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病院に行くのが怖い患者のためテントでMERS「隔離診療」

登録:2015-06-04 01:07 修正:2015-06-04 09:28
 MERS緊急事態で必死の病院
 院内感染恐れる外来患者が受診に消極的
 来院者は専門保健用マスク着用
 他の急患と接触しないように
 病院側、感染が疑われる患者は別に対応
 MERSホットラインに相談電話殺到
防疫服とマスクを着用した防疫要員が3日午前、ソウル・鍾路区のソウル大学病院内に設置されたMERS感染が疑われる患者の診療のため一時隔離室を出入りしている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 病院フェンスの中に入ると“マスク軍団”が現れた。

 3日午前11時40分頃、ソウル鍾路(チョンノ)区ソウル大学病院の中では10人に7人の割合で白いマスクを着用していた。通行人10人のうち2、3人だけがマスクを着用していた、病院近くのソウルの地下鉄恵化(ヘファ)駅付近の風景とは対照的だった。

 患者の保護者として病院を訪れたチョン・ナムスン氏(53)は、「家の近くの地下鉄ではマスクを付けた人があまりいなかったのに、病院に来ると、ほとんどの人が着用していたので、私も急に怖くなってマスクを付けた」と話した。チョン氏は「MERS(中東呼吸器症候群)の感染がほとんどの院内で起こるというから、もっと配になった。周りの人たちは、重病ではない限り、病院へ行かないと言っている」と話した。患者のキム・チョルウ氏(61)も「普段はマスクを使わないけど、妻に尋常じゃないと言われてつけてきた」と話した。

 病院の医療スタッフや従業員だけでなく、訪問者の中にも専門保健用マスクをした人たちが目立った。保健当局は、鼻とあごまで完全に覆う専門医療(KF94·99)マスクは、MERS確定患者などを診療する医療スタッフだけが着用すれば良いと説明する。しかし、毎日確定患者が増えて死亡者まで発生すると、病院を訪れる一般人ももしかしたらという不安感から可能な限りの自己防御策を用意するようになった。

 免疫力が低下した外来患者の中には、MERS感染を懸念し、自分の代わりに保護者を病院に送る人もいた。患者家族のキム氏(35)は、「母の定期検診の結果が出る日なので、一緒に病院に来る予定だったが、免疫力が低下した状態なのを考えて、私一人で薬を取りにきた」と語る。

 一般の人たちの間で不安が急速に広がっていることを受け、病院側は先月31日から緊急治療室の前にテントを立てて「MERS一時隔離室」を新設した。MERSの心配で病院を訪れた人々が緊急治療室に直行すると、他の患者と接触する可能性があるからだ。

 チャン氏(44)は、この日の昼12時頃、母とともに一時隔離室を訪れた。チャン氏は「長い間、腎臓透析をしている母親が、今朝熱は39.6度まで上がった。普段通っている医院が大きな病院でMERS検査を受けるように勧められたのできた」と事情を説明する。隔離室の中には電話と椅子、体温計などが備えられている。チャン氏の母親は隔離室内部の電話で緊急治療室の医療スタッフと通話し 「熱はあるが、咳は出ない」と伝えた。15分後、担当医師が保護具を着用して母に会った。「熱をかなり下がったので、MERSの疑いはない」と言われて、チャン氏と母親は隔離室を後にした。もしMERS感染が疑われる場合は、病院で検体を採取し、疾病管理本部側に送信し、疑われる患者はすぐに隔離される。

 2日、病院内の3次感染の事実が発表により増幅された“MERS恐怖”を反映しているかのように、「MERSホットライン」には相談電話が殺到している。保健福祉部の中央MERS管理対策本部(対策本部)は、2日午前9時から24時間の間、MERSホットライン(コールセンター)の相談件数が1107件に達したと明らかにした。対策本部が先月30日から運営してきたホットラインの相談件数は、初日451件から1日には997件に急増し、2日には1000件を超えた。

ペク・スジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-03 20:15

https://www.hani.co.kr/arti/society/health/694173.html  訳H.J

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