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セウォル号事故での政府不信がMERSの効果的対応を妨げた

登録:2015-06-19 22:33 修正:2015-06-20 08:12
 米国の保健専門家が米国医学協会誌に寄稿
 「大衆は透明な政府を信頼、すべてを完全公開すべき」
ソウル・江東区の江東慶煕大病院関係者が19日午後、病院入口で出入りする職員と来院者の体温を熱感知カメラと温度計で確認している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 米国の保健専門家たちが、韓国政府の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの対応の問題点を分析し、「透明性と信頼」の重要性を繰り返し強調した。韓国でセウォル号事故による「政府に対する不信」が、MERSに対する対応を遅らせたとの指摘だ。

 米国医学協会誌(JAMA)は17日、米ジョージタウン大ローレンス・ゴスティン公衆保険法教授と感染病が専門のダニエル・ルーシー博士の寄稿文「MERS:世界保健課題」を掲載した。 寄稿文で二人の保健専門家は、韓国政府が犯した失敗の例として不十分な感染統制、不必要な学校閉鎖と共に「透明性の不足」を挙げた。

 ゴスティン教授とルーシー博士は、「政府に対する大衆の恐怖心と不信感は、感染に対する効果的対応を妨害しうる」として、MERS事態がセウォル号事故後に起きた点に言及した。 ゴスティン教授らは「(韓国国民は)304人が犠牲になったセウォル号事故の時に政府がかえって混乱を加重させたと受けとめた」とその背景を説明した。さらに「MERSの時も保健当局が当初患者を治療した病院名の公開を遅滞させた」として「大衆は透明な政府を信頼する。科学的不確実性の不可避性を考慮する時、保健当局はMERS発生と関連して分かったことも分からないことも完全に公開しなければならない」と強調した。

 両教授は「韓国の状況はMERSが米国など他国で拡散することもありえ、持続的な警戒が必要だということを悟らせた」と警告した。 MERS感染統制のための戦略としては、医療従事者の訓練と特定地域旅行者に対する診断検査を提案した。合わせて、無差別隔離ではなく「十分に確認された接触者」等に隔離を最小化することが信頼度を高めると指摘した。地域社会での感染憂慮が低いだけに、旅行禁止や学校閉鎖措置などは自制することが望ましいと勧告した。

チョン・ジョンユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/696767.html 韓国語原文入力:2015-06-19 20:16
訳J.S(969字)

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