「携帯電話の傍受設備がなく、捜査に困難が多い」として、電話会社に傍受装備の設置を義務化する法案を進めてきた国家情報院が、裏ではスマートフォン盗聴と傍受が可能な強力なハッキングプログラム(RCS)を購入し、数年間にわたって秘密裏に運営してきた情況が明らかになっている。今回の波紋が「国家安全企画部のXファイル」事件のように無差別査察の疑惑に広がる可能性もあるとの見方も出ている。
国家情報院(国情院)関係者は12日、イタリア企業の「ハッキングチーム」が製作したハッキングプログラム「RCS」の購入・運用と関連し、「国家情報院の立場からして、購入したことまでは否定できない」とし、事実上これを認めた。
しかし、過去10年間、国情院が明らかにした携帯電話の傍受件数は「公式的に」は「0件」だ。 2005年、安企部のXファイル事件をきっかけに独自開発した移動式通信盗聴装置「CAS」などをすべて廃棄して以来、携帯電話の傍受したことはこれまで1件もなかったというのが、国情院の公式の立場だった。国情院の他の関係者は、「2005年、キム・スンギュ国家情報院長が『私たちが傍受装備を持っていれば、違法傍受の誘惑に駆られざるを得ない」とし、すべて廃棄するように指示した。それ以来、携帯電話の傍受は一件もなかった」と述べた。
国情院は、固定電話の傍受は年間数千件(昨年5531件)ほど行っているが、使用頻度が最も高い携帯電話、特にスマートフォンの傍受は一件もできず、国家安全保障に関連する捜査と防諜活動に多大な支障を来していると不満を吐露してきた。通信秘密保護法は、裁判所の令状の下で携帯電話の通信制限措置(傍受)ができると規定しているが、関連の傍受装備がなく、手を拱いていたというのだ。
しかし、李明博(イ・ミョンバク)政権発足後、国情院に対する信頼が地に落ちてから、合法傍受はなかなか認められなかった。RCSを開発・販売しているイタリア企業「ハッキングチーム」の内部電子メールによると、国情院は、国家安全企画部Xファイル事件から5年が過ぎた2010年9月、国内の中小企業の「ナナテック」を通じてRCSの購入意思を示した際、「携帯電話の音声会話監視機能」を積極的に求めた。ハッキングチームがこのような要求をどのレベルまで満たしたのかは確認できないが、公開された電子メールによると、以後、国情院側は数回にわたり、「ハッキングプログラムの機能に満足している」という反応を、ナナテックを通じてイタリア会社に伝えた。
特に、国情院は、2012年の大統領選挙介入で国会主導の国情院改革が進められていた昨年3月、アンドロイドフォン·iPhoneのハッキングに関連した技術の開発とプログラムを運用する要員の訓練を、イタリア会社に依頼した。国情院は、昨年1月、国会情報委員会委員長を務めたセヌリ党のソ・サンギ議員が通信会社に携帯電話の傍受設備の設置を義務化する内容の通信秘密保護法改正案を発議すると、これに積極的に支持した。
情報人権団体の「サイバー査察緊急行動」はこの日声明を出し、「国家情報院が、表面上は携帯電話の傍受ができないと国民を騙しておいて、密かに携帯電話の盗聴や傍受を行ってきた疑惑が持ち上がっている。不法行為が確認された場合は、関係者を処罰してハッキングを直ちに中断しなければならない」と述べた。
韓国語原文入力:2015-07-12 20:07