本文に移動

MERS危機段階「注意」にこだわる韓国政府…「格上げで国家イメージ損なう」

登録:2015-06-09 01:04 修正:2015-06-09 07:32
 一部の自治体・公共交通機関部門など
 自発的に「警戒」に格上げし積極対応
8日午後、ソウル鍾路区の外交部庁舎で外交部・保健福祉部共同で開いた駐韓外交官を対象としたMERS説明会の開始に先立ち、ある外交官がマスクを使って資料を見ている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 一部の公共機関や地方自治体が中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの危機段階を、事実上「警戒」レベルに合わせて対応しているのに、政府は依然として「注意」レベルにこだわっている。政府は、その理由を「国家イメージの低下の懸念」のためだと明らかにした。

 政府が感染症の拡散を防ぐために作成した危機管理対応の手順は、「関心」「注意」「警戒」「深刻」に分けられる。このうち、第2段階である「注意」は、国外から新型感染症が国内に入ってきた際に稼働する。保健当局は先月20日、最初のMERS患者が確認されて以来、「注意」を維持している。注意段階では、省庁や地方自治体の積極的な対応よりも協調システムに重点が置かれている。

 しかし、現在のMERSの状況は事実上の警戒段階に入ったという指摘が出ている。政府感染症危機管理マニュアルによると、警戒は国外新型感染症が国内に入って来てから、他の地域に広がった場合をいう。すでに最初の患者が入院していた平沢(ピョンテク)聖母病院がある京畿道以外にも、ソウル、忠清南道、大田(テジョン)、全羅北道、釜山(プサン)など、ほとんどの地方自治体に感染者が拡大した。2次感染者と接触して確定判定を受けた3次感染者も増え続けている。このような理由から、全羅北道全州(チョンジュ)市は5日、危機警報レベルを注意から警戒に格上げし、MERS拡散防止のための非常対応システムに突入した。地方自治団体が自主的にMERS危機警報レベルを格上げしたのは異例のことだ。

 感染症危機のステップは、保健福祉部が標準マニュアルを作成し、各省庁と現場では具体的な内容が盛り込まれた実務マニュアルの通り動くようになっている。しかし、すでに鉄道、航空、バスなどの感染症の拡散に直接影響を与える公共交通機関の分野では、状況が深刻であることから、警戒の段階に合わせて対応している。コレイル(KORAIL)関係者は「注意の段階では、消毒剤を備置したり、案内文を張り付ける程度だ。MERS患者が増え続けて、今では警戒レベルに合わせてマスクと熱感知器を持ち歩いてMERS拡散を防いでいる」と話す。

 このような状況にもかかわらず、政府だけが注意段階に固執している。ムン・ヒョンピョ保健福祉部長官は同日、国会緊急懸案質問でイ・モクフィ新政治民主連合議員が「注意」段階を維持する理由を尋ねると「警戒にすると、国家イメージに悪影響があり、現在MERSが病院内だけで感染することが確認されたため、注意を維持している」と答えた。これに対し、イ議員は「すでに大韓民国の措置が目茶苦茶であることが国際社会に知られている」とし「首相が責任者を務め、大統領が陣頭指揮する汎省庁対策本部が設置されなければ、MERSの拡散を防げない」と指摘した。

世宗/キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-08 20:09

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/695018.html  訳H.J

関連記事