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[ニュース分析]ソウル市長と城南市長のMERS対処は法律通りだった

登録:2015-06-08 21:00 修正:2015-06-09 09:09
 感染病予防法の明文条項
 地方自治団体長に強力な義務と権限を付与
 「感染病流行の憂慮があれば遅滞なく疫学調査」
 「地方自治体疫学調査を拒否・妨害・回避すれば罰金200万ウォン」
 中央政府による地方自治体への情報提供も義務
パク・ウォンスン ソウル市長が5日午前、庁舎内の忠武気密室で区庁長らとMERS関連連席会議を開いている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 “MERS事態”で地方自治団体長の積極的な動きがが注目を集めています。

 ソウル市のパク・ウォンスン市長は、感染者の動線を公開し、感染者を量産した病院に対して情報公開を圧迫しました。 保健福祉部にも積極的な情報共有を要求しました。 城南(ソンナム)市のイ・ジェミョン市長も城南市に居住するMERS患者の職場と居住地、子供の学校名などを公開しました。

 両市長の行動は直ちに熱い支持と批判を呼び起こしています。 様々な視点から賛成と反対が可能でしょう。 支持と批判に先立ち、どのような法的根拠に基づいて地方自治団体長がこのような行動をしているのかを探ってみました。

 MERSと関連して、政府の義務と国民の権利を規定した法律は「感染病の予防および管理に関する法律」です。この法律の第6条第2項は、「国民は感染病の発生状況、感染病の予防および管理などに関する情報と対応方法を知る権利がある」と規定しています。

 「感染病の発生状況を知る権利がある」という意味は、単純に現在患者が何人だという情報だけでなく、最初の患者がどこで発生し、現在感染病がどこまで拡散しているかに関する情報について“知る権利”があるという意味と解釈できます。 法律だけを見れば、非公開で一貫し、やむをえず病院名を公開した政府の措置が果たして適切だったかという疑問を感じます。

 感染病予防法は、市・道知事に強力な義務を付与しています。 感染病予防法第18条1項は「疾病管理本部長、市・道知事、または、市長・郡守・区庁長は感染病が発生し流行する恐れがあると認めれば、直ちに疫学調査を実施しなければならない」、3項は「何人も疾病管理本部長、市・道知事、または市長・郡守・区庁長が実施する疫学調査を正当な理由なく拒否または妨害したり回避してはならない」と規定しています。 従わなければ200万ウォン以下の罰金刑に処します。

 疫学調査対象としては、感染病患者等の人的事項▽感染病患者等の発病日および発病場所▽感染病の感染原因および感染経路▽感染病患者等に関する診療記録▽その他感染病の原因糾明に関連する事項などが含まれます。 ソウル市長など地方自治団体長が直接疫学調査を実施しなければならない状況なのです。

 ソウル市がサムスンソウル病院に「閉鎖措置を下すこともできる」と言及したのも感染病予防法に根拠条項があります。 この法の第47条は、特別自治道知事または市長・郡守・区庁長は感染病が流行すれば感染病の伝播を防ぐため、感染病患者等がいる場所や感染病病原体に汚染されたと認められる場所の交通を一定期間遮断▽感染病病原体に感染したと疑われる人を適当な場所に一定期間入院または隔離などの措置を取るべく規定しています。

 中央政府は地方政府に積極的に情報も提供しなければなりません。 選択ではなく義務条項です。 感染病予防法第35条1項は「保健福祉部長官は、感染病危機管理対策を市・道知事に知らせなければならない」と規定しています。 2項は「市・道知知事は第1項により通知された感染病危機管理対策に則り特別市・広域市・道・特別自治道感染病危機管理対策を樹立・施行しなければならない」と規定しています。

キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/694959.html 韓国語原文入力:2015-06-08 16:58
訳J.S(1693字)

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