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[ニュース分析]ファン・ギョアン首相就任、「親朴」系長官の中でリーダーシップ発揮できるか疑問

登録:2015-06-19 01:11 修正:2015-06-19 10:57
 MERS・景気後退·干ばつなど懸案山積
 「代読・司正専門首相」の懸念も
朴槿恵大統領が18日午後、大統領府でファン・ギョアン新任総理大臣に任命状を与えている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 18日午前、国会で任命同意案が可決されたファン・ギョアン首相は、午後に朴槿恵(パク・クネ)大統領に任命状を受け取った直後、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス対応の現場である国立中央医療院を訪れることから業務を始めた。ファン首相は「国民の生命と安全は国の存立の最優先の価値なのに、MERS不安が続いており、首相として重い責任を感じている。私がコントロールタワーとなり、MERS終息の先鋒に立つ」と覚悟を明らかにした。ファン首相は続いてチェ・ギョンファン首相代行が9日から毎日進めてきた「MERS毎日状況点検会議」を「MERS汎政府対策会議」に切り替えて、直接会議を主宰した。ファン首相は会議で「私は今日からMERSが終息するまで非常勤務に入る」と宣言した。

朴槿恵政権の元・現職首相に対する国会の任命同意案の賛成比率 //ハンギョレ新聞社

■「MERS首相」で始まる...「代読首相」「ボディガード首相」の懸念も

 ファン首相は、MERS事態の総括だけでなく、MERSの余波に伴う景気低迷と、もう一つの災害に浮上した干ばつの克服まで、同時に対応しなければならない過酷なデビュー戦に臨まなくてはならない。また、政府のMERS初期対応の失敗によって悪化した世論をどのように回復させるのか、朴大統領とはどのような関係を維持するのかが関心事だ。4月27日の前任の李完九(イ・ワング)首相辞任後、52日間も続いた首相の不在と比べられる存在感を見せなければならない負担もある。

 しかし、50代の公安検事出身のファン首相が60代とチェ・ギョンファン、ファン・ウヨ、ユ・ギジュンなど、セヌリ党中核の親朴(親朴槿恵)系議員出身者が主軸である現内閣を、効果的に総括しながら、業務を遂行できるかについては、疑念の声が少なくない。聴聞会過程で野党の強い反対を押し切って投票を強行したせいで、山積した懸案に対する国会の円滑な協力を引き出すのも容易ではなさそうだ。任命同意案賛成率も56.1%にとどまり、イ・ハンドン(51.1%)、李完九(52.7%)首相に続き、歴代三番目に低かった。

 与党内部でもファン首相に大きな期待を寄せる雰囲気ではない。ある親朴系議員は「今後与党と大統領府との権力争いが(政局の)中心となるので、首相の役割は限定されざるを得ない」とし「首相は大きな問題なく、MERS事態など国政懸案を管理できれば、それでいい」と述べた。

 ファン首相は聴聞会の過程で見せてくれたように「突発的な行動や発言」で非難されることはないと思われる。一方、上意下達の忠実な検察の組織文化に慣れていることもあり、朴大統領の意向をそのまま「代読」する役割にとどまるとの見通しも強い。キム・マンフム韓国政治アカデミー院長は「ファン首相は長官時代、政府の立場のみを伝えて、国会の要求は受け入れなかった」と指摘し、「今後は(首相として)国会とコミュニケーションし、国民の声を加減なしに大統領に伝えなければならない」と注文した。キム・ミンジョン慶煕大学教授(政治学)も「セウォル月号事故、MERS事態等に対応する過程で、朴大統領が現実を正確に把握していないような姿を見せてきたので、国民は大統領が正しい判断ができるように直言する首相を望んでいる」と述べた。

 公職生活のほとんどを公安捜査に費やした彼が、首相としてのコミュニケーションと調整よりも、政権の安定のための“ボディガード”の役割だけを充実に遂行しかねないという懸念も出ている。大統領府が当初ファン首相を指名する時から「政権の安定」のための役割を期待しており、このため、MERS対応政局が終われば、躓いていた司正政局が再び始まる可能性もある。

■朴大統領「首相が腐敗清算の司令塔になるべき」事実上“司正首相”注文

 朴槿恵大統領はこの日の午後、ファン首相に任命状を与えながら、「全省庁の能力を総動員してMERS事態の早期終息のために全力を尽くしてほしい」と要請した。それとともに、朴大統領は「MERSにより内需が萎縮するなど、MERS事態の否定的な影響を最小限に抑える必要がある。国民の不安を引き起こしたり、混乱を加重させる行為についても厳正に対応してほしい」とし、重ねて「流言飛語」の取り締まりなどを注文した。

 ファン首相を抜擢した背景に挙げられる司正の動きを予告するような発言もあった。朴大統領は、ファン首相に「首相が社会改革と不正腐敗清算の司令塔にならなければならない」とし「未来世代のための時代の課題である公共、労働、金融、教育の4大改革を滞りなく推進してほしい」と指示した。これにファン首相も「MERSは時間との戦いであるだけに、現場訪問と点検活動を行っていく。社会改革と不正腐敗の清算など国政課題を、最善を尽くして推進する」と述べた。

ソク・チンファン、ソ・ボミ、キ・ウェヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-18 21:51

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/696676.html 訳H.J

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