「成長率低下・エネルギー効率向上など
政府は電力需要の下降傾向を無視している」
政府の第7次電力需給基本計画を巡る中心的イシューは「今後の電力需要」問題だ。 産業通商資源部は、電力消費量が2015~2029年に年平均2.1%増加すると予測しているが、これは2012~2014年の年平均1.6%増加という最近の趨勢を考慮すると、あまりにも誇張された数値だと批判される。 産業部は「誤解だ」として、22日「第7次電力需給基本計画、正しく知ろうQ&A」を発表して反駁した。 政府の需要予測が誇張されていると問題提起を続けてきた市民団体「エネルギー正義行動」のイ・ホンソク代表(写真)に話を聞いた。
-電力消費量増加率が過多策定されたと見る根拠は何か?
「成長率の低下とエネルギー利用効率の向上によって、電力需要増加率が鈍化している。 10年から20年、長くは30年をみてもはっきりと現れている趨勢だ。 特に最近2~3年間の増加率はさらに急激に下がっている。 それなのに政府は、2013年の第6次計画に次いで今回の第7次計画でも、需要を過多に見積もって原発2基を追加で建てると言っている」
- 産業部は最近3年間の増加率が年平均1.6%であることは認めるが、最近10年間で計算すると年平均4.1%増えているとして、2.1%増加の見込みは誇張されたものではないと反駁する。
「最近10年間の年平均で4%台の数字が出るのは、2010年に電力需要増加率が10.1%急増した特殊状況のために平均値が上がったためだ。 当時は現代製鉄など鉄鋼業界が新規に設備を増やし電力需要が一気に増加した。 現代製鉄1カ所で釜山市の全使用量の1.6倍を使う。2010年に跳ね上がった数字が全般的趨勢を変えはしない」
- 産業部は2029年まで国内総生産(GDP)成長率を年平均3.06%と見て電力需要を策定した。
「第7次計画は今後15年間、年平均3.06%成長すると見て、今年の成長率を3.5%とした。しかし、最近韓国銀行が今年の経済成長率を2%台に修正して発表した。 成長率展望値を小数点第1位だけ変えても、長期で計算すれば原発一機を追加で建てるか否かというほどに電力需要見込みに差が出て来る」
-第7次計画で原発を2基追加することにしたが、追加建設をしなくても十分だということか?
「環境部は電力需要増加率について、産業部の予測より年平均1%ほど低く見ている。それによれば、今回盈徳(ヨンドク)や三陟(サムチョク)に建設すると発表した原発2基だけでなく、第5次計画で確定した新古里(シンコリ)7・8号機(現在の盈徳1・2号機に変更)さえ建てる必要がなくなる。第6次計画で確定されて第7次まで維持されている石炭、液化天然ガス(LNG)など火力発電新規計画だけで14個だ。全体的に電力需要増加率は下がっているし、他の発電所計画もあるので、一番問題になる原子力発電所の計画から先ずやめるべきだ」
- いずれにせよ、もう確定されている。
「今後の第8次計画を立てる時も、同じ争点が繰り返されざるを得ない。 また論争をすることになるだろう」