「家宅捜索では本来ドアを開けて入るものだが、開けないなら捜査機関で鍵屋を呼んでドアを開ける」
昨年10月、カカオトークと携帯メールに対する「サイバー査察」問題が起きた中で、キム・ジンテ検察総長は国会の国政監査で“鍵屋”を強調した。当時、カカオトークと運営スタッフが「ユーザーの個人情報保護のために検察の家宅捜索令状執行には応じない」という立場を明らかにした後だった。
捜査機関がガチガチに守られたスマートフォンのセキュリティーシステムを突き抜けるために、デジタル証拠収集の技術確保に奔走している。市民の生活様式がスマートフォンを中心に再編され、スマートフォン機器とメッセンジャーアプリなどから犯罪証拠をどこまで精巧に抽出するかが捜査の成否を左右する状況になったためだ。
検察は今年2月、既存の科学捜査機能を拡大再編して最高検察庁に科学捜査部を新設した。さらに最近では「メッセンジャー保存方式分析および暗号化データ獲得」のためのデジタル証拠収集ソフトウェアの開発に着手した。 22日、ハンギョレが入手した開発提案要請書によれば、検察は個人と企業が多く使う主要メッセンジャーアプリ4個のデータ暗号化を解読するための委託研究を先月発注した。 メッセンジャーに残されている対話内容と添付ファイルをき損することなく抽出し法廷に提出する証拠として活用するためだ。 検察関係者は「メッセンジャーごとに暗号化方式、保存構造が異なり、押収してもデジタル証拠分析に困難が多い」と開発の背景を説明した。
また、検察はアンドロイドOSとともにスマートフォン市場を二分しているアップルのiOSに対する委託研究も先月続けて発注した。 OSのソースを公開しているアンドロイドとは異なり、アップルはソースが公開されておらず証拠確保に困難があると知られている。 検察は提案要請書で「iPhoneに対する証拠収集および分析技法研究が進んでおらず円滑な捜査支援をできずにいる」と話した。
検察関係者は「iPhoneの場合、パスワードを確保できなければ分析に困難が伴う時もある。 iPhoneのセキュリティー構造把握のために委託研究を発注した」と話した。この関係者は「多くの犯罪がスマートフォンを通じてなされるので、検察の科学捜査もスマートフォン分析技術の開発に集中している状況」と話した。
これに先立って警察も「スマートフォンセキュリティ解除ツール」委託開発を発注したが、技術的問題のために研究を中断したことがある。 捜査機関が鍵を作って“窓”を開けている状況で、スマートフォン製造業者らは「捜査目的と言うのであれば別に言うことはない」としつつも、消費者のセキュリティー要求を満たすための“盾”は今後も作り続ける展望だ。