工団第1段階完成のための実践が現在の南北関係発展のキーワードだ」

 11日、ソウル清渓(チョンゲ)広場で開かれた「第3回開城工団発展のための市民フェスティバル」に参加した開城(ケソン)工業団地入居企業関係者たちの願いが込められた発言である。南北当局が開城工団発展に対する意志を表明してこれを実践することで8・25合意で造成された南北の和解・協力ムードをさらに広げて行こうということだ。

 開城工団発展のための市民フェスティバルの第1回目は2013年、開城工団が約6カ月間暫定閉鎖された時期に企画された。 「開城工団に対する市民の関心が、工団の閉ざされた扉を開かせ工団を発展させて行く大きな動力である」という点でハンギョレ統一文化財団と開城工団企業協会、ソウル市が意思統一した結果だ。 第3回目の今年は清渓広場で、開城工団入居企業物品販売展、開城工団歴史広報展、全国青年・学生開城工団製品ブランド公募展の授賞式など多彩な催しが行なわれた。

参席者が口をそろえて
「日々統一が実現される奇蹟の空間」
開城工団、当初2千万坪の計画
まだ百万坪も完工されていない
「工団完成のための実践に積極的に取り組むべき時だ」
11企業が物品販売展参加
臨時市場を訪れた市民
「品質・価格ともに非常に良心的」

■「開城工団は私たちが進むべき未来」

 催しに参加した開城工団の企業家は、工団第1段階完工など開城工団発展に対する南北当局の意志表明と実践が、現在の南北関係をさらに一段階高めるだろうと強調した。

 実際、南北関係がほとんど断絶されたような状態の中で開城工団の上げた成果は小さくない。開城工団では現在124の南側企業が約5万4千人の北側労働者を雇って運営している。 また今年8月には本格稼動10年目にして、開城工団累積生産額30億ドル突破の記録も残した。

 

 しかし、当初南北が描いた夢と比べるとこの数値は非常に見すぼらしいものになる。南北は当初開城工団と関連して3段階にわたり約2千万坪を開発することに合意した。 しかし現在まで第1段階の百万坪も完工できていない。第1段階の40%ほどだけが稼動している状況だ。第2段階の「世界的輸出基地育成」と第3段階の「北東アジアの拠点開発及び住居・観光地開発」が予定されていた1900万坪に関しては、まだ何ら具体的な絵も描くことができない状態だ。

 チョン・ギソプ開城工団企業協会長は「現在第1段階の40%が運用されているだけだが、開城工団入居企業は人員問題などで大きな困難を抱えている」と伝える。 北朝鮮の労働者約5万4千名を124の会社で分ければ「開城工団入居企業1社当たりの平均雇用人数は400人余りに過ぎない実情」だ。チョン会長はこんな人員不足問題があるため「北側が人員問題で企業を圧迫する場合も多い」と説明する。充員の優先順位調整などの方法で「北側が自分たちの望むものを得るために慢性的な労働力難を利用したりする」というわけだ。

 チョン会長など市民フェスティバルに参加した開城工団企業関係者は、こうした状況で韓国政府が先に開城工団第1段階完成などに対する意志を表明して実践する必要があると強調する。実は、こんなに人員問題が深刻になったのには「開城工団勤労者宿所建設など韓国政府が履行を約束していた部分がきちんとなされていないことの影響もある」ためだ。 したがって韓国政府が工団発展に対する意志を表明して、北朝鮮政府の意志も確認した上で「開城工団発展的正常化のための広範囲かつ実質的な協議を始めなければならない」と言う。この日参加したある工団入居企業人は「第2、第3の開城工団の必要性を強調する意見が多いが、各種インフラまで全て揃った開城工団第1段階の完成を南北が成功させる時、その他の工団の可能性も開かれる」と強調した。

 現在の状況から見る時、韓国当局が開城工団に対する前向きな提案を行えば、北朝鮮当局が呼応してくる可能性が高いというのが専門家たちの指摘だ。 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が10日、労働党創建70周年記念閲兵式で行なった演説で「人民」を数十回強調するなど、北朝鮮が今後周辺国との経済協力を重視することを強く仄めかしたことも肯定的要素だ。

 韓国政府の開城工団発展に対する明確な意志表明と実践は、 8・25合意履行問題を一層確実なものにすると同時に、朴槿惠(パク・クネ)大統領のユーラシア イニシアチブ構想実現の可能性も高める。第1段階を経て「世界的輸出基地育成」を目標にしている第2段階に進めば、自然と開城工団の輸出品を北朝鮮の鉄道を通してヨーロッパ等に運ぶことになるだろうからだ。

 シン・ハンヨン開城工団企業協会副会長(開城工団入居企業シンハン物産代表)は開城工団が第3段階まで実行されれば「開城工団が環東海圏、環黄海圏及び韓日海峡圏の拠点として3億の人口圏を有する大規模経済圏の中心になることができる」と強調した。 「開城工団は現実であると同時に、私たちが進むべき未来だ」というのである。

■開城工団物品販売展が人気

 開城工団入居企業の臨時市場を訪れた市民たちは、製品の品質と価格に満足感を示した。夫の毛織ズボンを買った主婦キム・ミジン氏(42)は、「このくらいの品質ならデパートで10万ウォン以上するのに2万5000ウォンで買ったから、価格は非常に良心的」として「南北関係が不安定になれば開城工団の勤労者も非常に困難な状況になるので、南北間対話がうまく維持されて、開城工団が安定して運営されたらいいと思う」と話した。販売側である開城工団入居企業「シンハンモード」のチョン・ジョンソプ氏(57)は 「ブランド代理店やデパートでは12万8000ウォンで販売しているが、今日は販売が目的ではなく開城工団を知らせて製品の品質を広報する日だから構わない」と笑った。

 フェスティバル参加者たちは一様に、平和的政治的経済的意味を評価して開城工団を発展させねばならないと口をそろえた。 イム・ドンウォン理事長は「開城工団が造られたことで、南北の鉄道と道路が連結され軍事的緊張が緩和されるという効果が生じた。開城工団を発展させることが平和統一を早める道だ」と発言した。統一部のイ・サンミン南北協力地区発展企画団長は「開城工団が国際的に競争力ある工団になるよう願う」と話した。ハンギョレ新聞社のチョン・ヨンム代表取締役は「統一は“大当たり”ではなく不断の努力と忍耐の結果として実現されるものだ。開城工団は日々統一が実現される奇蹟の空間だから、市民と共にさらに発展させなければならない」と語った。 この日の催しには、ソハン繊維(靴下)、シンヨンステン(鍋) など11の開城工団入居企業が物品販売展に参加した。

キム・ボグン ハンギョレ平和研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/712314.html 韓国語原文入力:2015-10-12 11:09
訳A.K(3154字)

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