最終的に陰性と判定された最後の中東呼吸器症候群(MERS)患者が今月11日、再び陽性判定を受けたことで、MERS再拡散の可能性が懸念されている。防疫当局は、この患者が再感染したわけではなく、周辺にも感染の可能性もほとんどないとして、事態の鎮静化に乗り出すとともに、この患者と接触した61人を隔離措置した。MERS終息宣言は再び見送られることになった。
陽性と陰性の判定を何度も繰り返す
対策本部」「自体の増殖はない」と判断
MERS終息時期は延びる見込み
WHOと協議して決定する方針
■伝染の可能性あるのか?
免疫系のがんであるリンパ腫を患っていた80番目の患者は、今月11日未明、発熱や嘔吐の症状でサムスンソウル病院を訪れた後、ソウル大学病院に移送された。MERS検査の結果、陽性判定が出たが、MERS感染拡大の原因となる主な症状である咳や痰などの呼吸器の症状はなかった。ソウル大学病院のキム・ナムジュン感染内科教授は12日夜の記者会見で、「この患者を診察した結果、咳や痰などはなく、肺炎も新たに発症していない。検査所見では、患っていたリンパ腫が悪化し、発熱したものと見ている」と述べた。キム教授はまた、「これまでの常識では、この患者が周囲にいる人にMERSを感染させた可能性は0%に近い」と付け加えた。MERS管理対策本部は、万が一の場合に備えて、患者の家族や医療スタッフ、病院スタッフなど61人を自宅分離、68人をアクティブモニターとして指定した。
■陽性に変わった理由は?
患者は、最終的に陰性が確定するまで、MERSウイルス検査で何回も陽性と陰性を繰り返した。対策本部とこの患者を診療したソウル大学病院の医療スタッフは「この患者の体内にあるMERSウイルスが増殖を続けたのなら、陽性が出ていたはずだが、この患者は陽性と陰性の判定を繰り返したため、ウイルス増殖の可能性はない」と判断した。ソウル大学病院のオ・ミョンドン感染内科教授は「この患者の事例について、世界保健機関(WHO)の専門家会議の専門家たちと議論した結果、ウイルスのいくつかの単片が体内に残っており、それが呼吸器官に排出され、遺伝子検査で発見されたという解釈が提示されて、ソウル大学病院の医療スタッフもこれに同意した」と説明した。 80番目の患者は、入院の際MERSウイルスの遺伝子検査で陽性反応と陰性反応の両方とも、その数値が基準点に近かった。
であれば対策本部などが今月初めにMERS陰性判定を急いだ可能性もある。対策本部とソウル大病院の医療スタッフは、この指摘に対し「国際基準に基づいて一定の間隔を置いた遺伝子検査で2回連続陰性判定が出たため、最終的に陰性判定を下し、退院後も患者に対して継続的に追跡管理を行ってきた」と答えた。
■終息宣言は可能なのか?
最後のMERS陽性患者だった80番目の患者が再び陽性判定を受けたため、国内でのMERS終息時期は延期される可能性が高くなった。この患者は、今月1日にMERS陰性判定を受けたため、予定通りなら今月29日に終息宣言が発表されるはずだった。世界保健機関は、MERSウイルスの最長潜伏期間である14日の2倍の28日が経過するまで、どの患者からも陽性反応が出ない場合は、終息宣言を行うからだ。
対策本部は80番目の患者がMERSの陰性反応と陽性反応を繰り返しているが、ウイルスの増殖は確認されず、拡大の可能性はないという特殊性に注目している。終息宣言の可能性を完全に排除していないということだ。ヤン・ビョングク疾病管理本部長は、「終息宣言については、関連の専門家はもちろん、世界保健機構とも追加で議論してから、決定する方針だ」と述べた。
韓国語原文入力:2015-10-13 19:27