政府が、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの35番目の感染者が立ち寄った再建築組合の総会に参加して隔離措置された人たちに対する生計費は支援しないことを決め、ソウル市と摩擦が起きている。政府はソウル市の決定であるからソウル市が責任を負わなければならないという立場で、ソウル市は政府の役割を委任されて行った措置であり不当だと対抗している。
ソウル市は「24日に国会を通過した政府追加予算の中に再建築組合総会参席者に対する緊急福祉費は含まれていない」として、「政府が他の隔離者と同一に国費で支援すべきだ」と27日明らかにした。
今回の緊急生計費支援問題は、6~7月のMERS対応を巡る中央政府とソウル市が行った軋轢の延長戦でもある。
ソウル市は6月4日、緊急ブリーフィングを通じて35番目のMERS感染者が参加した行事に約1500人の首都圏住民が立ち寄っていた事実を公開し、市の決定で自宅隔離措置をとった。
政府はMERS感染経路、病院情報などに対する秘密主義を固守して批判に直面し、ソウル市の緊急ブリーフィング後に基調を大きく変えた。
ソウル市が自主的に自宅隔離できたのは「政府には市・道・郡・区に感染が疑われる者を入院または隔離する権限と責任がある」と定めた「感染病予防および管理に関する法律」の規定(49条)だった。
問題は国家災難水準で発生したMERS事態で、自宅隔離者に対して国家が緊急生計費を一括支援し、ソウル市が自ら通知した自宅隔離者は除いたことから火が点いた。
ソウル市は27日、「6月10日の経済関係長官会議で政府はすべての入院・隔離者に所得財産基準を適用せずに1カ月分の緊急生計費を支援すると明らかにしたが、6月19日には地方自治体で別に隔離措置した場合には、全額地方費で支援するよう指針を変更した。 一貫性がない」と批判した。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は6月1日、「これ以上の拡散と地域社会での伝染を遮断できるよう政府と民間専門家たちで構成された民官合同対策班が総力対応し、地方自治体とも緊密に協力して国家的保健力量を総動員することを願う」と注文したことがある。
ソウル市は6月9日からソウル市による隔離者に対する緊急生計費支援方針を明らかにし、以後再建築組合総会に参加して隔離措置された1298人に8億8600万ウォン(約9300万円)を予備費ですでに支援した。
ソウル市は「仮執行された金額のうち、市区の自主支援費を除く7億1000万ウォンを政府が支援しなければならない。 政府と市道に自宅隔離決定権限が同時に付与されており、これを差別する理由はない」と話した。
当時、再建築組合総会参席者の中には京畿道民も含まれている。彼らも政府の支援対象から除外されたことが明らかになった。