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高齢者に若い世代と仕事を競わせるソウル市の政策に不満続出

登録:2015-09-23 22:32 修正:2015-09-24 06:14
「50+社会的経済フォーラム」の現場から
11日、ソウル恩平区のソウル市社会的経済支援センターで開かれた「50+社会的経済フォーラム」で仏教社会的経済支援本部のパク・ジュオン本部長が「50+社会的経済創業ソリューション」を発表している //ハンギョレ新聞社

 11日ソウル恩平(ウンピョン)区のソウル革新パークでは、2015ソウルの町博覧会および第8回町作り全国大会が開かれた。「町をつなぐ。世の中を作る」という主題で多様な行事が繰り広げられた。 雨にもかかわらず野外公演は続き、どんぐりの粉のチヂミやトトリムクなどの料理や催しを体験できた。 全国の町企業がブースを整え、有機農味噌、竹工芸品、生活用品など自分たちの商品を宣伝していた。

 同じ時間、ソウル革新パークの中央にあるソウル市社会的経済支援センターでは、「50+社会的経済フォーラム」が開かれていた。 町企業、社会的企業、協同組合など、社会的経済分野と第二の人生を準備するシニアの接点を模索した。 だが、社会的経済分野で50+世代の就職・創業を活性化するための発表と討論を見守ったシニアの反応は失望に近かった。 50、60代が80%以上を占める傍聴客の50人余りにマイクが渡ると、鋭い指摘が相次いだ。

シニアと社会的経済支援組織が集まり
就業・創業の活性化方案を発表、討論
50+傍聴客の自由発言では鋭く厳しい指摘

内容のない官主導の教育事業ばかり
世代間の働き口競争に追い立てて困惑
現場からは青年との徒弟式協業を提案

ヨチヨチ歩きの社会経済創業は危険という指摘に
創業の過程で潜在力をすでに確認 反駁も
シニアが自ら問題解決の主体として乗り出すべき

■「ただでさえ創業は難しいのに、社会的経済だなんて?」

 自由発言に立ったシンさんは「フォーラムに先立って町博覧会を見てきたが、町企業の商品は多くなかった。社会的経済の現状を見たようで残念で悲しかった」と話した。 キム・ヒチョル「希望を作る人々」代表も「現在、社会的経済は市場経済に完全に代わるというより一部を補完する程度で、立派に成長した社会的企業はまだ極めて少ない。 一般市場でもシニアが創業することはとても難しいのに、社会的経済分野で創業しろというのはロマンチックな話に過ぎないと感じる」と指摘した。

 「50+社会的経済創業ソリューション」を発表した仏教社会的経済支援本部のパク・ジュオン本部長は「シニアが社会的経済の先導階層になりうる。青年と衝突する世代でなく、模範を示す世代になることができる。 社会的経済創業がなぜロマンチックだというのか? シニアを対象に創業過程を10期まで進めてきたが、その方々のすばらしい能力をすでに確認した」と反論した。

■「教育、教育、教育…自明な話ばかりの繰返し」

 シニアの就職・創業プログラムがあまりに教育中心だという指摘も出た。イさんは「人文学的なアプローチが必要なのに、インターネットですぐに見つかるような内容を繰り返す教育は必要ない。 このフォーラムも現場で活動し職業を創出できる多様な分野の専門家が参加して、具体的な事例を見せる場にすべきだった」と話した。 キム・ヒチョル代表も「私も教育に参加し講義もしているが、ほとんど空回りする内容と平凡な話が繰り返されている。 官主導の教育事業だけが増えた結果、教育を受けるために通うシニアが新しい市場となって、官と手を握った一部の利益の種になっているのが実情」と指摘した。

 「50+世代の社会的経済進入方案」について発表したアンコールブラボノ協同組合のキム・マンヒ理事長は「もう一つの職業を得るのではなく、第二の人生をどのように暮らすかという観点で社会的経済を見てほしい。シニアが自身の問題を解決する主人の立場で取り組んでほしい」と望んだ。

■「孫の食い扶持を奪っているという言葉を聞けば悲しい」

 参席者たちは青年とシニアの関係に関しても率直な心情を吐露した。イさんは「青年たちは自分たちの食い扶持を高齢者が奪っていると感じ、孫たちは自分たちの領域を爺さんたちが侵していると感じている。 こういう話を聞くのがとても悲しい。 政策を展開する政府が、共生ではなく競争させるので世代間の軋轢が強まっている。青年たちは創業空間が有り余っているというのに、シニアは何かしてみようとしても空間がなく大騒ぎだ。 狭い空間に追い込んで姥捨てしているという話まで出ている」と不満を爆発させた。 シンさんは「最近シニア関連セミナーに行ってみたら、発表者と討論者には60代以上が少ない。 若い人々に指導を受けているようで不愉快だった」と話した。

 討論者として立ったソウル市チョン・ジンウ社会的経済課長は「既存の政策や事業を調べれば、シニアのためのものが少なかった。シニアと青年が出会うプログラムも多くないが、単純な出会いより熟成期間を経て準備された出会いを作るよう努力する」と話した。

 社会的企業でインターンシップをしているパクさんは「30年余りの職場生活を終えて、3年間青年の起業を支援する奉仕活動をしてきたが、小遣い程度は稼がないといけないと思い、インターンシップを申し込んだ。 遣り甲斐のある仕事をしながら、多くの金は望まないが、少なくとも小遣い程度はというのが私たちの願い」と話した。 イさんは「シニアが持つ専門性を青年に知識として伝達するのは容易でない。 現場でノウハウを積んだシニアが、熟練した内容を現場で適用すべきだ」として、シニアと青年が徒弟方式で協業しようと提案した。

 「ソウル人生二毛作支援センター」のウォン・チャンス事務局長は「シニアの新たな領域を切り開くために、シニア社会的経済支援組織ネットワークが集まって3~4カ月かけて出した最初の問題提起なので、今後を見守ってほしい」と話した。 この日のフォーラムを主催したシニア社会的経済支援組織ネットワークには、ソウル人生二毛作支援センター、仏教社会的経済支援本部、カトリックカリタス社会的企業支援センター、楽しい組合、想像する私たち、など社会的経済の架け橋の役割を務めてきた中間支援組織とアンコールブラボノ協同組合、希望分かち合いの世の中など、シニアが自ら作った社会的経済企業が参加している。

文・写真ウォンナギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/710019.html 韓国語原文入力:2015-09-22 20:42
訳J.S(2768字)

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