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「MERS収拾が優先」与野党から朴大統領訪米延期を求める声

登録:2015-06-09 08:26 修正:2015-06-09 08:53
朴槿恵大統領が8日午後、MERS防疫対応と防疫支援の状況を確認するために、政府ソウル庁舎に設けられた、政府MERS対策支援本部状況室を訪問している。前列右はファン・ウヨ社会副首相兼教育相=青瓦台写真記者団//ハンギョレ新聞社

 中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルス感染の事態が収まらない中、14~19日に予定された朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪米日程の調整を検討すべきとする発言が与野党から相次いでいる。

 セヌリ党ハ・テギョン議員は8日、党内少壮派の集い「朝の声」の会議で「大統領は国内でMERSを根絶する積極的な姿勢を示し、国民が安心できるようにしていただきたい。訪米を延期する問題を積極的に検討する時になったようだ」と述べた。新政治民主連合イ・モクヒ議員もこの日の国会緊急懸案質問で「今週内に収拾局面に持ち込めなければ、14日に予定された大統領訪米延期も検討しなければならない」と述べた。正義党シム・サンジョン院内代表もCBSラジオのインタビューで「この局面で最高指導者が外国を訪問するのは無責任だ」と批判し、前日に続き訪米日程の調整を繰り返し求めた。

 今のところ大統領府は訪米の取り消しや延期などは全く考慮しない雰囲気だ。だがMERS感染が広がり続ける場合、訪米反対の世論はさらに高まるものと見られ、困惑を隠せない様子だ。今回の訪米が、MERS問題が起きる前から安倍晋三日本首相の訪米と比較されるのを敬遠した大統領府だが、明確な成果を出せない場合、すでに悪化した世論を回復させるのは容易でないと憂慮される。

 ミン・ギョンウク大統領府報道官はこの日のブリーフィングで「日程変更に関連して別に発表する内容はない」と短く答えた。政府当局者は「もし日程を取り消したり延期すれば、むしろ韓国のMERS危機が誇張されてしまう」という点を理由に挙げた。また、この当局者は「その上、米国大統領選挙が来年に迫り、オバマ政権とは事実上最後の両者会談という点も見逃すことはできない」と付け加えた。

 キム・ジュンヒョン韓東大教授は「首脳会談といっても韓米同盟の堅固性と北朝鮮の核と人権問題などに対する強硬基調を再確認する宣伝的水準になるだけのことで、国内状況を避けて行く必要まであるのか疑問」と首を傾げた。米国は今回の首脳会談を通じて、南シナ海問題などを巡り韓国の立場表明を圧迫する可能性が高いとする観測も提起される。政府の一角では、今回の訪米が米中から選択を求められる「第2のアジアインフラ投資銀行(AIIB)事態」に続くと憂慮する雰囲気も感知される。

 朴大統領は昨年、セウォル号事故の収拾がつかない状況でアラブ首長国連邦(UAE)の韓国型原子炉設置行事の出席のため国内を空けたことがある。また、今年のセウォル号1周年当日、「ソンワンジョン・リスト」問題の真っ最中に南米歴訪を押し切り世論の批判を受けた。

キム・ウェヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-08 22:28

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/695088.html 訳Y.B

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