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[ニュース分析]朴大統領が国会に宣戦布告「選挙で審判してほしい」

登録:2015-06-25 23:40 修正:2015-06-26 06:57
国会法改正案に拒否権強行
朴槿恵大統領が25日午前、大統領府で開かれた閣僚会議で国会と与野党を批判し、固い表情で国会法改正案に対する拒否権行使発言をしている =大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が25日、国会法改正案の再議を要求する拒否権を行使した。 朴大統領はこれにとどまらず、この日大統領府で開かれた閣僚会議で国会と与野党を一括して非難する発言を吐き出した。 MERS事態での不手際な対応に対する遺憾表明や謝罪は行わなかった。 朴大統領の拒否権行使によって、野党が国会日程の中断を宣言し、セヌリ党は再議の可否とユ・スンミン院内代表の去就を巡って意見が割れるなど、与野党と与党・大統領府の関係、与党内紛など、政局全般が混乱と葛藤局面に吸い込まれていった。

 朴大統領は約16分程度の閣僚会議での発言で、最初にMERS関連の政府対応を短く注文した後、残りの12分を国会と与野党批判に費やした。固い表情で国会法改正案を拒否する理由を説明し、続いて激昂した声で政界と与党を順に批判して「選挙で審判してほしい」とまで言うほどに激しい内容だった。 政界では予想を超える激しい発言強度から見て、朴大統領が国会法拒否権行使をMERS政局突破のための一つの契機にしようとしているのではないかという分析まで出ている。

 朴大統領は先ず、国会法改正案と関連して「行政業務までマヒさせることは国家の危機を自ら招来することであるため、やむをえず拒否権を行使せざるをえない」として、「三権分立の原則を傷つけ、歴代の政府でも通過させえなかった改正案を再び試みる真意を理解することはできない」と話した。 また「国会が行政立法の修正変更を強制できるのかということに対して、国会議員の間でも解釈が統一されていないにもかかわらず、政府に移送されたことも理解できない。 政府を圧迫するために十分な検討もせずに急いで与野党が合意した」と付け加えた。

「政治が国民を利用して幻惑…」
16分のうち12分が激昂非難発言
ユ・スンミンを名指して「背信者」烙印も
選挙での審判を強調、支持層の結集を呼び掛け
“MERS危機”局面を転換するためとの分析

 朴大統領の批判は国会法改正案に留まらず、「政治(国会)が国民を利用してげん惑してはならない」として腹を括ったように国会に対して宣戦布告した。 朴大統領は「いつだって政界は政府の責任ばかりを問い、政府と政府の政策に対して絶え間ない葛藤と反目、批判だけを繰り返してきた」として、「働き口法案や経済再生法案が相変らず国会に3年も足止めされている。 政界が民生法案ではなく政治的利害関係に縛られたものなどから急いで解決する姿を見て、悲痛な心境だ」と話した。 また「国会が絶対に必要な法案を党利党略で足止めしておき、本人が追求する党略的なものをビッグディールを通じて通過させるというナンセンスな事態が発生している」と話すなど、これまで積もり積もっていた感情を吐き出すように批判した。 そして、自らに対しては「今後、私は大統領として国民が私に与えた権限と義務を、国家を正し国民のためにのみ使うだろう」とし、政界と一線を画した。

 朴大統領のこのような攻勢は、政界に対する国民の批判世論を最大限に活用し、MERS事態などで停滞した国政掌握力を取り戻そうという意図が込められたものと見られる。 任期中盤以後の政局の重心が国会と与党に傾いて、早期レイムダックを迎えている状況を認めないということだ。今後は国会でなく直接国民を相手にする「自分一人の政治」を宣言したわけだ。

 朴大統領はこれにとどまらず、与党に対する「ショックと圧迫療法」も使った。 朴大統領は会議で「与党の院内指令塔も政府・与党の経済興しにいかなる協調を求めたのか疑問を感じる」とし、「民意に代わって国民を代弁すべきで、自らの政治哲学や政治的論理に利用してはならない」とユ院内代表を直接名指しした。 さらに朴大統領は「私も結局は党と候補を支援してきたが、帰ってきたものは政治的、道徳的虚無感」とし、裏切られたという思いを吐露しもした。 自身に刃向かったユ・スンミン院内代表に公開の場で「背信者」の烙印を押したのだ。

 朴大統領はさらに、来年の総選挙に言及して「裏切るな」と与党に強力な警告メッセージを投げかけた。 朴大統領がセヌリ党に向かって「ひたすら選挙さえ勝てばという考えで、信義を失い国民の人生を担保に利益を手にしようとする旧態政治はもう終わらせなければならない」と注文した部分は、セヌリ党を見る朴大統領の認識を覗うことができる。

 朴大統領が何度も“選挙”と“審判”を繰り返して強調したのも、依然として自身には強固な支持勢力がいるという点を与党に喚起すると同時に、支持層に向かって「困難に処した自分を助けて欲しい」と訴え結集を促したものと分析される。 これは、MERS事態以後に朴大統領に対する批判が強まり、支持率が下落するなど危機に陥った状態だが、依然として自身の支持層は強固だという自信を持っているためと見られる。 朴大統領は「選挙を手段として当選しておきながら、信頼を裏切る背信の政治は結局は覇権主義と派閥づくり政治を量産することであり、必ずや選挙で国民が審判しなければならない」とし声を高めた。

ソク・ジンファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/697565.html 韓国語原文入力:2015-06-25 21:53
訳J.S(2361字)

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