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米国のF35技術移転拒否で韓国型戦闘機開発に支障

登録:2015-09-22 22:48 修正:2015-09-23 04:54
 防衛事業庁、米企業と購買契約時に責任不問に
韓国が次世代戦闘機として導入を決めたF-35A=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国が次世代戦闘機としてF-35Aを導入し、開発企業のロッキードマーティンから受け取った主要技術移転の約束を米国政府が拒否し、失敗に終わったと発表された。

 この技術は韓国型戦闘機(KF-X)開発に必要な核心的な技術だ。韓国政府と軍当局は米国の技術支援の有無と関わりなくく開発できるという立場だが、事業への支障は不可避になったと憂慮されている。

 防衛事業庁関係者は22日、「米国の軍需企業ロッキードマーティンとF-35A戦闘機40機を導入する契約を結び、25項目にわたる技術の移転を推進してきたが、米国政府が21技術を除く4技術に対して安保政策などを理由に輸出承認を拒否した」と明らかにした。 韓国政府はこれらの技術をロッキードマーティンから受け継ぎ韓国型戦闘機(KF-X)の開発に活用する計画だった。 韓国型戦闘機の開発事業はF-4、F-5など空軍の老朽戦闘機に代わるF-16水準のミディアム級戦闘機を2025年までに独自開発する事業だ。 計120機を生産する計画で、開発費と量産費用に18兆ウォン(約1.8兆円)が必要とされる超大型プロジェクトだ。

 米国が輸出承認を拒否した技術は、能動電子走査式地位配列(AESA)レーダーと赤外線探索追跡装備(IRST)、電子光学標的追跡装備(EOTGP)、電磁波妨害装備の4装備を戦闘機システムに統合する技術だ。 防衛事業庁関係者は「これら4装備自体は計画どおり海外技術導入等を通して国内開発が推進されている」とし「米国政府が問題にしたのは、これらの装備を戦闘機システムに統合する技術」と話した。 米国政府が輸出承認を拒否する理由は、安保上の理由で先端技術の海外移転を防ぐ政策のためだという。

 防衛事業庁と韓国軍当局は、米国の技術移転がなくても韓国型戦闘機の開発には大きな問題はないという立場だ。 チョン・ギョンド新任空軍参謀総長はこの日、国防委の空軍本部国政監査で「米国が4個の技術を提供しなくとも、韓国型戦闘機の開発には別に問題がない」と話した。

機体の購買と核心技術開発を別々に…二重に金がかかる
米国の承認を得るための別途の努力も疑問
国内開発または第3国からの獲得を推進
米国産本体との互換に疑問
20%の投資を約束したインドネシア
「経済難に陥り投資は難しい」観測も

 防衛事業庁はこれらの技術を国内で開発したりヨーロッパなど第3国との技術協力で取得する方案を推進中だ。 チャン・ミョンジン防衛事業庁長は17日、国会国防委の防衛事業庁国政監査で「米国が断った4個の技術をヨーロッパとの国際協力を通じて取得し、国内技術も活用する。一部の技術は相当開発されている」と話した。防衛事業庁は電子光学標的追跡装備と電磁波妨害装備を統合する技術の場合、国内の技術で開発できると期待している。 反面、地位配列レーダーと赤外線探索・追跡装備の統合技術はヨーロッパから技術を取得する方案を推進中であるという。

 しかし、防衛事業庁の計画どおりに円滑に推進されるかについては憂慮が出ている。 アン・キュバク新政治民主連合議員はこの日、国防委空軍本部国政監査で「多くの核心装備が米国製装備なので、米国の協力なしには開発リスクが大きくなるだけでなく、自主開発しても米国製装備との互換問題が発生する可能性がある」と話した。

 問題は米国政府のこうした一方的な技術移転拒否に対して、韓国政府が全く対応できずにいる点だ。 昨年9月にロッキードマーティンとF-35Aの購買契約をしながら、技術移転を約束を取り付けた時に“折衝交易”方式で行ったが、特別な制裁手段がないためだ。 折衝交易は外国から武器を買う時に反対給付として外国販売者に技術移転や部品逆輸出などを要求する条件付き交易をいう。これについて防衛事業庁は、「契約当時からロッキードマーティン側から問題の4技術に関して“米国政府の輸出承認を得難い”として難色を示していた」として「そこで4技術については義務事項に入れず、米国政府の輸出承認拒否に対する責任を問わないことにして契約した」と話した。 当初ロッキードマーティン側にこれら4技術の移転に対する責任義務をつけていないだけに訴訟などによる法的責任は問えないということだ。

 しかし米国政府の輸出承認を得るために政府次元の努力がほとんどなかったことを指摘する声は与党からも出てきた。 ユ・スンミン・セヌリ党議員はこの日、国防委の空軍本部国政監査で「今年4月、韓国国防部長官が米国の国防部長官に協力を要請する公文書を送ったこと以外に政府次元でこの問題の解決のためにどんな努力をしたのか疑問」と政府の積極的な努力不在を叱責した。

 また、韓国型戦闘機開発事業は20%の持分投資を約束したインドネシアの動きがもうひとつの伏兵として議論されている。 防衛事業庁は昨年10月、インドネシア国防部と韓国型戦闘機(KF-X)共同システム開発に関する基本合意書を締結した。 しかし、最近になってインドネシアが経済難に陥り、当初約束した持分投資が難しいという観測が流れている。 実際、今月初めにインドネシアが経済難で韓国型戦闘機開発事業への参加を撤回する意向を示唆したという報道も出てきたことがある。

 これに対して防衛事業庁関係者は「インドネシアの経済が難しいのは事実だが、インドネシアに公式に確認した結果『報道内容は事実ではなく既存の政策には変わりがない』という返答を受けた」と話した。 しかし、インドネシアは今年に入ってルピアの価値が急落するなど経済危機に陥っており、経済状況によって参加有無は流動的という分析が多い。 これに対して防衛事業庁関係者は「インドネシアも老朽戦闘機の代替需要があるだけに、事業には参加すると見る」としつつも「もしインドネシアが持分投資の約束を撤回するならば、政府の投資持分を増やすなり、あるいは主事業者である韓国航空宇宙産業の持分を増やすなどの方案を検討することになる」と話した。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/709963.html 韓国語原文入力:2015-09-22 19:55
訳J.S(2645字)

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