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[記者手帳]朴大統領がMERSに右往左往する本当の理由

登録:2015-06-18 23:04 修正:2015-06-19 08:15
 閣僚級元高官の「朴大統領リーダーシップ」診断
14日午後、朴槿恵大統領がMERSの影響を受けている商人たちを激励するため、東大門商店街を訪問して話をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 MERS事態を迎え、朴槿恵(パク・クネ)大統領のリーダーシップが底を露わにしています。朴槿恵大統領は「朴正煕(パク・チョンヒ」に基づく「絶対支持層」30%を基本としていると言われています。ならば、支持率33%は、ほぼ底打ちだと見るべきでしょう。朴槿恵大統領が「よくやっている」という支持世論が「間違っている」という反対世論よりも高い集団は、もはや地域的には「大邱・慶北」、年齢は「60歳以上」だけです。文字通り孤立していくのです。

 ずっと不思議に思っていました。朴槿恵大統領はなぜこんなにアタフタしているのか?朴槿恵大統領は1974年から1979年までのおよそ5年もの間に、大統領府で「ファーストレディ代理」の資格で国政を経験した人です。この「ファーストレディ代理」という肩書きは、私が作ったものではなく、大統領府のホームページに載っている内容です。彼女は5選の国会議員だったので、議会政治の経験も豊富です。政党の代表職も成功裏に遂行したと評価できます。彼女はほぼすべての選挙で勝利しました。ところが、大韓民国国政を運営する大統領として、今現在うろたえています。どうしても納得がいきませんでした。一体理由は何なのでしょうか?そこらあたりに転がっているような説明ではなく、「本当の理由」が知りたいと思いました。

 朴槿恵政権の元閣僚級高官に会ったのは、そんな疑問がかなり膨らんだ時でした。彼は非常に簡単に理由を説明してくれました。プライベートな席だったので、もちろん記事になることを見込んでの話ではありませんでした。しかし、内容にあまりにも説得力があったので、当事者の了解を得ずに、一部だけ会話形式で紹介したいと思います。

 一人で判断する大統領と判断したら追い出される官僚たち
 「“民主共和国”大統領のリーダーシップは民主的ではない」

- MERS事態に対処する政府が右往左往しているのと、朴槿恵大統領のリーダーシップとは関係があるのか? 

 「当然、深い関係がある。それはこういうものだ。今までの数十年もの間、韓国社会は、持続的に権力を分散させてきた。ところが、朴槿恵大統領が、瞬く間にそれを過去に戻してしまった。朴大統領の就任後、権力は大統領府に、大統領1人に集中している。少し大げさに言うと、大統領だけですべての情報を握っており、一人で判断し、一人で指示する」

- MERS事態でもそうだったのだろうか? 

 「当然そうだったはずだ。過去2年間で、官僚がそのようなシステムに飼いならされた。MERSの現場責任者は、保健福祉部に報告し、保健福祉部官僚たちは長官に報告して、指示を待っていただろう。長官が判断して指示したのだろうか?それはないだろう。長官は、大統領府に報告してどのようにするかを尋ねたはずだ。大統領府の中でも、大統領に至るまで複雑な過程を経て報告されただろう。結局病院を公開するか否かを、このような事案まで大統領が決定して指示した可能性がある」

朴槿恵大統領が17日午後、清州興徳区の国立保健研究院でソン・ジェフン・ソウルサムスン病院長と話をしている=清酒/イ・ジョンヨン記者(大統領府写真記者団)//ハンギョレ新聞社

- 官僚がそのように消極的に変わった理由は何なのか? 

 「自分で判断して決定すると追い出されるからだ。セウォル号事件が起きると、朴槿恵大統領は官僚たちをスケープゴートにした。そのうえに、公務員年金改革を進めるのはいいが、公務員たちを“定年を保障された既得権集団”とする世論攻勢に出た。公務員たちが背を向けるのも無理はない」

- そのような大統領となぜ一緒に仕事をしたのか? 

 「私は韓国社会がこれ以上対立して分裂してはならないと考えていた。保守と革新、与党と野党が共に歩んでいくべきだと思った。私は朴正煕元大統領の娘である朴槿恵大統領にはそれができると思っていた。すべて人々がともに歩む世の中を作れると信じていた。大統領に当選されてから、朴槿恵大統領からも直接そのような話を聞いた」

- なのに、大統領府にいざ入ってみると、話が違っていたということなのか?

 「全く違っていた。キム・ギチュン秘書室長を通じて、一方だけを気にすればいいと指示された。それで、ある瞬間から諦めた。私はやめたが、それから今まで朴槿恵大統領は全く変わらなかった。今後もそうだろう」

 聞いているうちに複雑な気持ちになりました。朴槿恵大統領が1970年代に回帰したような“権威的”かつ“独裁的”なリーダーシップを行使しており、大統領選挙の公約とは異なり、国政を偏向的に運用しているという話だったからです。そういえば、朴槿恵大統領と一緒に働いた経験があるユン・ヨジュン元環境部長官がこれと似たような診断を下したことがあります。大韓民国は民主共和国なのに、朴槿恵大統領のリーダーシップは民主的ではないと。

 “大統領府の無能”の原因を「メッセンジャーの不在」に求める人も
 「与党が大統領と歩調を合わせようとしても、もつれるばかり」

 ほぼ同時期に朴槿恵政権で閣僚級の高官だった別の関係者は、原因を少し別のところに求めていました。彼は、主に国会法改正案事態を中心に、朴槿恵大統領が頑強な態度を取っている理由を分析しました。ハンギョレの他の記者が取材したものなので、要約して伝えます。

 彼はまず、朴槿恵大統領の問題の原因を「メッセンジャーの不在」に求めました。イ・ビョンギ秘書室長や政務特補も、しっかりとしたメッセンジャーではないということです。彼はチョン・ウィファ国会議長、金武星(キム・ムソン)代表、ユ・スンミン院内代表が朴槿恵大統領と歩調を合わせていい仕事をしようとするのだが、大統領の真意が把握できず、むしろ、より事態が悪化していると診断しました。

 それなら、メッセンジャーをどのような人に任せればいいのでしょうか?彼は、大統領の意向を正確に把握し、国政を統括する役割を、首相が果たさなければならないと話しました。秘書室長は大統領の日程だけを管理すればいいということです。しかし、今回ファン・ギョアン法務部長官が首相になるのを見て期待を捨てたと、彼は言いました。

 これからどうなるのでしょうか?彼は「今、各省庁がすべて目茶苦茶になっている」と診断し、「今後、セウォル号、MERSに続いて、もっと大きなことが起きるのではないか心配だ」と懸念しています。ファン・ギョアン法務部長官を首相に起用するのを見ると、統一に対する意志がないようだとも言いました。

 世の中には、直接経験した人だけが知り得る、そのような事柄があります。朴槿恵大統領のリーダーシップにどのような問題があるのか、朴槿恵政権がなぜ無能なのかは、やはり朴槿恵政府の中で、それも高官として仕事をしてみた人が正確に知っているはずです。二人は、朴槿恵大統領の残りの任期について、非常に暗い見通しを提示しました。今よりもはるかに険悪な場面が繰り広げられるだろうと、“予言”もしました。お先真っ暗です。

ソン・ハンヨン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-18 15:46

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/696530.html?_fr=mt1  訳H.J

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