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[コラム]北朝鮮崩壊論と「創造国防」という幻

登録:2015-01-28 23:09 修正:2015-01-29 06:18
キム・ジソク論説委員 //ハンギョレ新聞社

 韓国の今年の国防費は37兆4560億ウォン(約4兆755億円)である。昨年より1兆7500億ウォン(約1900億円)増えた。日本の国防費はより多い4兆9800億円(46兆ウォン)で、歴代最大規模である。特に垂直離着陸輸送機であるオスプレイ、F35戦闘機、哨戒機P1など中国を想定した兵器の導入予算が増えた。昨年8082億元(140兆ウォン)だった中国の国防費は、今年155兆ウォン(約17兆円、世界2位)に達すると予想されている。中国の国防費は、1990年代以降、毎年10%以上の増加率を記録した。ロシアも経済難にもかかわらず、着実に国防費を増やし70兆〜80兆ウォン(約7兆7000億円~8兆8000億円、世界3位)にもなる。

北東アジア地域は軍備増強が活発なだけでなく、地球で最も兵力が密集している場所でもある。すべて合わせると500万人を超える。27日の 「日本は世界第3位の経済大国にふさわしく軍備を増やす必要がある」とのマーク・リパート駐韓米国大使の発言は、北東アジアの軍備競争の未来を示す。一年600兆ウォン(約66兆円)を超える国防予算を使う米国はその負担のかなりの部分を日本と韓国に押し付けようとしている。

 南北と米中日露との間には多元的な対立構図が形成されているが、いずれも朝鮮半島の状況を口実とする。つまり休戦ラインにすべての対立が圧縮されているのだ。このような構図は現状への固着を強化する「自己暗示的な目標」を作り出しながら進化する。バラク・オバマ米大統領は22日、対北朝鮮政策と関連して、「経済制裁とインターネットによる情報発信などを通じて体制の変化を迫るしかない」とし、「これで時間が過ぎればそのような政権は崩壊するしかない」と述べた。突出発言の性格が強いが、米国大統領が北朝鮮崩壊論に言及したのは異例なことだ。彼はその二日前の一般教書演説でキューバとの関係正常化など、自らの外交的”治績”のみ列挙して、北朝鮮については触れなかった。残り2年の任期の間「戦略的忍耐」という名前の対北傍観・圧迫政策を変える意志はないということだ。米国は過去数年の間に対話を通じた北朝鮮の核問題の解決に努力するよりは、韓米日三角同盟の強化に力を注いだ。

 北朝鮮崩壊論という幽霊はもともと韓国で生まれたものだ。ユン・ビョンセ外交部長官は最近、世界経済フォーラム年次総会が開かれたスイスのダボスで「統一は...急に予期しない方法で訪れる」とし「すでにその日が近づいてきており、政府は強固な統一の基盤を構築しようとしている」とした。 「寝ていて柿が落ちるのをただ待っている」ような戦略のない吸収統一論は“統一大当たり論”の最悪の形だ。

 最近、新しい幽霊が登場した。国防部が大統領業務報告で提示した「創造国防」がそれである。国防部は、レーザービーム、高出力マイクロ波(HPM)弾、電磁波(EMP)弾など、「北朝鮮がついてくることができない逆非対称兵器システム」を2020年代初頭までに開発し、北朝鮮の大量破壊兵器を無力化すると言う。また、モノのインターネット(IoT)とビッグデータ技術などをベースに作戦遂行態勢を変革するという。米国もまだ実現できていない戦力を短時間で確保するという夢のような青写真だ。ここで私たちの数十分の1の国防費を費やす北朝鮮はすぐに崩壊する国ではなく、軍事強国として想定される。脅威を最大化することは軍備増強の公式だ。

 肯定的な変化が積み重ならないと、統一は実現できない。平和構築が最も重要な基盤である。出発点は南北関係の改善だ。進展した南北関係に基づいて、関連国と一緒に核問題の解決策を見つける必要がある。そのような努力自体が平和を構築するプロセスだ。核問題が解決する終点で平和体制が完成し、統一が目の前の現実に近づくだろう。創造国防というものがあるとしたら、まさにこのようなプロセスである。

 今、南北当局は関係改善を言いながらも、先に動こうとしない。プライドのぶつかり合いが続いている。政府は「北朝鮮が要求する(協議の)前提条件を先に措置するつもりはない」と言う。その条件の核心は5・24措置の緩和と解除だ。この措置を解く意思があるなら、先に動くのが効果的であり、体裁も良い。朝鮮半島情勢を変える「ゴールデンタイム」はそれほど長くはない。横行する幽霊の前で軍備増強だけに焦点を合わせては、現状を変えるのはますます難しくなりかねない。

キム・ジソク論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.01.28 18:40

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/675698.html  訳H.J

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