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MERS情報公開しない政府...混乱に陥った国民

登録:2015-06-03 23:45 修正:2015-06-04 09:29
 国民・与野党「地域・病院開示しなければ感染の拡大阻止できない」
 福祉部 「不合理な恐怖心を煽るだけ...病院が被害受けるだけ」と対抗
中東呼吸器症候群(MERS)確定患者が30人に増えた3日、市民は不安の中で一日を過ごした。この日午前、ソウル永登浦区新道林駅から地下鉄の通勤市民がマスクをしたままスマートフォンを見ている=キム・ボンギュ記者//ハンギョレ新聞社

 政府が中東呼吸器症候群(MERS)患者を治療している病院の情報を秘密にしたことで、国民の不安と恐怖が広がっているとする批判的な世論が相次いでいる。政界からも「MERS病院などの情報の公開」を求める動きが出ているが、政府と保健当局は「不合理な恐怖心を煽るだけで、MERS治療に乗り出した病院だけが被害を受ける可能性がある」と非公開の方針を固守している。

 金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表は3日、国会で開かれた最高委員・重鎮議員連席会議で、「(政府は)国民に正確な情報を提供して国民が不信の沼には陥らないようにすることが非常に重要である」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)新政治民主連合代表は京畿道・楊平(ヤンピョン)のカナアン農夫学校で開かれた現場最高委員会議で「MERS発生地域と医療機関等について透明かつ正確な情報開示が急がれる」と強調した。

京畿道に続きソウルでも小学校が初めて休業に入った中、ソウル地域のある小学校の入り口に4日から2日間休校という内容の案内文が貼ってある=シンソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 世論調査専門機関「リアルメーター」が2日、500人を対象にアンケート調査をした結果、回答者の82.6%が「MERSに備えられるよう、感染者が出た病院と地域を公開すべきだ」と答えた。 「過度の不安感を煽る可能性もあるので、公開してはならない」という意見は13.4%にとどまった。全国保健医療産業労働組合(保健医療労組)はこの日、声明を発表し「MERSの発生地域や病院の名前を公開しなければ、その地域の医療機関と自治体、市民が力を合わせてMERS拡散防止対策に取り組めない。対策本部がこれを公開しなかったことで、様々な情報がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で流れている。対策本部こそがMERS怪談を作っている」と指摘した。チョン・ヒョンジュン人道主義実践医師協議会政策局長は「SNSで広がったように、情報収集が速い人たちは、すでにMERSの診療病院を知っている。この程度の状況であれば、もはや非公開にする理由がないうえ、かえって混乱を加重させる副作用の方が大きい」と述べた。

仁川国際空港旅客ターミナルから防疫要員が入国ゲートの床に殺菌消毒剤を撒いている=聯合ニュース

 政府は、MERS関連病院情報などを公開するのが適切でないという見解を明らかにした。ヒョン・ジョンテク大統領府政策調整首席は同日、大統領府で開かれたMERS対応の緊急点検会議後のブリーフィングで、「今の患者を隔離収容している病院を公開するか否かは(重要な)ポイントではない」とし「国民はどこの病院で(MERSに)感染したのかを知りたがっているが、すでに(確定者)30人のうち25人が同じ病院で発生しており、その病院は閉鎖した状態」だと病院情報の公開などに否定的な立場を示した。大統領府点検会議に参加したキム・ウジュ大韓感染学会長も「国民が公開を求める気持ちもわからなくはないが、公開するのは、結論からいうと、得よりも損の方がより大きいと判断している」とし「MERS患者を隔離し、医師が感染を予防している病院は、安全な病院なのにMERS汚染病院と誤認されるのは、大きな副作用」だと強調した。

ソ・ボミ、ソク・チンファン記者、キム・ヤンジュン医療専門記者シンソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-03 21:49

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/694207.html  訳H.J

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