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教科書国定化は与党が仕掛けた選挙用“理念戦争”...中道層・40代では反発も

登録:2015-10-15 00:25 修正:2015-10-15 06:29
国定教科書強行の波紋広がる 
国定化めぐる世論の二極化傾向が顕著 
与野党支持層それぞれ賛否で結集 
「古い争点...与党にも有利ではない」 
与党の首都圏議員 「あえて教科書を...」

 「韓国史教科書国定化」という矢が弓から放たれたことで、賛否世論が互角に対抗している。朴槿恵(パク・クネ)大統領は「歴史教育で政争や理念対立を起こし、国民を分裂させてはならない」としたが、分裂と葛藤の溝は深くなる一方だ。政府とセヌリ党は“半分の支持”を足がかりにして国定教科書を強行する構えだが、来年の総選挙で負担として返ってくる可能性があるものと見られる。

全国466の市民団体で構成された「韓国史教科書国定化阻止ネットワーク」のメンバーが7日午前、政府ソウル庁舎前で「韓国史教科書国定化反対 全国同時市民宣言」を行い、朴槿恵大統領と金武星セヌリ党代表の発言を書いたプラカードを掲げている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 最近の世論調査の結果によると、国定教科書をめぐる世論の二極化傾向が顕著だ。14日、『マネー・トゥデイ』とリアルメーターの世論調査によると、教科書国定化への賛成は47.6%、反対は44.7%だった。新政治民主連合が13日に公開した、独自の世論調査の結果も賛成意見が44%、反対意見が48.1%だった。同連合の1週間前の世論調査でも賛成が44%、反対が42.9%で拮抗していた。教科書国定化めぐり与野党の支持層が結集する状況とも解釈できる。調査結果を詳細に見てみると、セヌリ党と野党支持者の間で賛否が克明に分かれる事実も確認できる。

 政府とセヌリ党は世論調査を根拠に「世論戦で不利ではない」として国定教科書を押し通そうとしている。50%に迫る朴槿恵大統領の支持率に変化がなく、党支持率にも大きな変動がないからだ。来年の総選挙を控えて保守層の結集に役立つという判断も働いたものと見られる。党内部の“慎重論”も姿を消した。

 しかし、専門家たちは、教科書の理念論争が「選挙では古びたもので、関心を引くのが難しい問題であるため、与党に負担として作用するだろう」と見通した。「政治コンサルティング・ミン」のパク・ソンミン代表は、「理念戦争に流れることが現職大統領の失政を覆い隠せるという点で、与党に有利に働く可能性がある」としながらも「(国定教科書強行は)総選挙戦略というよりも、朴大統領の信念に近いものと思われる」と分析した。統合進歩党を解散し、要職に公安検事出身人物を抜擢することのように、「従北」と戦って、「国家を改造」するという朴大統領の個人的意志が強く反映されたという見方だ。ユン・ヒイウン・オピニオンライブ世論分析センター長も「結局総選挙は、朴槿恵政権に対する審判にならざるを得ない。理念戦争を仕掛ける場合、野党支持層が敏感に反応する可能性もあるため、与党に有利とは限らない」と述べた。

 実際の世論調査で中道層と保護者である40代で国定教科書に反対する回答比率が高いことが分かった。リアルメーターの調査で中道層の回答者のうち、国定教科書「反対」が55.5%で「賛成」(41%)を上回った。新政治民主連合の調査でも、40代では賛成が36.9%、反対が55.8%だった。ユン・センター長は「大衆は総選挙で理念よりも、朴槿恵政権の経済、生活の問題に対してより敏感に反応するだろう」とし「国家保安法、私学法、天安艦事件など理念の問題が争点に浮上した場合、選挙で与党が成功した事例がない」と指摘した。

 ただし、公に声をあげるのは自制しているが、与党から首都圏議員を中心に「労働改革などの懸案が多いのに、教科書に触れる必要があるのか」という慎重論が出てくることも、このような懸念のためだ。野党も国会議事日程や予算案との連携などについては、まだ慎重な態度を見せている。

イ・スンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-14 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/712855.html 訳H.J

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