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政労使合意さえ無視するセヌリ党、期間制・派遣法を強行

登録:2015-09-16 23:33 修正:2015-09-17 05:56
 「共同実態調査後、法案に反映」
 合意文のインクも乾かぬうちに
 セヌリ党、5大法案を党論として発議
 二大労総「廃棄すべき」と反発
キム・デファン政労使委員会委員長(左から2番目)とパク・ビョンウォン韓国経営者総協会会長が今月13日の代表者会議で、キム・ドンマン韓国労総委員長(右から2番目)、イ・ギグォン雇用労働部長官(右端)が見守る中で話を交わしている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 一般解雇要件と就業規則の不利益変更要件の緩和を骨子とした経済社会発展のための政労使委員会(政労使委員会)合意以降、セヌリ党が労働市場の構造改革に関連した5つの法案を党論として発議し、立法に向けて足早に動いている。政府も若年層の求職者を支援するための「青年希望ファンド」の運用計画を明らかにするなど、政府与党が硬軟两構えの戦略を駆使して、同時多発的に労働市場改革に乗り出している。しかし、政労使が今後の議題として残した非正規雇用の期間延長や派遣の拡大などの主要な争点と関連した部分まで、セヌリ党が政府案通りに法案を発議しており、政労使合意を無視して一方的に労働市場改革を押し進めているという批判の声が上がっている。

 セヌリ党は16日、国会で政策議員総会を開き、政府の労働市場改革作業を支えるために、労働関連の5つの法案を党論として採択し、同日午後、国会に関連法案を提出した。与党が提出したのは勤労基準法、派遣労働者法、期間制労働者法、雇用保険法、労災保険法の5法案だ。

 金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表は、議員総会に先立って開かれた党最高委員会議で、「これから越えなければならない山や通過しなければならない関門が数多く残されているが、必ず今回の定期国会会期内に労働改革を完遂するために、最善を尽くしたい」と述べた。ウォン・ユチョル院内代表も「細部的な実践方策をスピーディーに進め、通常国会の会期内に労働改革のピリオドを打つべきだ」と強調した。

 セヌリ党が提出した5法案のうち、現在2年とされている期間制(非正規)労働者の契約期間を4年まで延長できるようにする期間制法と、派遣労働者の受け入れ対象を製造業と高所得・専門職の高齢者などに拡大する内容を盛り込んだ派遣労働者保護法は、労働界が廃棄を求めている事案だ。このため、今月13日の政労使合意でも、これらの議題だけは「関連当事者を参加させ、共同実態調査や専門家の意見聴取などを集中的に進めて代案を用意し、合意事項は通常国会の法案議決の際に反映するようにする」と合意文に明記した。今後継続的に議論することにした政労使の約束を、セヌリ党が法案提出を強行して無視した結果となった。

 労働界は一斉に批判の声をあげた。政労使合意の当事者である韓国労総は声明を出し、「合意文のインクも乾かないうちに、これを破棄しようとするセヌリ党の一方的行動を見る限り、政府と与党が合意を破るつもりなのかを訊かざるを得ない」とし「合意文さえ(影響を)与えられない法案は廃棄にすべきだ」と強く批判した。民主労総は、政策論評を通じて「セヌリ党の法案は、通常賃金の縮小、労働時間の延長、非正規労働者の正社員への転換機会のはく奪、不法派遣の合法化などをもたらす労働法改悪案」だとし、「財閥寄りと非難されている政労使野合の中に、製造業の低賃金や長時間労働と非正規労働者の使用を奨励する内容を密かに追加した」と指摘した。

 これに対しセヌリ党は、労働市場改革のために立法が必要なため、先ず与党案を提出してから、12月の定期国会の会期内に政労使合意案が導き出される場合は法案に反映する方針だと説明した。セヌリ党のキム・ジョンフン政策委員会議長は同日、ハンギョレとの通話で「与野党が関連議論を行うために、一応“たたき台”が必要であるため、党論で法案を発議した」とし、「今後、所管常任委員会である国会環境労働委員会で与野党議員が議論して調整する過程で、労働界の意見が十分に反映されるだろう」と述べた。セヌリ党は20日、政府と与党、大統領府の政策調整協議会を開き、法案通過のための詳しい方策を議論する計画だ。セヌリ党の“速度戦”の背景には、大統領府の要求が横たわっているものと見られる。朴槿恵(パク・クネ)大統領は15日の閣議で、「政労使大妥協という共生の精神を実現するためには、何よりも、国会での速やかな法案通過が必要だ」と述べた。

 しかし、イ・ジョンゴル新政治民主連合院内代表は「労働権侵害と反人権的な行政指針で、労働市場を一方的に改悪しようとする政府の立場は、容認できない」と述べ、国会での処理が順調に行われない可能性を予告した。キム・ソンジュ政策委員会首席副議長は、「与野党の労働関連特別委員会を根幹に、政府や専門家、労使代表、市民社会団体、若者、非正規労働者などを含む包括的な特別委員会の構成が必要だ」と述べた。

 一方、朴大統領はこの日、政労使合意を契機に、15日、自分が提案した青年希望ファンドに一時金として2000万ウォン(約205万円)を寄付し、これから毎月の給料から20%をファンドに納付することを発表して、労働市場改革の実行に向けた意志を重ねて示した。金武星代表とウォン・ユチョル院内代表など、与党の最高委員たちも皆寄付に参加することにした。

キム・ギョンウク、キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-16 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/709187.html 訳H.J

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