「韓国は北朝鮮に差し伸べた手を引っ込めてはならない」
ゲアハルト・シュレーダー元ドイツ首相(72)は22日午前11時、京畿道議会本会議場で「ドイツ統一と連立の経験と韓国への助言」をテーマに行った40分間の演説で、朝鮮半島の統一と関連し、「韓国は信頼形成のために北朝鮮に手を差し伸べているが、北朝鮮が(その手を)取らず後退することがあっても、一度差し伸べた手を引っ込めてはならない」と述べた。
北朝鮮についてシュレーダー元首相は「北朝鮮は2つのことを並行して行えない。韓国と周辺地域の国々を継続的に核兵器開発で脅威を与えながら、これらの国に経済発展のための支援を要請することはできない。もう決断を下さねばならない時にきている」とし、韓国と北朝鮮の信頼形成のための相互の努力を強調した。シュレーダー元首相は、「韓国とドイツは分断の痛みを痛切に経験した国」という共通点のほか、2つの決定的な違いがあるとし、次のように指摘した。
「ドイツ分断の場合ナチスという暴政があり、ナチスにより第2次世界大戦が引き起こされて生じたものであるのに対し、韓国の場合は逆に(第2次世界大戦の)戦争の勃発には何の責任もなく、日本の植民地下で苦痛を味わった国だった。もう一つの違いは、東西ドイツは相反する体制を持っていたが、朝鮮半島のように戦争をしたことはない」
そしてシュレーダー元首相は「たとえ時間がかかっても(朝鮮半島に)統一は必ず訪れる」と強調した。また、統一費用と関連しシュレーダー元首相は「費用は捻出できる。(しかし)重要なのは人だ。会わなければならないのだ。これが最も重要なことであり、いかなる政策よりも優先されるべきだ」と述べた。
40年の分断の末に統一を成し遂げたドイツと関連し、シュレーダー元首相は、統一後のドイツの課題は、「第一は、迅速な経済構造の統合として、市場経済の導入であり、第二は、国営企業の民営化であり、第三は、立ち遅れたインフラの再建のための投資だった」とし、朝鮮半島統一に向けての備えについても助言した。
彼は「ドイツの完全な主権回復の問題は、対外的に解決しなければならなかったが、90年の統一以降、ドイツは『欧州の病人』と呼ばれた。統一後の国家債務は5000億ユーロから1兆ユーロに増加し、東西ドイツの失業率が高くなり、財政難により社会保障制度はもちろん、競争力が低下した。これは、造的改革を怠った結果だった」と述べた。
1998年に現職のヘルムート・コール元首相を抑えて首相に就任したシュレーダー元首相は「アジェンダ2010を掲げて税金を下げ、労働市場を柔軟化した。国際競争力を考慮した時、すべてが痛みを伴うものだったが、必ず必要なものだった。韓国も統一が訪れたら、統一の後遺症を克服するためにも、構造改革が必要である」と述べた。
連立政権について、シュレーダー元首相は「ドイツの場合、連邦制国家であるうえ、選挙法上一党支配が不可能な構造の中で連立政権が実現できた」とし「大統領中心制の韓国の場合、法的根拠がないなら、政治的な合意に基づいてこれを認め、合意点を見つけていく努力が必要だ」と述べた。
ナム・ギョンピル京畿道知事の招待で行われたこの日の40分の間のシュレーダー元首相の演説には、イ・ジェジョン京畿道教育監、カン・ドゥクク道議会議長をはじめ、京畿道議員など約300人が参加した。
韓国語原文入力:2015-05-22 17:32