14日、国会情報委員会の会議に出席したイ・ビョンホ国家情報院長は、スマートフォン・コンピュータ不法盗聴疑惑に火が点いたハッキングスパイウェア「RCS(リモートコントロールシステム)」を国家情報院が購入したことを認めた。 イ院長はしかし、「民間人査察用ではなく海外の北朝鮮工作員盗聴のために購入した」と説明したと与野党の情報委幹事が伝えた。 しかし、専門家たちは国家情報院がRCSを販売したイタリアの業者「ハッキングチーム」と交わした電子メールの内容などに照らして、国内査察にも使われた可能性が濃厚という分析を出している。
■民間人査察はしていない?
国家情報院は2010年にRCS購入を推進した当時から「携帯電話音声対話モニタリング機能」をハッキングチーム側に積極的に要求した。さらにサムスン電子のスマートフォン、ギャラクシーシリーズなど新しいモデルが発売されるたびに該当モデルに対する対話盗聴機能を追加で要求した。 ハッキングチームの内部電子メールには、昨年国家情報院が「自国(韓国)で最も一般的に使われているカカオトークに対する(ハッキング機能開発の)進行状況を尋ねた」と記録されている。
また、盗聴のターゲットになった人物のモバイル機器にハッキング用悪性コードを植え付けるために作ったと見られる電子メール用添付ファイルのタイトルは「ソウル大工学部同窓会名簿」等となっており、韓国人を対象にハッキングを試みた可能性が高いと見られる。 国家情報院は“北朝鮮工作員”とは関係なく見える「トッポッキ(もち炒め)美味しい店」というブログに連結されるURLにスマートフォン用悪性コードを植え付けてほしいとハッキングチームに要求していた。 国家情報院はハッキングチームが購入したプログラムは、携帯電話20台を盗聴できるもので、韓国人に対しては使わなかったと説明したと伝えられたが、このような情況は韓国人が盗聴対象に含まれた可能性を強く示唆する。
国家情報院の内部事情に明るい監査機関関係者は、「国家情報院はハッキングプログラム購入時に使った陸軍5163部隊という名称を50年間使い続けた。 世界の情報機関はこの部隊が韓国の国家情報院だという事実を皆知っている」と話した。 彼は「北朝鮮などに知られず秘密裏に購入しなければならない海外諜報用の装備を、国家情報院の名前と実際の住所まで書いて買うなどというのは話にならない。国内用装備である可能性が高い」と話した。
■対共捜査用なら合法?
RCSを海外の北朝鮮工作員盗聴に使ったとすれば、これは国家情報院の正当な任務に該当する。反面、対共捜査であってもこれを韓国内で使ったのであれば不法である可能性が高い。 参与連帯公益法センターのヤン・ホンソク弁護士は「悪性コードを相手方の機器にこっそりと設置して盗聴を行えば、刑事処罰のための証拠とすることはできない。 これは裁判所から盗聴令状を受けたとしても不法」と話した。 イ・グァンチョル弁護士は、「対共捜査の場合、裁判所から令状を受けて通信制限措置(盗聴)はできるが、判事を通さずにハッキングで解決しようとしたとすれば(対共捜査ではない)他意があると見なければならない。 悪性コードを通したハッキングは、裁判所の統制と盗聴期間制限など通信秘密保護法の種々の制限を完全に無力化させる」と話した。
進歩ネットワークセンター・参与連帯・民主社会のための弁護士会・天主教人権委員会はこの日午後、国会前で「国家情報院ハッキング盗聴プログラム使用サイバー査察真相調査要求」記者会見を行った。 イ・ホジュン天主教人権委常任理事(西江大ロースクール教授)は、「ハッキング プログラムは現行法上絶対に使用できないものだ。国家情報院を一定統制できる国会が、違法性の有無を徹底的に調査しなければならない」と促した。