本文に移動

「高齢雇用増やしても若者の雇用減らない」…労働専門家が“世代葛藤論”に反論

登録:2015-06-25 00:01 修正:2015-06-25 11:55
 国会で賃金ピーク制めぐる討論会
就職博覧会で仕事を探す高齢者=資料写真//ハンギョレ新聞社

 高齢労働者の雇用率が高くなると、若者の失業が増えるのだろうか?高齢労働者の雇用率が低くなれば、若者の失業も減少するのだろうか?公共機関賃金ピーク制の導入を中核とした政府の「第1次労働市場改革」案は、来年から定年が60歳に延長された場合、青年失業率がより高くなるという見通しに立っている。しかし、高齢者の雇用率と若者の雇用率との相関関係を分析した国内外の主な研究結果は、雇用労働部のこのような「世代間の雇用戦争」説を否定する。

高齢者と若者の雇用に関連する国内外の主要な研究。 出所:韓国労働社会研究所キム・ユソン主任研究員、「定年60歳時代、賃金ピーク制が若年失業の解決策なのか?」//ハンギョレ新聞社

 キム・ユソン韓国労働研究所主任研究員
 「若年・高齢雇用、代替関係ではない」

 若者と・高齢者の職種分離かなり進行
 「定年延長→若年失業悪化は誇張」
 賃金ピーク制強行する政府を批判

 2大労組の公共部門労働組合共同対策委員会などが24日、国会議員会館で開いた討論会「定年60歳時代、賃金ピーク制が若年失業の解決策なのか?」で主題発表を行ったキム・ユソン韓国労働社会研究所主任研究員は、「国内の研究は、若者と高齢者の雇用は代替関係ではなく、弱い補完関係にあるという分析がほとんど」だと述べた。この日紹介された国策研究機関である韓国労働研究院のアン・ジュヨプ主任研究委員の「世代間の雇用の代替可能性の研究(2010年)」は、1982年7月から2010年10月までの毎月の経済活動人口の調査分析に基づいて、「高齢層の雇用率は、若年層の失業率に統計的に有意味な効果を持たない」とし「若年層雇用と高齢層雇用との間に負の相関関係は存在しない」と結論付けた。アン主任研究委員は、この研究報告書で、「若年層と高齢層との間で職種分離がかなり進んでおり、若年層と高齢層の雇用が代替関係にあるというよりは、補完関係を持つものと解釈される」とも指摘した。国策研究機関である韓国雇用情報院のクォン・ヘジャ副研究委員も、2010年に発表した「年齢世代別の仕事の変化と雇用政策課題」で、「団塊世代の常用労働者数202万3000人は全体の団塊世代の生産可能人口798万9000人のうち25.3%に過ぎない」とし「大多数の団塊世代の就業者は、職場での定年を迎える可能性がほとんどない非正規雇用であるか、自営業者など不安定雇用にさらされており、彼らの定年延長による若年層の雇用の悪化は、過度に過大評価された」と主張した。

 歴代雇用労働部長官たちも仕事をめぐる若者と高齢者の世代葛藤を批判した。バン・ハナム元雇用部長官(現韓国労働研究院長)が参加した「企業の定年実態と退職管理に関する研究(2012年)」は、「通貨危機以降、大規模なリストラと希望退職にもかかわらず、若年失業率が緩和されたという証拠はどこにもない」と指摘した。 2010年、イム·テヒ当時労働長官も「定年延長と若者の失業は別の問題だ。定年延長は、経済のパイを大きくし、新規採用を増やす」と明らかにした。

 キム・ユソン主任研究委員は、「政府が若者の失業の原因を中高年層の雇用の維持や延長に求めている」とし「この問題は、様々な研究では関連性がないことが判明した」と批判した。

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-24 19:45

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/697374.html  訳H.J

関連記事