昨年「カカオトーク査察」問題に油を注いだチョン・ジヌ労働党副代表(46)に対する裁判で、裁判所は「違法に収集した証拠」としてチョン副代表のカカオトークのチャット内容を証拠として採択しなかった。 捜査機関の便宜主義的“ファックス令状”と、私生活を侵害する広範囲なデジタル証拠収集に歯止めをかけたことになる。
ソウル中央地裁刑事3単独のユ・ファンウ判事は7日、セウォル号事故の責任者処罰を要求し青瓦台に向かって行進する過程で警察の解散命令に応じなかった容疑(集会及び示威に関する法律違反)で起訴されたチョン副代表の結審公判で、「検察が証拠として提出したカカオトークのチャット記録は、違法収集証拠と見られるので証拠として採択しない」と明らかにした。 ユ判事は「捜査機関が令状原本を提示せずにファックスを送って資料を受け取る“ファックス令状”執行が慣行のようになされて来た」として「事後にでも令状原本を提示するとか、家宅捜索目録を交付するなどの手続きを守らないならば、形事訴訟法の定める令状主義の本質が毀損される恐れがある」として、このように決定した。
先ずソウル高裁は、国家保安法違反容疑で起訴されたアン・ジェグ元慶北大教授事件で「ファックス令状による押収慣行は無条件に違法とは言えないが、押収物を受け取る時点までに会社側に令状原本などを提示することで適法性が認められる」と判断した。チョン副代表事件の裁判所の決定はこれと同じ主旨だ。
市民社会団体の集いである「サイバー査察緊急行動」は声明を出して、「やみくもな家宅捜索慣行に歯止めをかけた裁判所の判断を歓迎する」として、「犯罪容疑との関連性を考慮せずに、カカオトークの全対話内容を出力・コピーしたという事実自体が適法手続きに違反したもの」と主張した。
警察はチャン副代表の捜査に際し、ファックス令状で集会当日である昨年6月10日午前11時30分から午後11時59分までのカカオトーク対話記録を家宅捜索した。 当時、チャン副代表とカカオトーク対話を交わした電話番号は全部で2368個で、団体チャットルームの内容も全て押収対象に含まれた。 チャン副代表は違法な家宅捜索により犯罪容疑と無関係な個人情報が侵害されたとして憲法訴願を提起している。
一方検察はこの日、チャン副代表に懲役2年を求刑した。