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[記者手帳]大統領はなぜMERS対応で後手に回ったのか

登録:2015-06-05 22:02 修正:2015-06-06 07:16
 「対策準備は専門家たちが」
 「報告は必ず書面でのみ」
 セウォル号事態を体験していながら
 またも遅い対応をとる朴大統領スタイル
3日午後、大統領府で開かれた「MERS対応官民合同緊急点検会議」に参加する朴槿恵大統領=イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ミン・ギョンウク大統領府報道官は5日午前、青瓦台春秋館でのブリーフィングを通じて「本日午後に予定された統一準備委員会民間委員討論会日程は順延された」として「MERSは現段階で政策優先順位の一番上にあるため」と述べた。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は、2日に全羅南道の創造経済センター出帆式に参加し、3日には忠清南道の国防科学研究所総合試験場を訪問した。 その時までMERS政策順位はその後だったという話になる。 反面、MERSの初めての死亡者が発生した1日から国民の最優先関心事はMERSだった。よほどのことでなければ教育に命を賭ける大峙(テチ)洞の父母が要求して3日から学校を休校にし、塾の門を閉めさせることはない。

 大統領が感じるMERSの危機感と国民が感じる危機感に、なぜこれほど大きな差が生じるのだろうか。 大統領府のMERS対応はなぜこれほど遅れたのだろうか。 これを理解できるキーワードが朴大統領の“書面報告原則”と“専門家中心主義”だ。

 朴大統領にMERSが初めて報告された当時の状況を推定してみた。なぜならば、大統領府はこのような基本的状況までセキュリティーのためとして説明しないためだ。

 MERS感染が最初に確定した患者が出たのは5月20日、朴大統領は書面でその内容の報告を受けただろう。 セウォル号が沈んでいる状況でも対面報告を受けなかった朴大統領であったから。 その報告書には「メルスは伝染力が弱く、それほど憂慮すべき状況ではない」という専門家の評価があったに違いない。 主務部署である保健福祉部の判断がそうだったから。 朴大統領が5月26日に主宰した閣僚会議では誰の口からもMERSのM字も出てこなかった理由は多分そのためだろう。

 朴大統領が初めてMERSに関して話したのは1日午前10時の首席秘書官会議の席であった。 朴大統領はその時までに15人のMERS患者が発生したと話した。 その日午前6時40分に保健福祉部が18人目のMERS患者が発生したと発表したが、大統領はそれを知らなかった。 大統領が患者数を間違ったのは、前日に受けた書面報告を基準にしたためだろう。 会議開始前に担当である保健福祉秘書官の対面報告だけでも受けていればありえないことだった。

 朴大統領の後手対応を生んだもう一つの要素は“専門家”中心主義だ。 大統領府はMERS対策を用意しようとして3日に与党が要求した党政大統領府協議会の開催を「現段階では役立たない」として拒否した。 大統領府はこの日も党政大統領府協議会の開催はしないと繰り返し確認した。 自身に反旗を翻したユ・スンミン院内代表の意見は受け入れられないという大統領の意地と「対策準備は専門家がすること」という大統領の考えに基づく返事だった。 「政治家がMERSに対して何が分かると…」という考えだ。

イ・テヒ政治部政治チーム長 //ハンギョレ新聞社

 党政大統領府協議は本質的に党が国民の気持ちと声を政府と大統領府に伝達し、対策の準備を要求する席だ。 民心の流れを捕らえるのに動物的な感覚を持っているのが政治家たちだ。 迫り来る危機を感じて、これに対する対策を用意しろと叫ぶことが政治家の役割だ。 しかし、そんな風に直接聞く声よりは報告書が好きなのが大統領のやり方だ。

 MERSに対する対応を見て、セウォル号の悪夢が思い出されるという話が与党の国会議員の口から出る理由は、朴大統領のこのようなスタイルのためだ。 セウォル号の惨事を体験していながら、そのようなスタイルを変えなかった朴大統領が、MERSを体験して変えるとは思えない。 その被害は私たち国民が被ることになる。

イ・テヒ政治部政治チーム長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/694539.html 韓国語原文入力:2015-06-05 21:02
訳J.S(1707字)

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