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韓日葛藤は両国の政権に問題…両国の大学生たちが解決に向け動く

登録:2015-06-10 19:13 修正:2015-06-12 22:14
国民大と津田塾大学生アンケート調査
昨年12月24日午後「大学生が建てる平和の少女像除幕式」が開かれた。ソウル・西大門区の大賢文化公園で、参席者が少女像の手を握って日本軍慰安婦被害おばあさんの挨拶を聴いている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 ハンギョレは先月26~27日、ソウルの国民大と東京の津田塾大でそれぞれイ・ウォンドク教授、パク・ジョンジン教授の助力を得て、韓日関係関連授業を聴く学生たちを対象にアンケート調査とインタビューを行った。精密な世論調査ではないが、講義を通じて相手国を学び、そのために一般人よりは相手国に対する関心が高い両国の大学生の率直な声を通じて、韓日関係の今日と明日を診断してみる。

 1990年代中盤に生まれた現在の韓国・日本の大学生は、相手国の大衆文化の洗礼をたっぷり受けて育った世代だ。 韓国では1990年代に紹介された『クレヨンしんちゃん 』のような日本の漫画・アニメが“倭色文化”だという蔑視を受けずに合法的に消費され、日本では2003年『冬のソナタ』を始めとする“韓流ブーム”が映画・大衆音楽界を席巻した。 国民大・津田塾大で会った学生もお互いの国に関心を持つようになった背景として大衆文化の影響を最初に選んだ。 韓国側は57.7%が「放送・インターネット等を通して日本映画や音楽などに関心があった」と答え、日本側も50.0%が同じ回答をした。

韓日関係関連授業受講大学生に対する関連調査 (1) //ハンギョレ新聞社

 しかし、双方が、「概して現在の韓日関係が、初めて相手国に関心を持つようになった時点に比べて悪くなった」という評価を下した。 韓国の学生たちはこの数値が84.6%であり、日本の学生たちも70.0%に達した。 関係悪化の責任が韓国と日本、どちらか一方ではなく「両方にある」という見解も一致した(韓国90.9%、日本80.0%回答)。

 両国関係悪化の原因として、日本の最大の責任は何かを尋ねた質問に、「安倍政権が過去の歴史に対する謝罪を事実上拒否しているため」という回答が韓国85.7%、日本66.7%で最も多かった。 国民大のある学生は、「安倍晋三首相は、米日関係さえ良ければ、周辺国との関係はどうでもよいと考えているようだ」と指摘した。 津田塾大生も「安倍首相が首相であるうちは日韓関係は良くならない。 日本は民主主義がまともに機能してもいないし、投票率も低く、日韓関係を重視してもいない」と安倍首相に鋭い批判を加えた。

 「日本が集団的自衛権等を通して軍事的役割の拡大を試みているため」や「日本の嫌韓デモのため」等の回答は相対的に少なかった。別の国民大生は「日本の再武装は北朝鮮の脅威を想定して進められているが、南北関係が悪くなった結果、それに対する反感が相対的に小さくなったようだ」と話した。

韓日関係関連授業受講大学生に対する関連調査 (2) //ハンギョレ新聞社

大衆文化の影響で相手国に関心
「関係悪化は双方に責任」共感

日本側原因「過去の歴史謝罪拒否」筆頭
韓国側原因「韓日首脳会談拒否」
安倍首相・朴大統領の外交に批判的
「李明博の独島訪問」も否定的評価高い
「植民支配への謝罪」日本の55%が「不足」

嫌韓・反日感情は4人に3人が経験
関係改善策は「交流・対話拡大」を挙げ
相手国を訪問してから「印象が良くなった」

 韓国側の最大の責任は何かという質問には、日本側とは異なり意見が分散していた。 国民大生の間では「朴槿恵(パク・クネ)政権の韓日首脳会談拒否のため」と「韓国の絶え間ない過去の歴史での謝罪要求のため」という回答がそれぞれ20%を占めた。 反面、津田塾大学生の間では「朴槿恵政権の韓日首脳会談拒否」(46.7%)が「歴史謝罪要求」(26.7%)や「反日感情」(20.0%)を大きく上回っていた。 日本社会の韓国に対する関心が2000年代に入り韓流ブームに乗って急上昇しただけで、最近数年間に現れた関係悪化の主要原因はかなり以前からあった感情のためではなく、現在特に執権勢力の形態にあるとみたわけだ。

 ある国民大生は「名分と実利を区分できずに歴史問題に埋没している」として、朴槿恵政権の無能を指摘した。 ある津田塾大生は「韓国政府が過去の問題に関する交渉で『誠意ある措置』を要求するだけで、具体的に『日本が何をしなければならないか』を明確に言わないため」と話した。 また別の津田塾大生は「竹島問題は領土問題であり、軍慰安婦問題は人権問題なのに、それらを混同するのは問題の解決を複雑にする」という意見を提示した。

 安倍晋三首相、李明博(イ・ミョンバク)前大統領、朴槿恵大統領など、両国首脳の韓日外交に対する態度について、両国の学生たちは概して批判的だった。 軍慰安婦問題に対する安倍首相の態度が「適切だ」という評価は、日本の学生たちの間でも30%に過ぎなかった。 李明博前大統領の2012年独島訪問に対する視線も冷ややかだった。 日本側では55.0%が「不適切だった」と答えた。 韓国側も「行き過ぎだった」(30.8%)、または「不適切だった」(15.4%)という評価が、「当然だった」(38.5%)を上回った。 朴大統領が就任以後に韓日首脳会談を事実上拒否してきたことに対して、国民大生は「何の役にも立たない無意味な外交」とか「無能力で顔色を見ているだけ」という冷たい評価を下した。 日本の学生の75%も「行き過ぎだった」と答えた。

韓日関係関連授業受講大学生に対する関連調査 (3) //ハンギョレ新聞社

 「直接または間接的に反日(嫌韓)感情に接したことがあるか」という質問には、4人に3人の割合(韓国76.9%、日本75.0%)が「ある」と答えた。 ある国民大生は「日本旅行中に韓国人を卑下する表現に接して、“嫌韓威嚇”を直接感じた」と答えた。 ただし、反日または嫌韓の感情に重大視する学生はいなかった。 相手国が「嫌いだった」という反応は韓国側で僅か1人だった。 ある津田塾大生は「(反日感情は)悲しいが、相互的なものと思う」と話した。

 1965年の韓日国交正常化当時、カギになった20世紀序盤の帝国主義日本の朝鮮半島植民支配の性格に関して、津田塾大生側の70%は「何とも言えない」という選択肢を選び、複雑な心境を表わした。 ある国民大生は「植民支配は帝国主義時代の狂気によって起きたことであり、合法性を問い詰めること自体が無意味だ」と話した。

 日本が十分に謝罪したと考えるかとの質問に、意外にも日本学生の55%が「不充分だ」と答えた。 韓国側では「何とも言えない」(50%)という留保的立場が最も多かった。 ある国民大生は「十分に謝罪したと言えるが、安倍首相が駄目にした」と話した。 反面、ある日本の学生は「十分に謝った。いつまで過去の問題にこだわっているのか」として、韓国側の持続的な謝罪要求に対する不満を示しもした。

 学生たちは直接交流の拡大が両国関係改善の重要な踏み台になるという期待を示した。 ある津田塾大生は「ソフトパワーの影響が強い若い世代が中心となって対話して、マスコミに弄ばれないことが必要だ」と提案した。 ある国民大生は「韓国では未就学段階から盲目的な反日感情の学習がなされているようだ。 これを乗り越えた若い世代の交流が重要だ」と強調した。 実際、交換学生、旅行などの機会にお互いの国に行ったことのある半数以上(韓国57.7%、日本60%)の回答者のうち、「訪問した後に印象が悪くなった」という回答はただの1人もいなかったし、ほとんど(韓国73.3%、日本91.7%)は「良くなった」と答えた。

 先ず若い世代から極端な雰囲気から抜け出し、未来指向的関係を結ぼうという注文も出てきた。 ある国民大生は「双方で刺激的なマスコミの報道が反日・嫌韓感情を煽る悪循環が繰り返されている。 マスコミが両国を極端な関係に追い込んではならない」と話した。 ある津田塾大生は「日本が歴史を直視することも重要だが、韓国も感情を少し押さえる必要がある」として、互いに一歩ずつ下がろうと提案した。 また別の津田塾大生は「現在の葛藤は両国の政権だけの問題だ。 これからの時代は私たちのような若者が導いていく番だから、リセットしても良いのではないか」と話した。

キム・ウェヒョン記者、東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/695092.html 韓国語原文入力:2015-06-08 22:05
訳J.S(3536字)

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